◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <北但馬編> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
小城山 こじょうさん | 831.0m | 香美町 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1/2.5万地図 : 味取 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2007年5月】 No.2 | 2007-47(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和佐父集落と小城集落を結ぶ車道より 2007 / 5 |
新緑の季節になれば、緑の濃い奥播州、奥但馬の山に触れたくなるが、2007年の5月連休に久々に訪れた香美町の白菅山では、そのブナ林の見事さに目を見張る思いだった。白菅山に登ったとなると、どうしてもその北に並ぶ小城山にも思いは向かうもので、そちらのブナ林にも新緑ならではの美しさを期待すると、一気に登りたい気持ちが湧いて来た。そしてその気持ちを抑えられず小城山に向かったのは、白菅山登山から3週間と経たぬ5月22日のことだった。この日は快晴。播磨の空はいくぶんモヤがかっていたが、但馬に入ると空の青さが増して来た。小城集落へは和佐父集落から続く車道で向かったが、ごく細い道で対向車が来ればすれ違いに苦労しそうだったが、全く静かな道で、一台の車と会うことも無く小城集落に近づいた。そして車道から小城山が望まれるようになった。澄んだ青空の下に山はすっかり淡い緑色に包まれており、新緑の季節であることを示していた。小城集落に入るとほとんど人気が無く、廃屋も見られた。どうやら数軒だけが残っているようで、ずいぶん寂れている印象を受けた。今回考えていたコースは前回と同じく小城越の道をアプローチにして山上に立ち、後はひたすら山上の緑の中で過ごそうというものだった。そのつもりで車を集落の奥へと進めると、車道は終わること無く小城山に向かい、そして広い林道に合流した。その林道は三川林道で、持っていた地図では小城山の西の山腹で終わっているのだが、どうやら延伸されて小城の道と繋がったようだった。林道は更に北進しているようで、そちらには柵があり、現在工事中と書かれていた。ところでその林道が造られたことによるものか、小城越の道が見当たらなかった。三川林道に合流した地点は広くなっており、「ブナ原生林まで1.5km」と標識も立っているのだが、どこから歩いて1.5kmなのかも分からなかった。そこでどう行動をとるかと地図を開いて考えた。そして決めたのは三川林道を南へ歩いて、小城山から南に延びる尾根に取り付くというものだった。後は山頂を経て下山で小城越に出て、小城越の道を歩いて戻ることにした。車は「ブナ原生林」の標識の前に止めて歩き出した。林道はきれいに舗装されて一般車道と変わらなかった。どうも新しい林道はお金をかけすぎではと思ってしまった。南へはほぼ平坦路で続いており、単なる車道歩きだったが、小城の一軒家が見えたり久斗山の尾根を眺めたり、また季節がらワラビも見られて、さほど退屈することも無く歩いて行けた。南尾根へと近づいて行くと、白菅山が前方に現れた。すっくと頭をもたげた姿はやはり堂々としていた。林道が南尾根と交差する位置は法面になっておらず、ごく自然に尾根に取り付けた。尾根はなだらかで植林地になっており、その中を踏み跡程度の小径が続いていた。ヤブコギを考えていたのだが、これは助かることだった。ただ植林時に付けられた小径のようで、今は荒れ気味になっており、クマザサがあったり灌木の切り株があったりと、少し足下に注意を払いながら歩くことになった。程なく西に僅かだが展望が現れ、仏ノ尾や扇ノ山が望まれて、この地が奥但馬であることを改めて知る思いだった。やがて辺りは自然林へと変わって来た。そしてクマザサが増えて来た。そのとき突然、人と出会った。これは想定していなかったことなので少々驚かされたが、鳥取営林署の人で山回りをしているとのことだった。小城山登山をしていることを告げ、小城越のことを聞くと、ちゃんと道はあるとのこと。またおおよそのブナ原生林の位置も教えていただいた。中間地点まで来て尾根が東に折れると、小径は不確かになりクマザサが増えて来た。それでも軽いヤブコギ程度で登って行けた。尾根はひたすら緩やかで、自然林が広がるのみだった。その自然林が新緑の盛りとあって、瑞々しいその色合いは期待通りの美しさで、ヤブコギも気にならず良い感じで登って行けた。そして尾根がほぼ平坦になったことで、山頂に着いたことを知った。ゆっくり登ったのだが、尾根に取り付いてから50分での山頂到着だった。中央に小さく湿地があり、周囲はクマザサと自然林が占める風景は、十数年経っても変わっていなかった。その前回に三角点を見るのを忘れていたのだが、一番高い地点と思われる辺りを探ると、クマザサの中に三等三角点(点名・小城)をあっさり見つけることが出来た。後は湿地のそばで休憩をとることにした。すっかり新緑の木々が囲んでおり展望とは無縁だったが、木漏れ日が若葉をきらめかす様や、暗い木々の中に新緑のみが光る様を眺めていると、もうこの日の目的は十分に叶う思いだった。その中で昼食をとったが、涼しい風もあってか少し眠気を催して来た。その眠気に誘われるままに30分ほど軽い昼寝を楽しんだ。そして眠りから覚めたときに視野に広がっていたのは、ただただ緑の世界だった。まさに森に包まれて身を任せている心持ちで、ちょっと感動させられた。目覚めたところで下山に移った。下山は北へ真っ直ぐ延びる尾根を下って、小城越に出ることにした。この道は前回に歩いた道で、本来の小城山登山コースだった。尾根には踏み跡程度の道しかなかったが、尾根筋がはっきりしているのですんなりと下って行けた。そして右手に展望も開けて、間近に三川山が眺められた。その三川山の左手には日本海も見えていた。程なく立派な木々が周囲に見られるようになった。そこが「ブナ原生林」のようで、新緑の美しさにも一段と深みが出てきた思いだった。ときに堂々とした大木も現れて、その見事さに思わず抱きついてしまった。まさに森の主の貫禄があった。そのブナ林の辺りから尾根の小径ははっきりとした道となり、程なく平坦な道に合流した。それが小城越で、古びた落ち着きのある道はこの日一番の歩き易さだった。その小城越も新緑の雑木に包まれており、森をそぞろ歩きする風で歩けるのは心楽しいことだった。やがて古道はつづら折れの道となって斜面を下り出した。どの辺りに下り着くのかと興味を持って下って行くと、程なく林道が見えて来た。そこは広くなっており、一台の車が止まっていた。それはまさに自分の車で、「ブナ原生林」の案内板の立つ位置に下り着くことになった。こうして下山を終えて、案内板の後ろから小城越の道が始まっていることを知ったが、この日のコース取りがむしろ良かったのではと思えたのが、終わってからの感想だった。 (2007/5記)(2015/8改訂)(2022/1改訂2) |
<登山日> | 2007年5月22日 | 10:36スタート/11:12南尾根に取り付く/11:38尾根が東に折れる地点/11:58〜13:00山頂/13:28小城越に合流/13:43エンド。 | |
(天気) | 雲一つ無い快晴。澄んだ空が広がる。山々が青々としていた。山中の気温は19℃、少しある風は涼しく、ひたすら快かった。視界は遠方が少しうっすら見える程度は悪くはなかった。 | ||
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