TAJIHM の 兵庫の山めぐり <北播磨編・丹波編 
 
三国岳    みくにだけ 855.2m
多可町・朝来市・丹波市
芦谷山    あしたにやま 680m
  丹波市
1/2.5万地図 : 大名草
 
【2009年6月】No.3 2009-67(TAJI&HM)
 
    《三国岳》  竜ヶ岳より  2007 / 4 《芦谷山》 東向かいの700mPの尾根より 2007 / 2

 播州、但馬、丹波の三つの国にまたがる山は三国岳。2009年の梅雨どきにこの三国岳を芦谷山と組み合わせて、周回コースで登ることを計画した。持っていた「大名草」の地図が平成6年発行と古いため、念のためにインターネットで国土地理院のホームページを開くと、三国岳と芦谷山の中間にある558mピークに新しい三角点(点名・下島山)が作られていることが分かった。それを見ているうちに、そのピークから南へと延びている尾根が一番登り易そうに思えた。そこで始めに考えていた播州峠からのルートは止めにして、558mピークへと通じる南尾根を登って558mピークへ、次にそこから芦谷山をピストンする。その後に三国岳を目指すことにした。そして下山は登山コースで山寄上集落へと下りて来るという変則周回コースとすることで決定した。
 向かったのは6月の第三土曜日のこと。播州南部は薄曇りの空だったが、高坂トンネルを過ぎて多可町に入ると青空が広がっており、こちらの方が天気が良さそうだった。国道427号線を北上して道の駅「R427かみ」の前を通過する。そして山寄上集落を過ぎて杉原川に架かる山下橋を渡ると、右手に「せせらぎ公園」と名付けられた小さな公園が現れた。駐車場も見えたので、そこを周回コースの起点として歩き出すのが適当ではと思え、駐車地点とすることにした。国道427号線を北へと歩き出すと、すぐに「清流の森」と名付けられた別荘地が現れた。その中を通って行くと林道に合流したが、林道も国道427号線から分岐していたようで、別荘地を歩かなくとも林道を歩いても同じだったようである。その林道が目的の南尾根と平行しており、すぐに林道を離れて尾根へと山裾に取り付いた。貧弱な植林地を適当に登ると、数分で尾根に出た。尾根も植林地で、緩やかに続いていた。また尾根筋は小径は見えなかったがすっきりと空いており、けっこう気楽な登りだった。尾根の植林はヒノキで、そこにアカマツが混じっていた。アカマツの松葉が尾根を覆っている。ときおり雑木林が現れたが、概ね植林地の尾根だった。30分ほど登ると小さなピークに着いた。そこから尾根は西へと曲がるが、そのままずっと西へと登って行けば三国岳となる。緩やかに下って緩やかに登り返す。登るほどに前方が明るくなって植林が切れた。登りきった小さなピークが標高558mの四等三角点(点名・下島山)ピークだった。そこに着いて漸く展望が現れた。東から南、そして西へとけっこう広範囲に開けており、南方遠くには妙見山が小さいながらも端正な姿を見せていた。西には三国岳が大きかったが、距離はまだまだありそうだった。そのピークでは南から快い風が吹いており、暫しの休憩とした。その展望ピークから尾根を離れて芦谷山へと寄り道をする。北へと植林の急坂を下り、そして急坂を登り返す。小さな尾根を登って行くのだが、その尾根には転々と「境」の文字が彫られた標石が埋まっていた。植林地内を登っているときは樹間が空いて登り易かったのだが、尾根が緩くなって方向が北東へと変わってくると、少し灌木のヤブをかき分けるようになった。ちょっと面倒な所だったが、そのうちに左手の植林地内が歩き易いと分かり、そちらを歩いた。芦谷山の山頂が近づくと小さなピークが現れ、それを越すと、ほぼ平坦な地形となった。尾根の方向も東へと変わる。その頃には辺りの木々は雑木林に変わっており、そぞろ歩きの雰囲気となった。但しずっと展望の無いままだった。ごく小さなアップダウンを繰り返して芦谷山の三角点に着いた。その辺りも疎らな雑木林で雰囲気としては悪く無かったが、展望とは無縁だった。なお三角点の位置が最高点でも無く、今少し東へと進んだ位置の方が数メートル高い。そちらまで歩いたが、そちらも似たような佇まいだった。何かピークハントに来ただけのような気分で、すぐに引き返した。その戻るときにピンクの目印テープに惑わされれて、558mピークに近づかずに、西の方向へと逸れてしまった。おかげで558mピークに戻るのに少々余計な時間を使うことになった。558mピークに着いたときは12時を回っていたので、ここで昼休憩とした。その頃には上空は薄曇りの空に変わっていた。また南からの風がいっそう強くなっており、ひたすら涼しかった。その南の方向だが、そちらは雨になっているのか煙ったようになって何も見えなかった。昼休みを済ませていよいよ三国岳へと向かって行く。尾根は始めにイバラも混じる灌木ヤブになっていたが、程なく植林にアカマツの混じる混合林に変わって、まずまずの歩き易さになった。ときおり右手の木々が空いて、姿の良い山が長く尾根を延ばしているのが見られた。山は粟鹿山で、東へと延びる尾根が一望だった。その左手にも大きな山が見えていたが、そちらは雲須山のようだったが、山頂までは見えていなかった。登るほどに木々は自然林となって、雰囲気が良くなってきた。また大ぶりの白い花をいっぱい付けた木がが目に付くようになった。その花の姿はヤマボウシと一目で分かる。たしか花びらに見える部分は総包とのことだったが、花びらのごとく開いて、それが木全体を包むように咲いていた。それが1本や2本で無く、あちらこちらで満開だった。それを見ているうちに、今度は足下に白い花がいっぱい落ちているのが目に付きだした。その形からエゴノキの花と思われたが、頭上には見られないので、すでに落花が終わっているようだった。そのエゴノキの花が登るほどに木にもちらほら残っているのが見られるようになり、更に登ると今度は満開のエゴノキがそこにもここにもと言った具合に現れた。目の前に咲いていることもあり、その花の匂いが何とも甘かった。その頃には尾根は急坂になっており、木に掴まりながら登って行く。そこを休まず登って急坂部を越すと、辺りの風景が変わった。自然林から突然のようにカヤトの原となって、荒れ地の風景が広がった。もう三国岳山頂が間近の位置だった。ヤマボウシとエゴノキのおかげで、ここまで楽しく登って来られたのは良かった。カヤトの原は展望地なのだが、上空は一段と黒くなっており、竜ヶ岳から南は雨の幕に閉ざされていた。それを見るうちに小雨が降ってきたので、あわてて山頂へと向かった。数分も歩くと山頂で、もう14時を回っていることもあり、他に人影は無かった。ただひたすら静かな山頂だった。山頂に着くと程なく小雨は止んで、後は暫しの休憩だった。東の方向には展望があり、そこには鳴尾山が見えていたが、雨に煙って薄ぼんやりと見えていた。切り株の腰掛けがあり、休む雰囲気としては悪く無い山頂だったが、目障りなものがあった。それは個人や団体が勝手に付けた山名標識で、数えると10個以上あった。三角点そばに立派な山名標識が立っているので他には要らないはずなのだが、個人名や団体名を付けた山名標識をぶら下げるのは落書きをしているようにしか思えなかった。そこでそれら総てを少し離れた木に付け直してみたところ、すっきりとした雰囲気の山頂になったのは良かった。展望も良くないので、20分ほどの休憩で下山に向かった。下山は登山コースを下って行く。始めに三国峠へと下って行くが、その尾根の歩き易さは、登ってきた尾根と比べると、舗装路を歩いているようなものだった。すたすたと言ったふうに歩いて三国峠に着いた。そして東の方向に向かう登山道に入る。その頃には空は薄曇りから薄晴れ程度まで戻っており、東の空には青空も覗いていた。その山寄上集落に向かう登山道は三国峠までの道と比べると細くなっていたが、登山道だけに歩き易いことは変わらなかった。ずっと植林帯の中を下っていたのだが、そのとき一輪のササユリが現れたのには驚かされた。まさか植林にとの思いだったが、その辺りは急斜面になっており、陽射しがよく当たるためかもしれなかった。その登山道も峠から30分ほどで、林道に下り着いて終わった。その頃には陽が射してくるまで天気は良くなっており、少し暑さも感じだした。後は国道427号線まで林道歩きとなるのだが、林道とあって少し退屈さを感じもし、また長くも感じられた。朝からここまで5時間以上歩いていたこともあっての気分だったが。最後に害獣避けゲートがあって、国道427号線に合流した。そこには登山口の案内標識があり、 駐車地点までは指呼の距離だった。
 無事周回で三国岳を登ってきた訳だが、この日の登山を振り返るとなぜかヤマボウシとエゴノキの美しさがやけに印象に残っており、芦谷山も三国岳も付け足しで登ったようにしか感じられなかった。
(2009/7記)(2014/1改訂)(2021/2改訂2)(2024/4写真改訂)
<登山日> 2009年6月20日 9:33せせらぎ公園の駐車場スタート/9:40山裾に取り付く/9:43尾根に出る/10:12〜15[550m]ピーク/10:27〜40[558m]三角点ピーク(点名・下島山)/11:15〜30芦谷山/12:10〜55[558m]三角点ピークに戻って昼休憩/14:18山頂そばの荒れ地/14:25〜45三国岳/15:02三国峠/15:33林道に出る/16:02ゲート/16:05エンド。
(天気) 朝のうちは晴れていたが、次第に薄雲が広がってきた。昼前には薄曇りの空となる。気温は山中では21〜22℃。湿度は高い方だったが、終始南から風があって涼しかった。午後は風が一段と強くなった。雲も厚くなって、三国岳の山頂に着いたときは小雨も降ってきた。天気はそのときが一番悪かったようで、すぐに小雨は止んで、その後は薄曇りから薄晴れへと戻ってきた。視界は北の空はまずまず良かったが、南東から南は曇り空になった頃より煙ったようになって、見えなくなってしまった。雨でも降っているのかしれなかった。
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林道の手前に「清流の森」の別荘地があった この林道を少し歩いて右手の尾根に向かった 尾根は植林地になっており、なだらかに続いた
尾根は雑木林に変わることもあった 558mピークに立つ 558mピークの四等三角点(点名・下島山)を見る

558mピークは
南に向かって展望
が広がっていた

(←)
上の写真に写る妙
見山を大きく見る

 (→)
  深谷山の辺りを大
  きく見る
芦谷山へと北の方向に尾根を歩くと、この境界標柱をよく見た 芦谷山への尾根は緩やかだった 芦谷山の三等三角点(点名・松尾:標高679m)を見る 周囲は雑木が囲んでいた
三角点の少し東の位置が最高点(680m)だったが、そちらも雑木林のまっただ中だった 緑の枝が上空を隠していた 558mピークへと尾根を引き返しているとき、行く手に三国岳が望まれた
足下にギンリョウソウを見た 558mピークに戻って三国岳を目指す 始めは少しヤブ道だった 北西に大きな山が見えた 雲須山だったが、山頂までは見えていなかった

(←)
北の空に粟鹿山が
雄大に尾根を伸ば
していた

 (→)
  粟鹿山の山頂を大
  きく見る
尾根は倒木が多かったが、次第に歩き易くなった 尾根の木々は自然林に変わってきた 周囲の木々にヤマボウシが目立つようになった
木漏れ日がヤマボウシを照らしていた 尾根の木々はすっかり自然林となった 尾根の途中で山頂方向を見る
粟鹿山の尾根がいっそう良く見える所があった 左の写真に写る粟鹿山の尾根を大きく見る
今度はエゴノキがあちらこちらで満開だった このエゴノキの花が暫く尾根を飾っていた 山頂が近づいて尾根は急坂となった
自然林を抜け出して、カヤトの荒れ地に出た カヤトの原は展望地だったが、南の空は雨なのか煙っていた
小雨の中、三国岳山頂に着いた 山頂から鳴尾山を見るとそちらも雨のようだった 三国峠への道は何ともスムーズだった

三国峠へと下ると
き、前方に槍ヶ峰
を見た

三国峠に着くと、
そこより東へと山
寄上コースに入っ


山寄上コースに入
ったとき、南に展
望が開けた

植林の中を下っ
いると、唐突な
感じでササユリ
が現れた
シライトソウに似た花を見た 登山道は林道に合流した 林道歩きは少し退屈だった
林道のそばに沢を見るようになった ゲートが現れた ゲートを通過すると登山口の案内板が立っていた