水上山は姿の良い山で、その姿を一番良く眺められるのは草木集落手前の市道からであろう。百千家満から草木集落へと近づいたとき、左手が一気に開けて、西から北へと山並みが一望となるが、その中にあって山頂を適度に尖らせた端正な山が北西方向に眺められる。それが水上山だった。その姿に惹かれてまだ名前も知らなかった1995年11月に、南側となる富山越からの尾根で登ったのが最初の登山だった。そのときは尾根からの展望の素晴らしさに感激したものであるが、二度目に北側から登ったときは、逆に展望が悪いとの印象を受けてしまって、少々失望の登山となった。その水上山が宍粟50山に選ばれており、ガイドブック「宍粟50名山」を見ると、その紹介コースはまだ歩いていないコースだった。それを歩けば水上山のまた違った面に出会えるのではと思えて、新たな興味が湧いてきた。そこで三度目の登山として、2012年の5月連休中の一日を、水上山登山に当てることにした。
一宮町の空は曇り空の予想通りに薄暗かった。県道6号線を北上して倉床地区に入ると、水上山の標識が現れた。そのそばの路肩が広くなっており、数台の車が止められるスペースがあったので、そこに駐車とした。そこからの登山コースについてはガイドブック通りなので特に記さないが、始めに植林地となっている急斜面を登って南東尾根に出た。その尾根も急傾斜で、植林地として続いた。その尾根を登りきると、南からの尾根が合流した。ガイドブックではそこにアンテナがあると書かれていたが、着いてみるとアンテナは取り壊し中だった。そこからは尾根の傾斜は少し緩くなり、また自然林が見られるようになった。見られると言っても、尾根の南側だけが自然林で北側は植林になっていることが多かった。その雰囲気のまま山頂に着くと、そこはすっかり木々に囲まれており、展望はほとんど無かった。ただ静かな佇まいで、落ち着きの感じられる所だった。そこより少し北へと下ると自然林の広がった所もあり、その辺りでは藤無山をけっこう近い距離で眺められた。山頂で30分ばかり過ごした後、下山はすんなりと登ってきたコースを引き返した。そのハイキングの様子は、下の写真帳でご覧いただきたい。植林が主体のため展望も良いとは言えないのでマイナーな感じは否めなかったが、山頂近くの自然林の雰囲気は悪くなく、宍粟の山の奥深い雰囲気を味わえたのは良かった。
(2012/6記)(2021/5改訂) |