三川山はシャクナゲで有名だが、そのシャクナゲに出会おうと向かったのは15年前の5月初旬のことだった。5月始めは遅かったようで、尾根のシャクナゲは終わっていた。そこでシャクナゲの季節に改めて出かけることにした。今年は今年はと思ううちに10年以上経ち、漸く向かったのは2024年のことで、この年は桜の開花が遅く4月に入ってからだった。コバノミツバツツジも遅かった。これはシャクナゲも遅れるのではと予想して、4月下旬のこの日に但馬北部へと向かった。三川山登山の起点となる三川権現に着いたのは10時前。境内のカエデが素晴らしい新緑で迎えてくれた。駐車場の近くではシャクナゲも咲いていた。これは期待出来ると思ったのだが、はや下山を終えた人がおり、聞くとシャクナゲは既に終わっているとのことで、冬に雪が少なかったことが影響しているのではと言われた。残念だが気を取り直して新緑の尾根を楽しむことにした。登山コースに入って堰堤の先でコースが二手に分かれると、往路としてシャクナゲコースに入った。このコースは最初から急坂が続くので、喘ぎながら登ることになった。新緑は期待通りの美しさだった。途中からシャクナゲの木が見られ始めると、やはり花は終わっており、萎んでしまったものをちらほら見る程度だった。その尾根の途中で距離標識が現れると、山頂まで1900mとあり、なかなかの距離が残っていた。次第にブナの木が増えてきて、ブナ林と呼べる所も現れた。ブナの新緑も見事だった。麓と山頂との標高差は700m近くあるとあって休憩の回数が増えてきて、歩度はすっかり落ちてしまった。山頂までの距離が400mほどとなったとき、広い道に合流した。以前は作業道だったはずだが、災害によるものか道の形は崩れて道には見えない所もあった。その作業道を歩いて山頂に近づいた。ごく緩やかとあって歩くのは楽だった。山頂に着くと、そこには幾つか電波塔が建っており、その一つのそばに三等三角点(点名・水山)を見た。以前と同じく北側に少し展望があったが、見える範囲は狭まっており見えていたのは香住港の辺りだった。山頂では電波塔のそばの日陰で昼休憩とした。風はほとんど無いものの、爽やかな空気感に癒やされた。山頂で50分ほど休むと、下山は奥の院コースに入った。始めに植林地を歩いた。コースははっきりしていなかったが、目印テープと距離標識が点々とあり、コースから外れることも無く下って行けた。このコースもシャクナゲコースに負けないほどシャクナゲの木が多くあった。しかもこちらはちらほらながら花が残っていた。おかげで少しながらも花を楽しむことが出来た。奥の院コースも急坂が多く、また雑木の小枝を払うことも多くあり、易しく下れるとは言えなかった。コースの分かり難い所もあり、とにかく目印テープを追って下った。新緑に関しては奥の院コースでも楽しめたが、シャクナゲコースの方がブナが多いだけに優っているように思えた。とにかく足下に注意しながらの下りが続いて、ようようの思いで登山口に下り着いた。そこはシャクナゲコースの登山口にごく近い位置だった。後は沢沿いを歩いて駐車地点へと近づいた。それにしても標高差以上に疲れた三川山だったことは確かで、こんなに疲れる山だったのかと思ったのが、正直な感想だった。
(2024/5記) |