TAJIHM の 兵庫の山めぐり <中播磨編 
 
深谷山 (またに山) 927.9m 神河町・多可町
 
1/2.5万地図 : 丹波和田
 
【2007年3月】 No.2 2007-23(TAJI&HM)
 
    竜ヶ岳より  2007 / 4

 神崎郡と多可郡を分ける郡境尾根の主役は千ヶ峰。その千ヶ峰の北に並ぶ深谷山は高さでは少し劣るものの、ボリューム感では負けていないように思える。その深谷山に初めて登ったのは1993年の12月のことで、ごく普通に南の市原峠から尾根道を辿って山頂に立った。そのときの印象はひたすら千ヶ峰が間近に眺められる山との印象ながらも、クマザサがけっこう繁っていたことも記憶に残っていた。その時の下山は市原峠に戻らず、南東にある西山地区を目指して下った。ところが600mピーク辺りで東へと進んでしまい、最後はヤブコギ状態で轟集落に下り着いたものだった。そこで深谷山を再訪するのであれば、往路は600mピーク経由でと考えていた。
 再訪は2007年3月の第二土曜日のこと。記録的な暖冬とあって2月は春のような暖かさが続いていたため、千ヶ峰が見えるとそこには雪のかけらも見られなかった。往路は600mピーク経由とするものの下山は市原峠からと考えていたため、駐車地点は千ヶ峰市原コースの麓側駐車場とした。今では市原峠まで車道が通じているため、麓の駐車場には1台の車も見なかった。その地点から600mピークへの道は無かったが、北東方向に歩けば林道に出会えるはずなので、適当に歩いて行くことにした。始めは植林地の作業道を歩き、その道が終わると後は適当に植林地の中を伝って行った。そして20分も歩けば予定通り林道に合流出来た。林道はコンクリート舗装されており、地図では600mピークの間近で終わっていた。周囲は良く育った植林地のため展望は全く無し。林道終点まではただ歩くことだけに集中しようと登って行く。そのうちに少しは展望も現れて、植林の隙間から千ヶ峰を見ることがあった。林道は途中から土道に変わると、その周囲は荒削りの地肌が見えており、新しく延伸されたように思われた。林道と言うよりも作業道の様相だった。周囲は若木の植林地となって次第に展望が良くなって来た。所によっては一気に展望が開け、東の篠ヶ峰の尾根から千ヶ峰までが一望になることもあった。ところで気が付けば標高は700mほどになっており、とっくに600mピークは過ぎていた。作業道は600mピークの近くを通って、更に尾根に沿って延伸されていたようだった。最初の目標は600mピークで三角点を見ることだったが、こうなると郡境尾根まで一気に行くことにした。作業道は次第に細くなり車1台の幅も無いほどとなり、標高700m辺りで終点となった。その後は尾根に出て、尾根の小径を伝って行った。その道は前回の下山で辿ったもので、少し倒木が目立った。尾根にはもう植林は見えず、ただ雑木林が広がるだけだった。やがて深谷山の山頂が見えて来ると、木立はばらけて尾根も緩くなり、のんびりムードで登って行けた。朝のうちは薄晴れだった空も淡いながらも青空に変わっており、柔らかい陽射しが冬木立を照らしていた。足元は落ち葉が積もって、ただ歩いているだけでも楽しい雰囲気だった。その気楽な尾根歩きが暫く続き、その後に急坂があって郡境尾根に合流した。その主尾根との合流点には図根三角点が置かれていた。もう深谷山に向かってメインルートを歩いて行くだけだった。展望も開けて南には千ヶ峰が間近であり、北西遠くにはまだ十分に白い氷ノ山が望めた。東にも篠ヶ峰の尾根が見え隠れしていた。ところでこの主尾根がずいぶん歩き易かった。この尾根もクマザサの衰弱があるようで、その後に生えているススキも繁るまででも無く、その影響で歩き易い尾根に変わったようだった。のんびり歩けるままに歩いて、合流点から10分ほどで山頂到着となった。 その山頂も北から北西への展望があって雰囲気としては悪く無かったが、休憩は少し戻って千ヶ峰の見える所でとることにした。上空はまた薄晴れに戻ろうとしており、視界も淡くなって、天気は下り坂に向かっているようだった。山頂には他には誰も居らず、その静けさの中に暫し浸っていたいと想い、時間が有れば千ヶ峰にも足を延ばそうとの考えはとり止めた。そしてただじっと周囲の山並みを眺めて過ごした。その休憩地点は千ヶ峰から北西の山並みが一望だったが、北から東の尾根も眺めたく今一度山頂の三角点まで戻ってみた。その山頂は木立が東の視界を妨げていたが、どこか展望の良い所は無いかと改めて周囲を眺めると一本の小さなヒノキが見えた。その木の前に大きな木は無く、それに登れば展望が開けそうだった。同じ考えで登った人が多くいたようで、ヒノキをよく見ると何本かの枝が折れていた。こちらもその木にさっそく登ってみた。すると期待以上の展望が一気に開けた。北の三国岳から粟鹿山、カヤマチ山、鳴尾山そして篠ヶ峰と、遮るものの無い視界は感動ものだった。 この展望が木に登らなくとも得られるのであれば、深谷山は千ヶ峰に劣らない素晴らしい山頂展望の山になるのにと思わずにはいられなかった。静かさと山頂展望を十分に味わった後、下山へと向かった。下山は主稜を戻って市原峠を目指した。その市原峠が近くなったとき、尾根から別の登山道が分かれていた。どうも近道ルートに見えたので、その小径を下ることにした。始めにカラマツ林があり、急坂を一気に下って行けた。程なく市原峠への自動車道が見えて、その道へと登山道は近づいて行った。その車道に出る直前には四等三角点(点名・古屋敷)を見た。車道に下りると、そこには「またに山登山口」の標識が立っていた。そこまで車で来て深谷山を目指すのが、最短ルートのようである。車道に出ると、後は駐車地点までひたすら車道を歩くのみだった。それにしても車道歩きで見えた周囲の風景は、荒々しく削らた山肌と道路工事で伐られて大量に放置された立木の残骸で、道路を作るのも立派な自然破壊だと思わずにはいられなかった。
(2007/4記)(2012/7改訂)(2019/6写真改訂)
<登山日> 2007年3月10日 9:11スタート/9:29林道出合/10:24作業道終点/11:10図根三角点/11:21~12:41山頂/13:00登山道分岐点/13:10点名・古屋敷/14:06エンド。
(天気) スタート時は薄晴れの空、太陽が淡く見えていた。次第に空の薄モヤは消えて青空が広がる。但し淡い青空だった。視界は白っぽい見え方だったが悪くは無かった。昼を回ると次第に薄晴れから薄曇りへと変わり、視界も薄ぼんやりとしてきた。山上では少し冷たい風あり。気温は木陰で10℃ほど。
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千ヶ峰市原コースの麓側駐車場より歩き始めたとき、
これから向かう点名・西山の方向を見た
林道に合流すると後はひたすら林道を辿った 登るう
ちに千ヶ峰が望めるようになった
林道はやがて舗装路から荒々しい土道の作業道に変わ
った
作業道は登るほどに展望が良くなり、所によっては南に向かって素晴らしい展望が広がった
    
千ヶ峰を大きく見る 作業道は尾根に沿って延びていた 作業道が終わっても程よい小径が続いた
やがて木々を通して深谷山が見えて来た 739mピークを過ぎると、気持ち良い登りとなった 明るい陽射しに包まれて、疎林の登りが続く
縦走路に合流すると、程なく山頂が見えて来た 山頂に着いた 三角点そばから南の方向を眺めた 山頂は北に向かって開けていた

(←)
山頂より少し戻っ
た位置から千ヶ峰
の方向を眺めた

  (→)
  千ヶ峰を大きく見
  る
山頂から東の尾根を見たくて木に登ると、期待以上の展望が広がった
上の写真の三国岳を大きく見る 上の写真の竜ヶ岳を大きく見る 上の写真の篠ヶ峰を大きく見る
   
西から北にかけてを眺める

(←)
氷ノ山がごくうっ
すらと見えていた

  (→)
  山頂の三等三角点
  を見る
山頂を離れて市原峠へと尾根道を歩く ショートカットの登山道に出会ったのでそれを下った 東に篠ヶ峰を見る
前方に千ヶ峰を見ながら林道に近づいた 林道に出る直前で四等三角点(点名・古屋敷)を見る 林道に出ると、登山道の入口に登山口の標識を見た