深谷山をその大きさに見合った登山をしようとすれば、麓からじっくり登るに限るが、その深谷山の南にある市原峠まで車道が来ているので、簡単に登るのなら峠から尾根道を歩けば、30分で山頂に着けてしまう。その峠コースは普段なら食指は動かないのだが、梅雨の季節となると別である。蒸し暑さ中で無理はしたくないものの軽い汗を流したいと考えたとき、この峠コースが手頃ではと考えていた。
その考えに合致して向かったのは、2012年6月の第3日曜日のことだった。その日は曇り空ながら雨の心配は無いとの天気予報だった。そこで蒸し暑さの中で一汗かこうと考えたとき、深谷山の市原峠コースがこの天気にふさわしいと思えたものである。峠までの林道は舗装されており、ごくスムーズに峠まで来ることが出来た。峠の駐車スペースには、千ヶ峰登山で来たものと思われる車が数台駐車していたが、それを横目に林道を今少し深谷山へと進めた。市原峠から先の林道はまだ工事中なのかダート道だった。その林道は尾根の西側に付いていたのだが、少し進むと尾根を越して東側に回り込んでいた。その林道が横切る位置が登山口だった。その辺りの道幅は広いとは言えなかったので、少し戻って道幅が広くなった所に駐車とした。そこからの登山の様子は、下の写真帳に譲るとして詳しくは書かないが、縦走路を歩くとあって、登山はごくスムーズだった。尾根の木立は自然林が主体であり、曇り空の下でしっとりとした色合いになっていた。風情のある尾根歩きで良い感じだった言いたいところだが、実はけっこうやっかいなことがあった。それは小さなアブが大量に発生していたことで、まとわり付いてくるだけで無く、ときに刺してきた。それを追い払いながらの登りだった。山頂には30分あまりで着く。5年ぶりとなるが、少し開けて落ち着ける雰囲気は悪くなかった。但しそこもアブがいっぱい飛んでいた。服の上からも刺してくるので、たまらず雨具を来て防いだ。そのアブの大群も暫くじっとしているうちに少しは減ってきたので、ようやく周囲を眺める余裕が出てきた。気が付いたのは鹿の糞が少ないことだった。どうやら鹿の好む植物は食べ尽くされ、代わりにアセビやウリハダカエデなど鹿の嫌う植物ばかりになっために、寄りつかなくなったためかと思えた。山頂では早めの昼食を済ませると、少しは展望も楽しんだ。展望は以前よりも悪くなっていたが、それも木に登ればまずまずの眺めを得られた。下山は登ってきた尾根道を引き返すのみ。易しい道を下るとあって、下山は25分だった。結局、深谷山登山は往復1時間で終わってしまった。しかもごく軽いハイキングだったため、少し物足りなさを覚えた。そこでこの後は千ヶ峰を登ろうと、市原峠の千ヶ峰登山口へと向かった。
(2012/7記)(2019/6写真改訂) |