TAJIHM の 兵庫の山めぐり <中播磨編 
 
笠形山    かさがたやま 939.2m 神河町・多可町
 
1/2.5万地図 : 粟賀町
 
【2007年6月】 No.9 2007-54(TAJI&HM)
 
    市川町下牛尾より  2007 / 6

 笠形山は姿が良く登山コースも厳しさは無く、そして山頂の展望にも恵まれており、播州と言わず兵庫の山の中では人気の山になっている。特に南の笠形神社を通るメインコースはアクセスも便利とあって、いつも誰かは登っている。その影響とも思えないが、笠形神社までの林道は舗装され、そして荒れていた登山道は丸太の階段道として整備されて、すっかり易しい山に変わってしまった。そのことで何となく登る楽しさは以前と比べて少し削がれてきたかと思える。但しそれはメインコースに対してで、笠形山が魅力ある山であることには変わり無い。そこでコースを色々変えて登るようになった。西のグリーンエコー笠形から登ったり、東の大屋地区から登ったり、また北麓の根宇野集落から登山道を頼らず登ったりとしたものである。そして再びメインコースの笠形神社コースを久々に登ろうと考えたとき、人の多さを思って少しためらわれたが、梅雨時の雨中登山なら豪雨で無い限りマイペースの登山が楽しめるのではと思いついた。それは2007年6月の梅雨入り直後のことで、週末の16日に笠形山に向かうつもりで心の準備をしていると、二日前になって曇りの予想に変わってしまった。曇り空も悪くないとそのまま気持ちを笠形山に向けていると、前日になって曇りときどき晴れに変わった。そして当日は快晴の予想だった。もう気持ちは笠形山に向かっていたので、久々にメジャーコースを登るのも悪くないと思えて、積極的に笠形山を目指した。
 笠形山は本当にアクセスが楽で、姫路市内からだと播但道の助けを借りたおかげで1時間とかからず登山口のある寺家集落に着くことが出来た。ところで集落に入ってすぐの所に駐車場が出来ていた。この駐車場は以前に無かったもので、これまではたしか大鳥居の前に適当に駐車していたと記憶するが、登山者の増加により少し離れた所に駐車場が作られたものと思われる。まだ8時半とあって、車は1台が止まっているだけだった。上空は晴れていたが涼しい朝で、気温は20℃を越えていなかった。駐車場のそばを通って笠形山へと真っ直ぐ延びる車道を歩き出す。7,8分で大鳥居の前へ。車道はいったん害獣除けゲートで区切られていた。こちらはゲートを明けるのが面倒なので、そばの石垣を登ってゲートを回り込んだ。車道は林道・笠形線となってずっと続いているが、その林道とは別に笠形神社への参道と呼べそうな小径が程なく現れたので、そちらを歩いて行くことにした。小径は杉木立の中を林道と平行して続いていた。山中に入って気温は下がっており、17℃と登る分には適度な涼しさだった。やがて着いたのが笠形寺で、蔵王堂のモミジが新緑の盛りで、陽射しを受けて美しく輝いていた。小径は何度か林道と交差しながら続いていたが、休み堂と名付けられた小さな東屋を過ぎた所から車道を歩くことになった。コンクリート舗装の林道で、それも10分ほど歩くとこれまた小さな東屋の建つ位置で終点となった。終点となったのはコンクリート部分で、その先は土道としてまだ続いていたが、入口にはクサリが張られて車は進入出来ない。逆に言えば、そこまでは車で来ることが出来ると言うことだった。土道の林道歩きも10分ほどで、笠形神社の拝殿の前に出た。歩き始めてから1時間ほどでの到着だった。神社には涼しい風もあって一息入れるにはもってこいの場所だった。そこには登山口の名があったが、実感は麓の大鳥居ではと思えたが、それはどうでもよいことである。植林地の中を登り始めると、道は山腹を巻くように続いていた。その辺りで先行の夫婦を追い抜いた。そしてその先をひと登りすると、ベンチの置かれた展望地に出た。南西に開けており、少し薄モヤがかった視界の中に南西方向の山並みが眺められた。そこを過ぎると雰囲気の良い小径となったが長くは続かず、道の傾斜が増すと退屈な丸太の階段道が始まった。どうも階段道は無理な歩き方になって好きになれない。ただこの日は涼しい風が助けになって、休む必要もなく登って行けた。振り返ると展望地で見えた風景が更に広がっていた。その雰囲気のままに笠ノ丸と呼ばれる山頂に近い小ピークに着いた。そこはのんびりとした雰囲気があり、いつ来ても心が休まされる。もう山頂の東屋が見えている。その先の山頂へは緩やか道で、木立の中を歩いていると、すっかり森林浴の気分だった。山頂との中間点でグリーンエコー笠形からのコースが合流し、そして山頂直前の急坂で最後の一汗をかいて山頂に出た。山頂はさほど広くは無いが、屋根の付いた休憩場所が2カ所あり、その佇まいは以前と変わっていない。まだ昼には時間があるとあって山頂には他に人は見られず、爽やかな風だけが流れていた。その静けさの中で山頂展望を楽しんだ。やはり北に見る千ヶ峰から篠ヶ峰の山並みが良かった。北播磨の核心部を飾る山並みである。ところで休憩舎の一つの屋根が破れていた。そこで柱を伝って屋根の上に出ると、これまで展望の閉ざされていた西から北西の風景が開けていた。雪彦の尾根が見えたのは新鮮だった。その山頂風景に目を楽しませていると、ぽつりぽつりと登山者が着きだした。まだ11時になっておらず昼には時間があるので、下山中に食事をしようと、程なく山頂を後にした。笠ノ丸までは往路と同じ道を辿り、笠ノ丸からはなだらかな西の方向へと曲がった。鹿ヶ原から仙人滝へと向かうコースである。朝の段階では笠形神社コースの往復を考えていたのだが、好天とあって下山は仙人滝コースを選んだものである。始めは植林地の中を単に辿っているだけだったが、程なくクマザサの広がる風景となった。そこが鹿ヶ原だったが、クマザサの中の切り開き道のため、風景が広がることも無く、ここも単に通過するだけだった。その先でやや下り坂となり、蓬莱(ほうらい)岩の標識が現れた。蓬莱岩はコースから少し外れており、20mほど下ることになる。展望を求めて下って行くと、前方が明るくなった。蓬莱岩は尾根から張り出した岩で、岩としてはさほどの大きさでは無かったが、その上に立つと一気に展望が広がった。足元は切り立っており前方には何も遮るものが無い。圧倒的な開放感のある広がりだった。前方は南に向いているだけに低山の広がる風景だったが、その中にあって鎌倉山の尾根が目立っていた。ちょうど昼どきでもあり、この風景を前にして昼休憩を過ごした。この蓬莱岩の展望でこの日の笠形山登山は十分な思いとなり、後はまっすぐ下山とした。途中の仙人滝は水量の乏しいこともあって、瞥見しただけで通り過ぎた。その後は退屈な荒れた林道歩きがあり、そして仙人滝コースの登山口に着くと、もうそこは真夏の世界だった。昼を回って麓は30℃に迫る暑さとなっており、人影の見られない寺家集落を抜けて駐車地点へと戻って行った。
(2007/7記)(2011/6改訂)(2019/12写真改訂)
<登山日> 2007年6月16日 8:35スタート/8:43大鳥居/8:56笠形寺/9:10休み堂/9:31笠形神社/10:05笠ノ丸/10:23〜56山頂/11:08笠ノ丸/11:15鹿ヶ原/11:30〜12:00蓬莱岩/12:20仙人滝/13:10エンド。
(天気) 晴れた空。登りの尾根でも山頂でも涼しい風があって快かった。気温は朝の山中で17℃、山頂でも20℃といい感じだった。視界は遠方がうっすらモヤがかっている程度で、まずまず良かった。昼を回ると気温は上がり、下山を終えての麓は30℃に近い暑さだった。
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駐車地点から北を見ると、澄んだ空に笠ノ丸が見えて
いた
笠形神社の大鳥居が現れた ここが実質の登山口と言
えそうだった
林道とは別に小径が見えたので、それを歩くと小さな
祠の前に出た
始めは林道を歩いた 周囲は植林地だった 一度、広い所に出た 前方に笠ノ丸を見る 蔵王堂の新緑が目にまぶしかった
林道を歩かず、別に参道と呼べそうな登山道を歩いた ときおり路傍に佇む石仏を見かけた 休み堂を見る
歩き始めてから1時間ほどで笠形神社に着いた 境内の佇まいを眺める 神社を離れて漸くハイキングの雰囲気となった

少し登るとベン
チが置かれた展
望地が現れた

優しい風景の中を
緩やかな登山道が
続く

やがて丸太の階段道が始まった 登るほどに背後に風
景が広がった
階段道は笠ノ丸が近づくと、緑のトンネルを通るよう
になった
笠ノ丸に着くと、北の方向に山頂が覗いていた
笠ノ丸から山頂への道を森林浴を楽しんで歩いて行った 山頂に着く 山頂は以前と変わらぬ佇まいだった 山頂を別の角度から見る
山頂に立ってまず目に飛び込むのがこの北の眺め 北播州の高峰群が一望だった
上の写真の高畑山付近を大きく見る 上の写真の千ヶ峰を大きく見る
南の見ると、笠ノ丸の東屋がちらりと見えていた 休憩舎の屋根が破れていたので、そこから顔を覗かすと雪彦山の尾根が眺められた
上の写真の左手を見る 上の写真の右手を見ると、生野高原が望めた
北東の妙見山の右に広がる山並みを見る 左の写真の西光寺山を大きく見る
南西に七種山系を見る 篠ヶ峰を中心に眺める
山頂を離れて下山は仙人滝コースへ 鹿ヶ原はクマザ
サが視界を遮っていた
途中、コースを離れて蓬莱岩に立ち寄った 蓬莱岩の上で昼食とした 前方に広がる景色を眺めな
がらだった

蓬莱岩からは南
に向かっての展
望だった 朝と
比べると少しう
っすらとした視
界に変わってい





 仙人滝を見る
上の写真の寺家集落を大きく見る 仙人滝コースの登山口を通過する