2014年4月の最終土曜日は北神戸で用事があり、それを済ませたのが11時前だった。その後は北神戸の山を登る予定にしていたのだが、快晴の空を見て、展望の山を楽しみたくなった。そのときに何となく思い浮かんだのが笠形山だった。移動は山陽道、播但道と走れば楽なのだが、一般道でと県道38号線、国道175号線、県道145号線と走り、釜坂峠を越えて市川町の下牛尾地区へと入った。その先の上牛尾地区に入った所に駐車場があり、着いたときは12時30分を回っていた。駐車場はほぼ満車状態だった。どうやら快晴の笠形山を楽しんでいる人は多いようだった。手早く準備を済ませて歩き出した。昼の気温は22℃ほどで、湿度が低いとあって爽やかな空気の中を歩いて行った。うれしいのは今が新緑の盛りだったことで、淡い緑が目に優しかった。集落を抜けると笠形神社の鳥居が現れ、その先が登山口だった。そのそばにも数台分の駐車スペースがあったが、満車状態だった。登山道の入口には害獣避けフェンスがあり、ゲートを通ることになったが、そこに付けられた看板を見ると、この先で堰堤工事が行われているようだった。そのため登山道と平行する林道は通行止めになっていたが、登山コースは確保されているようだった。ゲートを通って登山道に入ると、ぽつぽつと下山してくる人とすれ違った。程なく堰堤工事の現場が近くなると、なぜか一帯の植林が伐採されており、広々と周囲を眺めることが出来た。堰堤工事現場を横に見て伐採地を過ぎると、その先は林道の通行止めは無いようで、登山道を歩いたり林道を歩いたりと、コース案内のままに登った。その道中でも新緑が楽しめた。笠形神社が近づくと、ずっと林道を歩くようになり、そして笠形神社に着いた。神社一帯は陽射しを受けて明るくなっており、一組のファミリーが憩っていた。笠形神社では休憩をとらず先へと進んだ。神社を離れると薄暗い谷筋を暫く歩くことになり、そこを過ぎて一登りすると開けた広場に出た。ベンチが置かれており、そこで一休みすることにした。広場からは南に向かって展望が広がっていたが、この日の視界は薄ぼんやりとしており、遠くは判然としていなかった。広場を離れると、その先よりずっと丸太の階段道を登って行くことになった。笠形神社コースで一番しっかりと登る所だった。そこでも何人かのハイカーとすれ違った。階段を登りきると、そこが笠ノ丸と名付けられた883mピークで、東屋が建っており、数人が休んでいた。その辺りではアセビの白い花とミツバツツジの紫の花が目に付いたが、少し離れて見える山頂は、ピンク色の花が多く咲いていた。そのときはミツバツツジが薄い色で咲いていると思ったものだった。笠ノ丸を離れると緩やかに下り坂となり、程なく左手からグリーンエコー笠形コースが合流した。その先はほぼ平坦路となった上に歩き易いとあって、散歩をしているような雰囲気だった。山頂が近づいて最後の登りにかかった。足下に滑り易い所もあり、注意しながら登っていると、明るいピンクのツツジを見るようになった。近くで見て分かったことは、それはミツバツツジでは無くアケボノツツジのようだった。但し四国の山中で良く見かけるアケボノツツジと比べると、花の形に丸みが少ないようだった。そのときはアケボノツツジと思いながら眺めていたが、帰宅後に調べると、よく似たツツジの一種であるアカヤシオが正しいようだった。急坂を登りきって山頂へ。もう時刻は14時半が近くになっていたので、山頂に人影は無くひっそりとしており、ただ陽射しを受けてあっけらかんと明るい山頂だった。その山頂では、一段と多くのアカヤシオが咲いていた。四月の後半になると笠形山がアカヤシオの花で彩られることを知らなかっただけに、うれしくなる驚きだった。うっすらとした視界により展望はあまり楽しめなかったため、アカヤシオの美しさをひたすら眺めて過ごした。また山頂を渡る風が快かった。湿度が低い季節とあって、その爽やかな風に吹かれていると、今が一番良い季節ではと思えた。他に人はいないとあって、ベンチの上に寝ころんで、風の涼しさを楽しんだ。山頂では20分ばかりを過ごして下山とした。下山は仙人滝コースには回らず、すんなりと往路を引き返した。その下山の途中で、まだ山頂へ向かって登って来る人と二度ほどすれ違った。この季節は涼しい上に18時を過ぎても明るいとあって、笠形山を午後の半日で楽しむ人も多いようだった。
(2014/5記)(2020/12改訂)(2023/4写真改訂) |