奥播州の山を色々と登っていると、気になる山域が幾つも出てくるが、一宮町の千町地区と福知地区を登っているうちに、その間に挟まれた細い尾根が気になりだした。草木川と福知川に挟まれた尾根である。周囲には暁晴山や千町ヶ峰など1000mを越すピークがあるため目立たないが、900mを十分に越える尾根である。気になれば行きたくなるもので、1998年5月下旬にこの地域を訪れた。この日の天気は昨日までの鬱陶しい空が一変して、快晴になっていた。
気温は低めで湿度も低く、空気は爽やかの一言だった。一宮町福知より福知渓谷へと通じる道を進み、高取集落を過ぎた辺りの道そばに駐車した。ここより北へ登って尾根に取り付き、三つの三角点を巡る計画である。福知川を渡って高取集落へ向かい、尾根方向に向かう沢沿いに延びる山道を見つけたので、
それを登って行く。道は植林帯の作業道のようだった。道はそこそこ続いていたが、沢も消えだした頃に道も怪しくなった。後は適当に斜面を登って尾根に出た。そこよりまず西方向に歩いて最初のピークである610mピーク(点名・高取)に立った。そこからは麓が僅かに見える程度だった。すぐに戻る形で東へと尾根を進む。次の目標は671mピーク(点名・田ノ小屋)だったが、その道程の尾根は緩やかすぎて少々退屈だった。
尾根道らしきものは見えず、小枝が煩わしい潅木帯や植林帯を進むのみだった。展望も良くはなかった。幾つかの小ピークを過ぎて、漸く着いた671mピークも全くの植林帯の中で、展望は無し。すぐに離れたが、少し下り坂となり再び登り出すと尾根沿いに鹿避けネットが現れた。すると程なく北側に好展望が現れた。一帯の斜面は伐採されており、幼木が植えられたばかりなので、快晴のもと素晴らしい展望が広がった。北西に高峰、その後ろには東山から一山、藤無山へ、更に遠く氷ノ山までが見渡せた。この展望を得て、その辺りの適当な地点で暫しの休憩とした。標高にして800mを越したばかりと思えた。その後は再び防鹿ネット沿いに登り、尾根が南へと折れる頃にネットを離れて、尾根なりにクマザサ帯へと入った。そのクマザサ帯も疎らになった頃、藤ヶ峰山頂に着いた。この日の最高点(942m)だったが展望は良いとは言えず、梢越しに暁晴山方向を望めるにとどまった。午後も遅いことでもあり、すぐに下山に向かう。まずは南へ尾根を下り、尾根が二手に分かれる所より西へ向かう尾根を選んだ。緩やかな尾根道で、あまり高度を下げていかなかったが、やがて小ピーク(775m)に着き、ここからは北西へと向かう。ようやく傾斜はきつくなり、一気に高度を下げて行った。赤松の目立つ尾根で、露岩地も幾つかあった。やがて林道に合流し、その林道を伝って福知渓谷へと続く車道に合流したが、その後の駐車地点までの車道歩きが長かった。
(2004/6記)(2014/6改訂)(2020/11改訂2) |