2011年に登って以来の白岩山を久々に登ろうと向かったのは、10年後の2021年3月17日のこと。播州地方のこの日の天気予報は晴れで、南部こそ予報通り晴れていたが、北に向かうにつれ雲が増えてきた。猪篠集落に着く頃には上空はガス状の雲が広がっていた。それでも青空は見えており、その青空が広がろうとしていた。猪篠集落の最奥地点から始まる登山コースは東コースと西コースがあり、その二つのコースが分岐する位置の近くに車を止めた。そして往路として東コースを歩いて行くことにした。このコースは行程の半分ほどは林道を歩くコースで、始めに害獣避けゲートを通過すると、暫くは林道歩きだった。林道を30分ほど歩いたとき登山口標識が現れて、左手から始まる登山道に入った。始めは沢に沿って登っていたが、途中から西の方向へと巻き道になった。周囲はほぼ植林地で展望は全く無かった。登山口の張り紙に、登山コースを示さない紛らわしいピンクテープがあることの注意が書かれていたが、登山道ははっきりしており、標識もあって枝道に入り込むことは無かった。ただ途中で見た標識に「山頂までもうすぐ」と書かれていたが、そこから山頂は近くは無く、今暫く歩くことになった。植林地を抜け出ると程なく西尾根に出て、西コースと合流した。そこからは白岩山のハイライトとなる笹の中に岩が点在する日本庭園風の中を歩くことになるのだが、以前と比べて笹地が減ってススキが増えていた。またアセビが増えており、日本庭園の感じは減っていた。山頂に着くとそこは展望地で南から西へと広く開けていたが、この日の視界は黄砂の影響なのか、遠くまで見えるものの紗がかかったようなうっすらとした見え方になっていた。この日は白岩山に立った後は高畑山までのピストンを考えていた。天気は予報通り青空が広がり出していたので、高畑山までの尾根歩きを楽しむことにした。白岩山の山頂を離れるとすぐにアセビの繁茂する所が現れたが、そこを突っ切ると後は易しい尾根歩きだった。展望もあり前方に高畑山を、南東方向には笠形山が望めた。高畑山との間には981mの中間点ピークがあったが、そこは緩やかとあってピークを越えて行く感じはあまり無かった。ただ植林地の中を歩くことが多かった。高畑山に着いたのは白岩山を離れてから36分後だった。兵庫県姫路土木事務所が所有する高畑山反射板が建つ風景は以前のままだったが、そこもアセビが増えているように思えた。高畑山は反射板に登ってこそ展望が得られるので、悪いこととは知りながら反射板の上部まで登って展望を楽しむことにした。周囲のヒノキ林は大きくなってはいたが、まだ展望を妨げるまでにはなっておらず、おかげで西から北、東へと大展望を楽しめた。ただ相変わらず紗がかかったような視界とあって、全く鮮やかさの無い風景だった。その高畑山山頂で昼休憩とし、30分ほど休んだ後に歩いてきた道を引き返して白岩山へと戻った。そして下山に移った。下山は西コースに入った。西コースに入ったとき、尾根道がはっきりしない上にやたら枝道へのピンクテープが多かった。そこはピンクテープに惑わされず、しっかり西尾根上を辿った。下るうちに尾根道ははっきりしてきて、標識も見るようになった。その西尾根を離れて南斜面へと入るのだが、そこにも標識があって道を誤ることは無かった。そこからの南斜面の下りはやや急坂の上に周囲はすっかり植林地とあって、風情の感じられないコースだった。植林地を抜け出ると、そこは猪篠集落の一角だった。集落の道に入ると、駐車地点までは数分の距離だった。
(2021/4記) |