初めてその姿を意識したのは、1994年1月に高畑山に登ったおりのこと。生野高原の方向を見ると達磨ヶ峰の北に姿の良い山が見えて気にかかった。それがトンガリ山で、2年後の1996年6月に漸く訪れることになった。初めて訪れるとなると無難なコースを選ぶもので、地図を見ると栃原川沿いに林道があり、その先も破線の道が山頂近くまで続いていた。それを見て何とかなるだろうの気持ちで、そののルートを歩くことにした。向かったのは6月2日で、空は良く晴れておりかっとした陽射しが照りつけていた。但しモヤが強く、風景は薄ぼんやりとしか見えなかった。栃原川沿いの林道を車で入ったものの、足慣らしの意味もあって、林道の途中に車を止めて歩き始めた。林道は整備が進んだのか、地図の実線部分が終わっても暫く続いていた。大半は砂利道で道幅も広過ぎるほどあり、削られたばかりの岩肌が目立っていた。、菖蒲沢林道の名にあまり相応しくない乾いた風景になっていた。林道が終点となると、その先は小径が沢に沿って続いていた。周囲は樹林となり沢も落ち着いた雰囲気となった。やがて樹林が切れて伐採の跡地に出た。植林は植えられたばかりで幼木の風景が広がっていた。そこを過ぎるともう稜線は近かった。その稜線に達すると展望も良くなり、笠杉山を始めとして西から北にかけての山並みが眺められるようになった。ただモヤのためにはっきりとは見えていなかったは残念だった。そして程なく山頂に到着となった。山頂もそこそこ展望があり、潅木越しにだが南の達磨ヶ峰からフトウガ峰へと続く尾根が良く見えていた。この日は帰路も同じコースで戻った。倒木には少々煩わされたが、コースとしては緩やかでそこそこ手頃な登山を楽しむことが出来たと思った。なお季節がら新緑の真っ盛りで、若葉の蒼さが目にまぶしかったことが印象に残った。
(2003/10記)(2021/4写真改訂) |