TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨編
 
東山    ひがしやま 1015.9m
  No.9
点名・西深  にしふか 691.7m
  No.1
 
1/2.5万地図 : 音水湖/安積 宍粟市
 
【2008年10月】 2008-99(TAJI&HM)
 
    《東山》 国道429号線鳥ヶ乢の近くより 2008 / 8 《点名・西深》 生栖集落より  2008 / 10

 快晴の日は展望の期待出来る山に登るのが正しいのだが、2008年10月半ばの土曜日は、その快晴にもかかわらず、展望の有無も分からない未登の山に向かうことにした。別に新しさを求めてが理由では無く、近場でじっくり登れる山を歩きたいとの気持ちが強くなっての結果だった。遠くとも宍粟市一宮町辺りまでの山でと考え、「安積」の地形図を開いた。そして目に止まったのが深河谷集落の東に延びる尾根だった。尾根の南端から急坂が続いており、点名・西深を越えて822mピークまで歩けば標高差で600mほど登ることになり、じっくり登ったとの思いを持てそうだった。ここは以前から気になっていた尾根だったが、名の付く山も無く、いずれ登ってもよいかと思っていた程度だったが、うまくこの日の気持ちに合ったということだった。ただせっかくの好天なので、少しは気持ちの良い展望にお目にかかりたいものだと、そのことを気にかけながら自宅を離れた。
 やや朝をゆっくりしていたため、深河谷集落に着いたときは10時になっていた。もちろん尾根端から登るつもりのため、駐車地点は深河谷集落の南端にある樫原橋のそばとした。山すそには害獣避けのフェンスが張られていたが、橋の位置では切れており、そこから尾根端に取り付いた。始めは雑木が雑然としていたが、すぐに植林地を登るようになった。地図の通りに急坂が続いたが、下生えが無いためけっこう無理なく登って行けた。ただときおり枝打ちの小枝に足を取られた。急坂の植林地は薄暗く、ただひたすら登って行く。一度、風倒木があって木立の間から展望の現れたことがあり、そこに見えていたのは高峰だった。その上空は雲一つ無く、澄んだ青空が広がっていた。出来れば今少し展望があればと願ったが、その先はまた植林の壁だった。その尾根に変化が現れたのは最初の目的地の三角点ピーク(点名・西深)が近づいたときで、植林が切れて松林が広がり出した。一帯は陽射しを広く受けて明るくなっており、これは期待出来ると思っていると、三角点ピークはまた植林に囲まれてしまった。その三角点の位置で昼休憩をする。その先も登りは続くが、やはり植林地の尾根で、状況は変わらなかった。朝に予定していた最終目的地の822mピークも植林地で、結局、尾根端からずっと植林地の尾根を登って来ただけになってしまった。尾根はこの先も上り坂が続き東山へとつながるが、その東山まで歩く気は無く、また地図も東山が載っている「音水湖」は持っておらず、「安積」だけを持っていた。その「安積」の地図を開いて、地図の上端に載っていた980mピークまでを限度として、尾根に変化の現れる辺りまで更に歩き続けることにした。時計は既に12時半を過ぎており、時間的にも13時半を限度と考えた。更に歩き続けてみたものの植林地は切れることは無く続いた。ただ尾根は緩やかになっており、歩くのは楽だった。その尾根に変化が現れたのは980mピークが間近になったときで、漸く植林は終わって自然林に変わってきた。そうなると一気に雰囲気は良くなった。足元には落ち葉が積もっており、木立は少し色付き出していた。その中をそぞろ歩きで進んで行く。展望もあって南西の方向に暁晴山が眺められた。その感じの良さに更に尾根を歩いて、980mピークを少し見下ろす位置まで来て一休みとした。その直後、近くから人声が聞こえてきた。数人はいるようだった。方向からすると東山からのようで、その人声に誘われるようにそちらへと歩き出すと、5分とかからぬうちに東山山頂に出た。ずいぶん近くまで来ていたようで、何ともあっけない気持ちで山頂の展望台を見上げた。そこには4,5人がいたが、登山者では無く役所関係の人だった。その人たちはすぐに下山したので、後はパートナーと二人きりになった。時間は14時が目前になっており長居は出来なかったが、少しは展望を楽しもうと展望台に上がった。このおまけのように立った山頂だが、この日の山頂展望は素晴らしかった。午後に入ると日によっては薄ぼんやりとした視界になるのだが、この日は午後も澄んだ視界が広がっていた。氷ノ山もくっきり見えており、それまでの展望の悪さにお釣りが来るような展望だった。暫くは東に、北に、西へと目を泳がせてこの360度の展望を楽しんだ。但し、年々周囲の木立が生長しているので、展望台中央の柱の上に立ってこその360度だった。その東山山頂に立っていたのは20分足らずの時間。14時を既に過ぎており、登って来た時間を考えると、下山を急ぐ必要があった。その下山コースとしては822mピーク付近まで戻って、そこより西の谷へと下って林道を目指す考えだった。そこで再び自然林へと戻ろうとしたとき、標識が近くにあるのに気づいた。その標識で南西の五蔵山へ縦走コースの出来ていることが分かった。これを使えば五蔵山との鞍部からけっこうスムーズに林道へ下りられるのではと直感した。そのコースを歩き出すと、登山道としては明確では無かったが、目印の青テープと測量用の赤テープがコース上に点々とあり、ただそれを頼りに下るだけだった。こちらの尾根も始めは自然林だったが、途中から植林へと変わってきた。ただ植林となってむしろ歩き易いと言え、スムーズに下って行けた。そして山頂を離れてから1時間ばかりで、五蔵山との鞍部に下り着いた。あっけないぐらい早く着けたうえに、そこには真新しい林道がそばを通っていた。まだ出来たばかりのようで車道として使えるまでにはなっていなかったが、これで鞍部から更にスムーズに下って行けることになった。その林道とはまだ呼べない荒々しい作業道も、100メートルも下れば古い林道に変わった。もう後は緩やかな林道を足の下りるままに下るだけだった。深河谷集落へと入り、その集落の佇まいを眺めながら駐車地点に着いたときは、16時ちょうどの時間だった。下山は登りと比べると半分とかからぬ時間で戻ってしまって、ちょっとあきれるばかりのあっけなさだった。
 この日登った点名・西深を通る尾根はほぼ植林帯のため、歩く楽しさは良いとは言えなかったが、東山が近づいて美しい自然林となり、その後は東山の素晴らしい展望を楽しめ、更に五蔵山への縦走路も歩けて、けっこう変化のある登山を楽しめたとの思いを持つことが出来た。それにしても結局は東山を標高差800mで3時間かけての登山をしたことになり、朝の予定とはずいぶん違ってしまったと思いながら深河谷集落を後にした。
(2008/11記)(2020/9改訂)
<登山日> 2008年10月18日 10:05樫原橋スタート/11:21〜12:00点名・西深/12:38〜45[822m]ピーク/13;36〜54[980m]ピークの近く/13:39〜14:17東山/15:00林道出合/15:11古い林道に入る/16:00エンド。
(天気) 雲一つ無い快晴。気温は20℃と少し高めだったが、空気はからっとして爽やかだった。尾根では涼しい風も受けた。視界は良く、東山山頂からはすっきりとした展望が得られた。この好天は終日続いた。
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この樫原橋のそばから山すそに取り付いた 植林の広がる急斜面を登って行く 尾根はずっと植林地で続いた

植林の切れ目から
何とか展望を得た

素晴らしい快晴だ
った

左の写真の高峰を
大きく見る
三角点ピークが近づいて明るくなる 西に黒尾山を見る 三角点ピークは植林地だった
三角点(点名・西深)を見る 三角点の位置から進むと共同アンテナの立つ場所に出た 少し西に展望が開ける

尾根を登っている
と、ときおり暁晴
山が右手に望まれ


左の写真に写る暁
晴山を大きく見る
822mピークも植林地 この岩が目に付いた まだまだ植林地が続いた 標高が850mを過ぎて自然林が広がった
尾根の雰囲気は一気に良くなった 自然林の尾根は落ち葉に覆われていた 尾根はなだらかで歩き易かった
980mピークを過ぎた位置で一休みする いま歩いて来た980mピークを見る 人声の方に向かうと、そこは東山山頂だった

 さっそく展望台に立
 つと澄んだ視界が広
 がっていた  北の
 山並みを眺める
上の写真の三室山を大きく見る 上の写真の氷ノ山を大きく見る 上の写真の一山を大きく見る

 山頂展望台より西
 の風景を見る

上の写真に写る千
町ヶ峰を大きく見


上の写真に写る暁
晴山を大きく見る
南西に黒尾山を見る 西に植松山を見る
山頂そばに深河谷へのコース標識があった 深河谷コースを楽々と下る 深河谷コースの雰囲気は悪くなかった

 尾根の途中で前
 方が開けた コ
 ースは五蔵山へ
 の縦走路でもあ
 った

    左の写真の宮山
    を大きく見る
植林地を下るようになった 図根三角点を見る 林道は目前だった 林道に下り着く 真新しい林道だった
空は終日快晴で、周囲の植林が明るかった 古い林道に合流すると、落ち着きが出た 深河谷への道は、正面に行者山を見た