東山をフォレストステーション波賀から登るコースは、緩やかな遊歩道を登るとあって、ファミリー登山には最適なのだが、しっかりと登りたいときはどうしても雪の季節に訪れることになる。その東山の同コースを無雪期に登ることを考えたとき、梅雨の季節が面白いのではと思えた。風さえなければ傘を差しながら自然林の中をのんびりと登れそうに思えた。2011年の梅雨入りは早かった。5月の後半に入ると曇り空が多くなり、26日に梅雨に入った。その最初の週末も雨の予想だった。そこで28日の土曜日は、雨の中でも気軽に登れる山を訪れようと考えた。そして思いついたのが東山だった。新緑もまだ楽しめそうなので、最適ではと思えた。
小雨の降る中、フォレストステーション波賀の駐車場に着いたのは10時前。ここから歩き始めるのが基本なのだが、遊歩道歩きに専念したかったことと、尾根コースをピストンするルートを考えていたことで、車を更に奥へと進めた。そしてメイプルロード2号線に入り、登山口のそばにある作業小屋の脇に車を止めた。この天気で登る人は他にいないだろうと思えて、じゃまにならないとの判断でもあった。そして小雨の中を傘を差しながら歩き始めた。無雪期を歩くのは久々だった。ウッドチップの遊歩道は足裏に優しく、登山コースが緩やかと言うこともあって、何とものんびりと登って行けた。雨は尾根に出たときに一時的に雨脚が少し強くなったが、おおむね小雨で続いた。それと良かったのは風が僅かだったことで、傘を差しながらの登りは無理がなかった。ただ雨の東山は雲に包まれているようで、周囲はガスの視界だった。遊歩道にもうっすらガスが漂っていた。展望は楽しめないものの、新緑はかえって落ち着きある色を見せており、これも悪くなかった。雰囲気が良かったのは歩道1号線が合流する地点までで、その先は植林地が混ざり出して、落ち着き感は少し落ちてきた。その尾根の様子が山頂が近づいて以前と少し違ってきた。それは山頂手前の少し坂になった所を登ってきたときで、林道が尾根を横切っていた。どうやら開発が進んでいるようだった。登山道は尾根の上を続くが、林道は少し離れて東側を続いていた。また周囲は自然林が広がって雰囲気は良くなってきた。ただ少しずつ樹相は変わっているようで、アセビがかなり増えてきているのが分かった。そのアセビを見ているうちに山頂に着いた。その山頂がまた変わってきていた。東に広がっていた樹林が間伐されており、すっきりとした林に変わっていた。そのそばを林道が走っている。どうも東山の山頂はどんどん公園化が進んでいるようだった。その山頂だが、うれしいことに雨は止もうとしており、また周囲にガスは無く近くの尾根が見えていた。そうなると展望台の上に上がるのみ。西から北はガスに包まれていたが、南西には黒尾山が、東は木が切られたおかげで千町ヶ峰から暁晴山が雲海の上に姿を見せていた。てっきりガスの山頂かと思っていただけに、この展望にはちょっと特をした気分になれた。雲海は刻々と変化しており、ときに千町ヶ峰はすっかりガスに包まれたりしていた。その風景を見ながら少し早い昼食をとった。晴れてすっきと展望を楽しむのも良かったが、雲海に浮かぶ山並みを見るのも悪くなかった。山頂で過ごしたのは40分ほど。再び小雨が降り出したのをしおに下山とする。その小雨も降ったり止んだりで、止んでいるときの方が長かった。おかげで下山中は傘を差すことは少なくて済んだが、登山口に着く少し前より再び小雨が続くようになった。
下山を終えればフォレストステション波賀に立ち寄って、東山温泉で一汗を流した。まだ昼を回ったばかりの時間とあって、温泉は他に人影を見なかった。雨の東山を十分に楽しめたことに満足しながら、ゆっくりと湯に浸かっていた。
(2011/6記)(2020/9改訂) |