黒尾山を真夏に登りたくなったのは2015年8月のこと。この月は異常に仕事が忙しく、盆休みも無いまま8月も後半となり、22日に漸く休めることになった。久々の登山となるので、展望の良い千メートル峰を登りたくなった。そして選んだのが黒尾山だった。但し疲労がたまっていたので簡単なコースで山頂に立ちたいと考え、一番易しいと思える西麓の野々隅原からのコースを登ることにした。
国道29号線を山崎町今宿で離れて県道429号線に入った。その県道429号線を暫く走って山崎町上ノ下まで来ると、野々隅原を目指して県道546号線に入った。県道546号線は県道とは名ばかりで、全く林道と呼べそうな細い車道だった。しかもくねくねとしており、次第に斜度も増してきた。その細い車道で開けた所に出ると、そこが大国農場がある野々隅原だった。大国農場を左手に見て少し進むと、黒尾山林道が右手に分岐した。林道の入口にはチェーンが張られており、一般車は進入禁止になっていた。そこで近くの駐車スペースに車を止めて歩き出すことにした。朝の空気はさらっとしており、爽やかさがあった。盆を過ぎて山は、はや秋の気配が漂い出したようだった。この日のコースは何度か歩いた野々隅原コースなのでハイキングの様子については詳しく書かないが、林道歩きを40分ほど続けて登山口に着くと、そこには「黒尾山」とだけ書かれた標識が立っていた。西安積からのコースと比べるとマイナー感はあったが、特に急坂も無く無難に登って行けた。尾根に出ると、一度水剣山方向に展望が開けるも、程なく樹林帯に入った。緩やかに続く樹林帯を歩くも樹林帯歩きは長くは無く、すぐに抜け出した。目の前に見えたのは廃墟の電波塔で、はや山頂に着いたようだった。登山口から20分しか経っていなかったので、やはりこの野々隅原コースが黒尾山登山で一番易しいコースと言えそうだった。山頂に着いたときは11時前になっていたが、他に人影は無く、静かな山頂だった。無雪期としては6年ぶりとなる山頂は、少し様子が変わってきていた。三角点辺りこそ変わり無かったが、その周囲はススキが繁茂していた。一時はアセビがどんどん増えていたのだが、今はススキが視界を妨げていた。山は時と共に姿を変えていくようだった。山頂は涼し過ぎるくらいの風があって快かったのだが、直射光を受けていると、やはり暑かった。そこで木陰に避難して休憩とした。そして一休み終えたところで、展望を楽しんだ。この日の視界は澄んでいたのだが、前日の雨の影響が残っているようで、氷ノ山を始めとして高い山にはまだ雲が残っており、山稜は隠されていた。暁晴山より南はすっかり快晴で、スカイラインがくっきりと見えていた。一通り展望を楽しむと再び木陰に戻って、今度は昼寝を楽しんだ。山頂で過ごしたのは50分ほど。下山は北へと小野地区に向かうコースに入った。北尾根を歩くコースで、登山道が出来てからは初めて歩くことになった。尾根は緩やかで、往路コースと同じく易しく歩けた。その小野コースが程なく林道に接することになった。登山道はまだ尾根に続いていたが、こちらは小野地区では無く野々隅原に下る予定なので、コースを離れて林道に下りた。林道は枝分かれしており、西へと向かうコースに入ると、近道を示す標識が現れた。早く下山したかったため、その近道コースに入ったところ、結構荒れたコースだった。それでも下り坂とあってどんどん下ると、林道に合流することになった。その林道を進むと、長くも歩かず広い林道に合流した。朝に歩いた黒尾山林道だった。そこから林道入口の駐車地点までは10分の距離だった。ごく簡単なコースながら周回で黒尾山を楽しめたので、十分に満足の思いで野々隅原を後にした。
(2015/9記)(2020/3改訂) |