2019年10月の黒尾山登山は急な思い付きからだった。この日は宍粟市北部の山を目指していたのだが、天気は晴れの予想とは違って曇りの上に、県道6号線を北上して見えてきた北部の山並みは雲に隠されていた。そこで北部の山は諦めて山頂が見えていた黒尾山に目標を切り替えることにした。当然コースは西安積地区側からとした。標高550mの登山口まで林道走行だったが、西安積の林道は以前よりも更に荒れており、すっかり悪路になっていた。これではゲート近くから歩いてもよかったかと思ったほどだった。登山口に着くとその辺りの佇まいは以前とあまり変わっておらず、斜面の崩壊は進んでいなかった。登山口に立つ案内板の近くに駐車とした。そして往路コースは三つあるコースのうち右コースを登って行くことにした。その右コースは始めに作業道を歩いて行くのだが、作業道の荒廃は進んでおり、悪路と言うよりも道の形態をなさなくなっていた。一部はすっかり草ヤブになっていた。林道終点から登山道に入ると赤テープを追うようにして歩いた。始めは沢筋を歩くため、登山道も以前より荒れてきたのではと思えた。不動滝を巻いて進んだ先で沢筋を離れて中央コースの方へとトラバースするが、その辺りより漸くスムーズに歩けるようになった。中央コースに合流すると東尾根を真っ直ぐ山頂に向かって登った。東尾根は以前と変わらずスムーズに歩けた。虚空蔵尊のそばを過ぎ、行者尊への分岐点を過ぎて山頂へと近づいた。上空はずっと曇り空のままだったが、登るうちにいくぶん薄れてうっすら陽射しを受けることがあった。尾根の自然林は10月後半に入ったとあって色付いた木も見るようになった。山頂が近づくと尾根筋ははっきりしなくなり、後は赤テープを追って登った。そして歩き始めてから1時間半、中央コースと合流してから30分で山頂到着となった。山頂の佇まいは以前のままながら、二つあるベンチの老朽化が少し目立った。ただいつものことながら山頂に建つ電波塔の残骸を見て、これを撤去して展望台を置けば良い山頂になるのにと思った。山頂で30分ほど静かなときを過ごすと下山に移った。下山は中央コースを下った。中央コースは往路としてはしっかり登る感があって好きなのだが、下山コースにすると少々急傾斜すぎて常に滑らないようにと足下に注意が必要だった。中央コースの傾斜は緩むことはほとんど無く、ときに急過ぎる所は尾根を巻くようになっていた。岩の多い所が現れると、その先で尾根筋を離れて右手の方向へと向かった。道ははっきりしていなかったが、目印テープを追って下ると中央コース登山口に下り着いた。そこから駐車地点までは数十メートルの距離だった。
(2019/10記) |