TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨 
 
笠杉山    かさすぎやま 1032.1m 宍粟市・朝来市
 
1/2.5万地図 : 神子畑
 
【2007年10月】 No.3 2007-87(TAJI&HM)
 
    千町小屋の南にある尾根より  2007 / 10

 孤高の山と言われた笠杉山も登山道が整備されて、千町小屋から大乢(おおたわ)経由で登れば、片道1時間程度で山頂に立てるお気軽な山になっている。ただ山頂展望が今ひとつとあって、再訪を重ねる山としては少し魅力に乏しいかと思っていた。その笠杉山をひょんなことで登ることになった。暑かった2007年も10月半ばとなって、町にも涼しさが漸く出て来た。山も秋の登山シーズンに入っており、この日考えていたのは、播州最奥の但馬に近い山域だった。そして県道6号線(宍粟朝来線)を走っていたのだが、どうも空模様が思わしくなかった。姫路の空こそ青空が見えていたのだが、北に向かうにつれ雲が増え、山崎町に入る頃には空は黒い雲にすっかり覆われていた。これではすかっとした展望は期待出来ないと思えて、少し手前の山域で軽めのハイキングで済ますことにした。そこで県道6号線沿いで手頃な山を考えたとき、すんなりと笠杉山が思い付いた。暫く訪れていなかったため、久々に登るのも悪くないのではと思えたものである。そしてコースは県道6号線に近い千町側からと考えて、草木、千町へと向かう車道に入った。千町地区を抜けて笠杉山に向かう林道へと入り、暫く走って千町小屋の前に着いた。ここでちょっと抵抗を感じたのは、そこから大乢経由で登ってしまうとあまりにも簡単な登山になってしまうことだった。そこでコースを少しひねって、遠回りで大乢に近づくことにした。それは始めに南へと杉山に向かうコースを歩き、「くじら石」を通って尾根に出る。後は尾根なりに北へと歩いて大乢を通って山頂に立つというアイデアだった。車は人気の無い千町小屋の駐車場に止めた。そこより林道を越えて南に続く遊歩道へと入る。この道は1月の杉山登山のときにも歩いており、そのときは雪道だったが、この日見る風景は優しげな雑木林の広がる風景で、ごく気楽な散歩道だった。その遊歩道が終わって山道となり、山腹をつづらに登り出した。周囲の風景に目をやりながらゆっくり登っていたところ、尾根までの中間点辺りに来たとき、道に点々とシバ栗のイガが落ちているのが目についた。雑木林とあって栗の木も多いのだろう。まだ落ちてから日にちが経っていないようで、実の詰まっているイガも多かった。実も半分は虫に食われていたが、十分に栗拾いが楽しめそうだった。そこで栗拾いの開始である。前の週の法道寺山登山に続いて二週連続となった。ちょっと拾っては登り、ちょっと拾っては登りの繰り返しとなったため、すっかりペースは落ちてしまった。ただあまりたくさん拾っても処理に困るだけなので、1回の栗ご飯分だけ拾うとあっさり止めることにした。そして歩くことに専念した。道なりに登って行くだけなので気楽なものだった。尾根に出ると、途中から分かれた杉山へのコースに入る。その杉山コースで一度林道に下り、そして登り返して「くじら石」を通り抜けて杉山への尾根に出た。そこより尾根を南に辿れば杉山で、北に辿れば大乢経由で笠杉山へと向かうことになる。「くじら石」の辺りこそ道が分かり難い所があったが、尾根に出るとはっきりとした尾根道となった。周囲は優しげな自然林の風景で、歩いていて楽しくなる所だった。大乢へは緩い下り坂なので、いっそう楽だった。周囲の木々に目を遊ばせながら大乢へと近づいた。大乢に着くと、そこには小さな祠が登山者を待っていた。その先は笠杉山登山のメインコースである。その登りに入ったとき、すぐに左手に工事中の林道が見えて来た。登山道の間近まで工事がされており。これが出来れば笠杉山登山はいっそう簡単になりそうだった。その工事の現場を横目に登山を続けると、大乢から25分で山頂だった。その山頂が明るくなっていた。どうやら展望を妨げる木々が切られたようで、西側が大きく開けていた。どうも山の名が知られて人の訪れが増えて来ると、山頂に手が加えられるようだった。自然の流れというものだろうか。山頂には風があって少し肌寒さを感じる中、その西に開けた展望を楽しんだ。曇り空の下で少しぼやけた見え方だったが、播州の千メートル峰を一望出来た。この山頂で過ごしたのは20分ほど。下山は一般ルートとなる大乢経由で千町小屋へと向かった。そのルートで登山口に着いたとき、その先からは林道を歩かずとも遊歩道で千町小屋に戻れることが分かった。雑木林の中を遊歩道が続いていたが、遊歩道はウッドチップの道で手摺りも付いた立派なものだった。その様を見ながら千町小屋へと近づいたが、ここにそんなにお金をかけなくとも、もっと登山コースの整備や登山コースを増やす方にお金を使ってもらいたいと思ってしまった。
 ところで帰路で産直市場に立ち寄ったのだが、そこでもシバ栗が売られていた。その値段はと見ると、この日、山で拾った分量は100円程度のものだった。やはりシバ栗拾いは拾うことの楽しみだけでするのでないと、割が合わないようだった。
(2007/11記)(2011/1改訂)(2020/7改訂2)(2023/9写真改訂)
<登山日> 2007年10月13日 9:21スタート/10:19最初の尾根上にでる/10:48くじら石/11:00杉山・大乢分岐点/11:21大乢/11:45〜12:08山頂/12:36大乢/12:45登山口/12:57エンド。
(天気) 姫路の空こそ青空がみられたが、播州北部はすっかり雲に覆われていた。それも黒みのある雲で、薄暗い雰囲気だった。気温は低めで、登山口で15℃、山上では11℃まで下がった。少し風もあって肌寒さを感じた。視界はくっきりとはしていなかったが、まずまず遠くまで見えていた。
<< Photo Album 2007/10/13 >>
遊歩道を歩き始めて千町小屋の方向を振り返る 登山道には真新しい栗のイガがたくさん落ちていた 遊歩道は全体的に新しい印象を受けた
周囲は自然林が広がっている 木々が切れたとき北東方向に笠杉山を見た 歩き易い登山道が続く
北西に大段山を見る 杉山コースに入った 植林帯を下る 杉山コースは一度林道に出ることになった
播但尾根に向かっていると岩の点在する所に出た 大岩の一つが「くじら石」のようだった 播但尾根に出ると、後は尾根を北へと歩くだけだった
大乢では石仏が出迎えてくれた 大乢を過ぎると工事中の林道が間近に見えた 笠杉山の登山道はごく気楽な雰囲気だった
山頂が目前になった 山頂は木々が切られてすっきりとしていた 山頂に立って登ってきた方向を見る
木々が切られて良く見えていたのは、この西に向かっての展望だった 梢越しだったが、北には建屋山の尾根も見えていた

(←)
山頂から少し戻っ
た位置からは東の
展望があった

 (→)
  左の写真の左に続
  く山並みを見る
登山口には小さな標識があったが、見過ごしてしまいそうだった 登山口から千町小屋に続く遊歩道は、山奥に不似合いな立派なものだった 優しげな遊歩道を歩いて千町小屋へと戻って行った