笠杉山は千町段ヶ峰林道が出来たことによってごく簡単に登れる山となり、じっくり登りたいときは不向きな山と言えそうだった。その笠杉山は夏はコースタイムの短いことが利点となり、木陰の多いことと相まって大汗にならずに登れるので夏向きの山ではと思うようになった。
2023年の夏は暑い日が続いて、下旬に入っても変わらなかった。それでも千メートル峰ならそろそろ秋が感じられるのではと思ったとき、笠杉山が思い浮かんだ。まだ8月でもあり30分程度で山頂に立てる千メートル峰として笠杉山が最適ではと思えた。向かったのは8月の最終土曜日、26日のことだった。笠杉山へのアクセスとして上千町集落から千町林道へと入った。広域基幹林道の千町段ヶ峰林道に合流すると北上して、大乢登山口が現れるとその近くにあった空き地に駐車とした。播州南部は快晴だったが、宍粟市の北部は雲の多い空だった。それでも晴れとは呼べそうだった。登山口の標高は880mとあって、涼しさは感じられないものの暑いとは感じなかった。登山口に入るとすぐに市境尾根に出た。すぐそばが大乢で、朝来市側からも林道が来ていた。尾根に出れば後は北へとただ尾根筋を歩くだけだった。尾根には小さなアップダウンはあったが、尾根道ははっきりしており易しい尾根歩きだった。植林地を過ぎると自然林の尾根歩きだった。アセビの繁茂している所はあったが、登山道を塞ぐようなことは無かった。登山口に入って25分で左手から大乢北コースが合流すると、そこより数十メートルと歩かず山頂到着となった。ほぼ陽射しのないまま歩いて来たのだが、山頂到着に合わせるかのように上空は青空となり陽射しが広がった。陽射しを受けていると暑いので、木陰に入って休憩とした。休んでいると、ときおり涼しい風を受けた。風はさらっとしており期待通りの爽やかさがあった。一息つけた後は山頂からの展望を楽しむことにした。山頂の西側は少し木が伐られたのかすっきりと展望があり、後山から氷ノ山までが一望出来た。この日の視界は悪くなく、氷ノ山は山頂避難小屋も見えていた。山頂で休んでいたのは1時間。山頂で秋を感じるのが目的だったので、下山はすんなりと往路を戻った。その下山では木々の隙間から覗く展望を楽しみながらだったので、往路以上に時間がかかっての下山となった。それでも山頂から40分ほどで登山口に戻ってきた。そのときアクシデントが待っていた。これで登山は終わりと思って登山靴を脱いだとき、山ヒルにかまれた跡を見た。靴下の一部が真っ赤になっていた。山ヒル対策を全く考えずに登っていたことが悔やまれた。念のために改めて体を探ると、もう一カ所かまれていた。夏の笠杉山は山ヒル対策が必要のようだった。
(2023/9記) |