TAJIHM の 兵庫の山めぐり <中播磨
 
夜鷹山    よたかやま 1055.9m 神河町
 
1/2.5万地図 : 長谷
 
【2008年3月】 No.3 2008-25(TAJI&HM)
 
    暁晴山より  2008 / 2

 宍粟市の東部から神河町へかけて広がる峰山高原は、標高が千メートルを越えるとあって冬は白銀の世界へと変わるが、その冬に登山対象となるのが西の暁晴山と東の夜鷹山だろう。どちらも峰山高原のレクリエーションセンターとなるホテル・リラクシアを起点として林道でアプローチすれば、無理なく山頂に立てる山ではと思っている。その考えで2008年の2月に入って快晴となった11日に暁晴山を登った。ただ暁晴山の山頂とホテルの位置とでは標高差は150メートルほどしかないとあって、スノーシューハイキングとしては楽しめても登山の対象としては少しもの足りなさがあった。その暁晴山登山より三週間経った3月2日は休日として久々に兵庫全域が快晴となった。そこで雪山を登ろうと考えて、暁晴山の次は夜鷹山を目指そうとすんなり決めたが、今度はしっかり登ろうと林道では無いコースで目指すことにした。そこで南麓側となる黒岩滝を通る夏道コースで登って行くことにした。
 3月に入るとそれに合わせたかのように、朝の空気はいくぶん暖かさが出て来たように思われた。一宮町内で国道29号線を離れて坂の辻峠への県道に入る。坂の辻峠への登り坂にかかっても雪は路肩に少し見られるだけで、山の姿もさほど白さは見られなかった。坂の辻峠を越して神河町へと入り上小田集落を通っていると、黒岩滝コースの標識を見た。そこから登山口までは林道を200メートルほど走るのだが、その入口には除雪の雪が50センチ以上積まれて入れなくなっていた。その先の林道の雪は少なそうに見えたので、そこで除雪の雪を何とか除けて進入した。すると林道の雪は次第に増えて来た。100メートルほど進んだときに、とうとう車の底が雪に乗り上げて動かなくなってしまった。車高の低い車なので心配していたのだが、それが現実になってしまった。運転をパートナーに任せ、こちらは車を押してバックで何とか脱出する。これに諦めず雪を除けたうえで勢いを付けて突入し、何とか乗り越えた。すると50メートルほど進んでまた乗り上げてしまった。そしてまた脱出である。この二度のスタックで登山口には9時に着けそうなところが30分は時間をロスしてしまった。車は登山口にある小橋の手前の2台ほどのスペースに止める。その先の登山道を見ると雪は20〜30センチほどと少なかったが、その先で増えて来ることを予想して最初からスノーシューを履くことにした。後は登山道を辿って行くだけと、気楽な気持ちで歩き出す。まずは太田池方向と黒岩滝方向に道が分かれるが、ここは黒岩滝コースをとる。そして沢沿いを進めば良かったが、ここで要らぬ考えが起きた。それは行きと帰りでコースを変えてみようと思うもので、沢沿いの登山コースは下山時に歩くこととして、登りは尾根を北へと真っ直ぐ登って最短距離で夜鷹山を目指すことにした。尾根はけっこう急勾配だったが植林地でもあり、木に掴まりながらならどうにか登って行けそうだった。それとどのみち雪の上を歩くので、どこを歩いてもさほど変わらないと思えた。スノーシューは急斜面には向いていなかったが、雪質が軟らかいため履いていないと確実に膝まで潜りそうで、その意味では役立っていた。一歩一歩ゆっくりと木に掴まりながら高度を上げて行く。これはけっこう体力を使ったが、しっかり登山をしている感じで悪くは無かった。高度を上げるうちに大岩が現れて、それを何度か巻くことになった。雪はさほど増えず、多くても50センチほどか。1時間ほど登って夜鷹山中腹を巡る水路に着いた。その水路に架かる鉄のフレームを渡って水路を越える。その先でまた大岩に進路を阻まれたが、そこも巻いて通り過ぎると、漸く尾根は緩くなって来た。それと共に辺りの雪は一気に増えたようだった。漸くスノーシューの本領発揮だった。周囲は相変わらず植林地が続いていたが、前方の空が次第に広くなって来て程なく樹林帯を抜け出した。そこは峰山高原の一角で、その先はほぼ平坦になっていた。右手は伐採地になって展望が広がっており、暁晴山まで一望だった。明るい空と雪の高原風景にすっかりスノーハイキングの雰囲気となり、展望を楽しみながら夜鷹山を目指して行く。雪は少し軟らかいようで、一歩一歩にスノーシューは10センチ以上潜ったが、まずまずの歩き易さだった。平坦なままに歩いて行くと林道に出会った。これで現在地がはっきりとした。林道はすっかり雪の下で、その辺りの雪は1メートルは十分に越えていそうだった。前方に間近くピークが見えており、それは1010mピークのようで、夜鷹山はまだ見えて来ない。その1010mピークへの登りにかかる。登ると言ってもごく緩やかなもので、ハイキング気分は変わらなかった。木立はまばらでほぼ好きな所を登って行くと、20分ほどで1010mピークに着いた。そこは木立が少し雑然としていたが、その木立を通して漸く夜鷹山のピークが望まれた。もうほんの目と鼻の先だった。その左手遠くには千町ヶ峰が覗いている。夜鷹山への最後のひと登りもごく緩やかなもので、楽々と言った感じだった。ちょうど防火帯なのか山頂に向かって木立の切れた所があったので、そこを登って行く。坂を登り切ると平らになり、山頂が見えるとそこはいくぶん木が切られたようで、すっきりとしていた。その中に丸太で作られた展望台が建っている。まずは展望台へと上がった。それまではほとんど風を受けずに登って来られたのだが、山頂に着いて冷たい北風を受けることになった。そして展望台には2,3メートル上がるだけなのに、その風が一気に強くなった。その風の冷たさに負けずに大展望を楽しんだ。まず足下の太田池の佇まいが目に飛び込んで来る。周囲を白い世界に縁取られながら青い色をたたえていた。そしてその東が大展望と言ってよく、北東の千町ヶ峰から南東の笠形山まで一望だった。西を向けば広々と峰山高原の風景があり、そして北は白い氷ノ山だった。展望の無いのは樹林に隠された南側のみで、もう十分に満足の展望だった。三週間前に訪れた暁晴山は人の訪れが多かったが、こちらの夜鷹山はただ静寂の世界だった。ひと通り目を楽しませた後、昼休憩とした。展望台は木で作られているため暖かいのか、一角の雪が溶けており、そこにパートナーと二人して並んで昼食とした。その昼休憩の間に空が少し白っぽくなってきた。見ると南の空は薄曇りになっており、そちらから急速に薄雲が広がろうとしていた。昼食を済ませた頃には空の半分ほどが薄晴れとなっており、もうしおどきと考えて下山とした。下山は予定通りに黒岩滝コースを歩くことにした。林道までは登って来たコースを戻り、そして林道を少し暁晴山側へと歩いて滝に最も近づいたときに林道を離れた。後は植林の急斜面を一気に下って行く。ちょうど方向としては暁晴山に向かうようにして下って行った。途中で水路に阻まれたが、近くに水路がトンネルになった所があり、うまく通過出来た。そして下り易そうな所を選びながら方向を逸れないように下ると、沢が間近になったときに断崖になった所に出てしまった。これは危険ムードいっぱいだったが、方向としては間違っていないはずで、少し南へと迂回するとそこが黒岩滝の位置だった。ほんの僅か北の位置に下りていたようだった。黒岩滝に着くと標識もあり、登山道も雪に隠されれていたがはっきりしていた。もう後は谷に沿って続く登山道のままに下れば良かった。急斜面を一気に下って来たので谷沿いの道は緩やかなまま続いており、スノーシューのおかげもあってけっこう気楽だった。そして夜鷹山山頂の大らかな雰囲気を思い出していると、自然と温かい気持ちが広がってきた。登山口に着いたときは上空はすっかり薄曇りの空に変わっていた。
(2008/3記)(2021/1改訂)
<登山日> 2008年3月2日 9:36スタート/10:40水路/11:04〜08展望地/11:18林道出合/11:35[1010m]ピーク/12:01〜40山頂/13:00林道出合/13:07林道を離れる/13:30〜38黒岩滝/14:24エンド。
(天気) 朝の空は快晴。青空が広がっていた。樹林帯の気温は3℃、山上に出ると5℃ほど。山頂では少し冷たい風を受けるが、さほど寒さは感じず。昼頃から南の空が薄晴れとなり、次第に広がって来た。下山を終えた頃にはすっかり薄晴れから薄曇りの空に変わっていた。視界はまずまず良かった。雪は山頂付近で1メートルを越えていたように思われる。
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小橋の先の登山道を見る 黒岩滝コースと太田池コースの分岐点を見る 黒岩滝コースに入って急勾配の植林地を登って行く
おおむね植林地を登っていたが、雑木林になる
こともあった
中腹を巡る水路に着く 水路は暖かいのかそこ
だけ雪が溶けていた
水路を越えて今少し登ると、尾根は漸く緩くな
って来た

 樹林帯を抜けると
 西に向かって一気
 に展望が開けた
林道に着いて夜鷹山手前の1010mピークを見る 林道から暁晴山を望む 1010mピークへと緩やかな雪面を登って行く

 1010mピーク
 は木立が少し雑然
 としていた

 1010mピーク
 に着いて、漸く夜
 鷹山が望まれた
夜鷹山に向かうと、雪面が広がった 鞍部を歩く 好きな所を歩いて行く 夜鷹山に向かって木立の切れた所が続いていた
山頂が目前になると辺りの木は切られていた 山頂の展望台が見えて来た 展望台に上がって登ってきた南の方向を見る
展望台からの展望では、この東に向かっての広々とした眺めが最高だった 右下に太田池を見る
上の写真の生野高原の方向を大きく見る 上の写真の千ヶ峰の部分を大きく見る

 山頂展望台より西
 の方向を見る

 暁晴山を大きく見
 る ホテルが手前
 に見えていた

   上の写真の後山を
   大きく見る
北西の三室山から氷ノ山へと続く山並みを見る 立つ位置を変えると氷ノ山の右手に妙見山が望めた
上の写真の三室山を大きく見る 上の写真の氷ノ山を大きく見る

 妙見山を大きく見
 る

    足下に広がる大田
    池を見る
下山時に再度水路を越える 木立を通して黒岩滝を見る 雪に覆われた登山道を戻って行く