TAJIHM の 兵庫の山めぐり <北但馬 
 
蘇武岳    そぶだけ 1074.2m 豊岡市・香美町
 
1/2.5万地図 : 栃本
 
【2008年3月】 No.3 2008-34(TAJI&HM)
 
    妙見蘇武林道より  2008 / 3

 どうも山頂そばを林道が走っていることに抵抗があり、なかなか蘇武岳には足が向かないが、2008年は残雪期が長く、3月の終わりといえども但馬の高峰にはたっぷりと雪が残っていた。その残雪期なら蘇武岳には抵抗は無いので、二度目の残雪期登山として2008年3月の最終土曜日に訪れることにした。前回から8年が経っていた。行くと決めたもののどのコースを登るかだったが、前回の名色からとは違うコースで登ろうと地図を広げてみた。やはり名色からが良いかと思ったが、ただ持っていた「栃本」の地図が1991年測量と古いため、念のためにインターネットの地図閲覧サービスを覗いてみた。すると蘇武岳の山頂そばを通る妙見蘇武林道が延伸されており、三川林道とつながっていることが分かった。前回の下山で歩いた名色スキー場の隣に万場スキー場があり、そのリフト最高点のそばを延伸した林道が通っている。これに注目して決めたのが、万場スキー場を登って林道に出、後はひたする林道歩きで山頂を目指すルートだった。これを往路として、下山はすんなり名色スキー場へ下りようと考えた。
 29日の但馬の天気予報は昼までは曇りで午後に晴れとなっていた。但馬に入るとその通りの天気で、空は雪雲と言うかガス状の雲で覆われていた。但しちらちらと青空が見えていたので、晴れる兆しはあった。国道482号線を走って蘇武岳に近づいて行くと、蘇武岳の稜線は僅かにガスで隠されていた。駐車地点は20日で営業の終わった万場スキー場チケット売り場に近い空き地。スキー場を見るとゲレンデの裾野はすっかり雪が消えていた。スノーシューをザックにくくりつけて歩き出す。ゲレンデを適当に登って、まずはリフト最高点を目指して行く。中腹に近い位置まで雪が無いため、軽トラックがスキー場の道でその辺りまで上がっているのが見えた。その軽トラックのそばを通り過ぎると雪の上を歩くようになり、雪は徐々に増えて来た。斜面に積もったザラメ雪は滑り易いのでスノーシューを履いて登って行く。少し登るとゲレンデはすっかり雪に覆われており、まだまだスキーの出来る状態だった。スキーリフトの終点が見えて来たのでそちらに向かって急坂を登ろうとしたとき、左手に緩やかに林道の始まっているのが見えた。少し遠回りになるが林道を歩くことにした。どうやら妙見蘇武林道から分かれてリフト終点まで来ている枝林道が延伸しているようだった。その通りで林道を歩いて行くと、リフト終点が近づいて来た。それと同じくして林道ののり面にフキノトウが見られるようになった。今年初めてのフキノトウが珍しく、少々摘むことにした。リフト終点に着くと、そこからは地図通りに林道を歩いて行く。林道の雪は既に1メートルを越えており、周囲の風景もまだまだ冬姿だった。林道歩きの一つのポイントとなる妙見蘇武林道に合流したのはちょうど12時。歩き始めてから2時間半近く経っており、これはちょっとかかりすぎである。地図を見ると山頂までまだまだ距離があり、雪道なのでまだ2時間近くかかりそうだった。ただ天気予報からして早く着いても曇り空なので、午後遅くの到着はあまり気にならなかった。林道は稜線の間近をほぼ平坦なまま続いている。雪は更に増えており、多い所で2メートルは積もっていた。また道そばの木立にブナの巨木を見るようになった。その木立が切れたとき展望も現れて、さほど離れていない位置に白菅山から小城山へと続く尾根が見下ろす形で眺められた。少し進むと前方に真っ白なピークが見えて来た。その左隣にも小さなピークが並んでいる。どうやら白いピークが蘇武岳山頂で、隣は1040mピークのようだった。早く見えるピークはなかなか着かないという山の格言があるが、その距離はどうみてもまだ1時間以上は十分にかかりそうだった。既に3時間ほど歩いており足は十分にくたびれていたがややピッチを上げて歩くことにした。空はまだガス雲が多かったが、次第に青空の部分が広くなっていた。歩くうちに展望も変化して、今度は青ヶ丸が西の方向に見えて来た。やがて氷ノ山も見えて来るのだろう。それにしても4月が目前だと言うのに、しかも林道の走っている位置は千メートルに達していないのにこれほどたっぷり雪が残っているのは予想以上だった。雪面が真っ白なのは昨日にでも雪があったようで、よく見ると1センチほど新雪が積もっていた。その雪面をただ黙々と歩くのみ。助かるのはスノーシューが多くても5センチほどしか潜らないことで、歩くのはスムーズだった。山頂は本当に徐々に徐々にの感じで近づいて、漸くの思いで山頂のそばに着いたときは午後の2時が近づいていた。林道を離れて東側から山頂を目指すことにした。目指すと言っても林道と山頂との標高差は30メートルも無いので、ほんのひと登りだった。その東側に回り込むと、そこにはいっぱいの足跡が新雪の下に残っていた。どれもツボ足で登っており、グループで勢いのままに登って来たようだった。その足跡を追って山頂に出た。山頂はすっぽりと雪に包まれており、ちょうど空は晴れて新雪が輝いていた。遅い時間の到着となったが、漸く昼休憩とした。山頂は肌寒い風があったが、陽射しがそれを相殺しており、まずはのんびりと過ごすことが出来た。お腹もふくれて改めて山頂からの展望を楽しむことにした。山頂は西側をカラマツ林に隠されていたが、その林を右手に南へと歩いて行く。正面には妙見山が大きく見えている。そして林の切れる所まで歩くと、西に展望が一気に開けて氷ノ山が現れた。鉢伏山も青ヶ丸も一望だった。ただそちらの上空は雲が厚く、扇ノ山は雲に隠されていた。その勇壮な山並みを眺めていると、氷ノ山を中心としたエリアが兵庫の屋根と言って間違いなさそうだった。この山頂からは東の方向が一番広く眺められたが、そちらは近くに見える大岡山は別にして、多くの山が距離を置いているため、ただ山々の広がりとして眺められた。この日の視界はややモヤがかっていたが、そのうっすらとした視界も雄大な山を眺める気持ちを弱めることは無く、暫し時間を忘れて雪山の風景を楽しんだ。おかげで展望の良さにつられて50分ほどを過ごしていた。下山は予定通り名色コースを下ることにした。これは楽だった。雪面に付いているトレースを追って行くだけである。登りの万場からのコースはほぼ林道歩きだったが、こちらは尾根の林間コースとあって登山道としては良い雰囲気だった。尾根はなだらかに続いており、残雪期の自然林の風景は目に優しかった。また上空は青空が広がっており、林は穏やかな光に包まれていた。1時間ほど歩いて林道に下り着いた。その林道をずっと歩くつもりは無く、備前山が近づくと林道を離れて備前山に向かった。向かうと言っても林道は山頂のそばを通っているため、数分で山頂だった。その山頂は名色スキー場のリフト頂上駅があり、ゲレンデが広がっていた。この名色スキー場もまだ滑走可能な雪の量が残っていた。このスキー場をコースのままに下れば無難に麓へ下り着けるが、コース沿いの尾根が真っ直ぐ万場スキー場へと延びている。その北向きの尾根を下ることにした。始めはスキーコースを下っていたが、コースが尾根から離れると、後は尾根のままに下って行った。尾根には雪の消えている所も多くあり、ここで漸くスノーシューを脱ぐことになった。尾根はクマザサがあって少しヤブ尾根になっていた。そして最後は急坂となったが、適当に歩き易い所を選んで下ると、無事に万場スキー場に下り着いた。もう夕暮れの空色になっており、その空には再び雲が広がろうとしていた。
(2008/4記)(2010/8改訂)(2019/9写真改訂)
<登山日> 2008年3月29日 9:40スタート/10:45林道に入る/11:16〜27万場スキー場リフト頂上/12:00妙見蘇武林道に合流する/13:48〜14:38山頂/16:01〜05備前山/16:35作業道出合/17:02万場スキー場に出る/17:08エンド。
(天気) 朝の空は曇り空。ときおり陽が射すかと思えば小雨のぱらつくこともあった。ただ徐々に天気は良くなっていた。妙見蘇武林道を歩く頃には小雨は無くなり、ガス雲から陽射しの現れる時間が長くなっていた。その空に青空が広がり出したのは山頂が間近になってから。山頂ではほぼ青空となる。気温は麓で10℃、山頂で7℃。北風が少しあり、山頂ではやや強くなった。視界はガス雲の影響なのか少し薄ぼんやりとしていた。山頂と言わず林道の上にも雪はたっぷりと残っていた。多い所では2メートルを越えていた。下山中は青空が広がり視界も良くなっていたが、下山を終えたときは、再び雲が広がろうとしていた。
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万場スキー場は裾野の辺りに雪は見えなかった 雪の無いゲレンデを登って行く スキー場は中腹辺りから一気に雪を見るようになった
スキーリフトの最高点が見えて来た 上部はまだ十分にスキーが出来そうだった ゲレンデを途中で離れ、雪の林道を歩いて行く
林道の法面にはフキノトウが顔を出していた スキーリフト最高点に着く 稜線方向を見る 妙見蘇武林道を目指して枝林道を歩いて行く
林道からは大岡山が良く見えていた 妙見蘇武林道に合流すると雪は一段と増えた 妙見蘇武林道に入ると北西に白菅山が望まれた
白菅山を大きく見る 小城山を大きく見る 林道の雪は1メートル以上に増えてきた
林道そばの林を見る ブナの大木を見ることもあった 山頂が見えて来たが、まだまだ距離があった
前方に見える山頂を大きく見る 陽当たりの良い所は根明けの風景になっていた ガス雲が割れて陽射しの現れるときが増えてきた
徐々に山頂が近づいて来た このカーブミラーはすっかり埋まっていた 雪面に映る林の影を見る

(←)
西には雄大な山並み
が見えていた

   (→)
   青ヶ丸と仏ノ尾を大
   きく見る

(←)
歩いてきた林道
を振り返る

  (→)
  白菅山がずいぶ
  ん後ろに見える
  ようになってい
  た
山頂に近づいて林道の雪は更に増えて来た 山頂が間近になって来た 林道を離れる直前に山頂を見上げた
山頂に向かって最後の登りにかかる 山頂に着いて雪に埋もれた山名標柱を見た 山頂を少し南の位置より眺めた
山頂より歩いて来た北の方向を眺める 左の写真の三川山を大きく見る その左には小城山が小さく控えていた

山頂からは南に妙
見山が大きく見え
ていた 南西には
氷ノ山と鉢伏山を
見る
    
上の写真の位置より今少し南の方向に下ると、西の風景が一気に広がった 氷ノ山を始めとして但馬の高峰が一望だった ただ扇ノ山は雲に隠されていた
上の写真に写る氷ノ山を大きく見る 上の写真に写る鉢伏山を大きく見る 上の写真に写る陣鉢山を大きく見る

(←)
山頂より北東に
大岡山を見る

 (→)
  山頂より東に床
  尾山を見る
山頂から近くの尾根の雪を見る 下山は名色に向かう登山コースを下る こちらのコースにはトレースが付いていた
柔らかい光が木立の影を作っていた ブナの大木を見上げる 冬枯れの尾根を下って行く

(←)
尾根の途中の展望地
より南東の山並みを
見る 視界は澄んで
きたようだった

 (→)
  とんがり山を大きく
  見る
床尾山も山頂で見るよりもくっきりと見えていた 林道に下り着いた 備前山に着く 山頂は名色スキー場の最高点だった

(←)
名色スキー場よ
り北東に大岡山
をすっきり見る

 (→)
  左の写真の矢次
  山を大きく見る
上の写真に写る大岡山を少し大きく見る 名色スキー場からは三川山もすっきりと望めた 名色スキー場からは万場スキー場を目指して下った