但馬の名峰、蘇武岳をじっくり味わうには麓から登ることになるが、その麓からのコースの一つに万場スキー場から大杉山と併せて周回で歩くコースがあり、その周回コースを2019年5月のゴールデンウィーク期間中に歩くことにした。
向かったのは令和と元号が変わって4日目の5月4日で、朝からこれ以上は無いと思える素晴らしい快晴の日だった。万場スキー場の先にある登山口まで車を進めることが出来るが。少し手前から歩き出そうと、スキー場手前の万場天神社に車を止めた。そしてスキー場へと歩き出した。万場スキー場に入ると、車道はゲレンデに沿って真っ直ぐ西に向かっていた。その道がゲレンデの傾斜が増してきたとき左手に離れ出して、林道と呼べる道となった。その林道を少し登ったとき、大杉山の登山口が現れた。そこは一合目でもあった。登山口にはコースの案内板が立っており、それを見ると途中には幾つか滝があるようだった。登山道は始めは緩やかな道で沢に沿っていた。その沢に最初の滝が現れた。それは口の滝で、間近で眺めようと近づいたとき、ちょっとしたアクシデントに見舞われた。濡れた石に足をかけたとき滑ってしまい、よろけたはずみにカメラを水に浸けてしまった。濡れたのはボディのみだったが、すぐに水を拭き取ったものの既に手遅れだった。水は内部に進入したようで、カメラは次第に動かなくなってきた。そこでスマホのカメラ機能で写真を取ることに切り替えたのだが、けっこう時間をロスしてしまった。そのことは別としてこのコースの新緑が何とも素晴らしかった。まさに新緑の森林浴で、ブナを始めとして木々の緑に目を楽しませた。登山道は中の滝の先で二手に分かれたので、先に大杉山に立ちたく直進コースを選んだ。登るほどに緑の美しさは増すばかりだった。但しコースは大杉山までひたすら上り坂で、しかも登山口と山頂との標高差は600mあるとあって、しっかり登ることになった。ときおりは展望もあり北に三川山を見た。この日は強い風があり、その風に塵は払われたのか視界は澄んでいた。登るうちにカメラ内部の水は少し乾燥したのか、シャッターを押せるようになった。オートフォーカスは使えず露出もめちゃくちゃだったが、何とか写真を撮れるようになったので、スマホと併用しながら写真を撮った。アクシデントがあったこともあって、大杉山山頂に着いたときは登山口から2時間以上が経っていた。その大杉山で昼休憩とした。山頂は一段と風が強い上に気温は14℃と低かったため、けっこう寒さを感じながらの休憩だった。その大杉山山頂は北に向かって展望があり、三川山だけでなく久斗三山も眺められた。大杉山での休憩を終えると蘇武岳を目指して稜線の登山道に入った。その主尾根歩きに移っても新緑のブナ林を楽しめることになり、本当に良い季節に登っていると実感した。その主尾根には蘇武岳までに幾つかのピークがあり、それを越えて行くのでまたまたしっかり歩くことになった。北側から歩くので四ノ峰、三ノ峰、二ノ峰と越し、一ノ峰ははっきりとしたピークでもあるので、別名として金山の名が付いていた。その主尾根に沿って蘇武妙見林道が走っており、登山道を歩いていてもときおりごく近くに林道を見ることがあった。一ノ峰の先は990mで、その手前で名色コースが左手から合流した。次は緩やかな登りが続いて1040mピークを通過すると、開けた所が現れて漸く蘇武岳が望めるようになった。望めると言ってももう目の前だった。登山道は山頂へは迂回する形で向かうのだが、直登コースもありその急坂を登って山頂に近づいた。山頂に着いたのは大杉山を離れてから1時間15分後で既に14時を回っていた。山頂には数人のハイカーがいたが、こちらが着くとすぐに下山に向かったので、後はパートナーと二人きりで過ごすことになった。朝からの快晴は続いており、その快晴の下で蘇武岳の大展望を楽しんだ。視界は幾分うっすらとしてきていたが、西には氷ノ山から扇野山までを、東は床ノ尾山、そして南に妙見山と贅沢な展望だった。その蘇武岳での休憩を終えると、下山は名色コースの分岐点まで往路を引き返した。そして名色コースに入って東へと下って行った。その名色コースもブナ林が見事な新緑色で迎えてくれた。それを楽しみながら尾根筋を辿ると名色羽尻林道に合流した。名色コースはそこから林道に入って備前山方向に向かうのだが、林道とは別に万場コースの登山道がそこから始まっていた。北へと向かう道でなぜか新緑色が減ってきた。緩やかに下るうちに沢を左手に見ながら下るようになった。途中は急坂になった所もあって慎重に下った。その万場コースが沢そばに降りてくると再び緩やかになり、往路で歩いた大杉山コースに合流した。そこから登山口までは20分の距離だった。後は万場スキー場へと背理天神社へと近づいて行った。カメラが壊れるハプニングがあったものの、新緑の蘇武岳を十分に楽しんだことだけは確かだった。
(2019/5記) |