兵庫の千メートル峰の中で、ごく簡単に登れる山の一つが暁晴山だが、その暁晴山へコースも幾つかあり、最も簡単と思われるのは、どうやら西側の峰山林道からのコースのようだった。簡単に登れることに興味を持ったと言うよりも、まだ歩いていないコースと言うことに興味を持って出かけたのは、2014年9月の敬老の日だった。この日に暁晴山に向かったことに別の理由があり、それは澄んだ視界の下で山頂展望を楽しむことだった。
県道8号線を走って坂ノ辻峠が近づくと、左手に峰山林道が分かれたので、そちらに入った。林道には入口からの距離が100メートル毎に表示されており、暁晴山登山口までは8km走ることになった。登山口の近くから林道が始まっており、その入口の広いスペースに駐車とした。登山口の名は「山笑う登山口」。良い感じで登山道を歩き出すと、程なく林道に合流した。どうやら車を止めた位置から林道を歩いていても良かったようだった。ガイドブック(宍粟50名山)によると、すぐに尾根に取り付くはずだったので、標識に注意していたところ、どんどん林道を歩いてしまうことになった。周囲はすっかり植林帯だった。そのうちに下り坂になって、このままでは遠回りで別のコースに向かってしまうと思えたので、適当に右手の斜面に取り付くことにした。どうやら標識を見落としたようだった。始めは植林地を登っていたが、植林地を抜けるとススキの広がる中を歩くようになった。そのカヤトの原は、始めのうちはススキを避けながら歩けたのだが、途中からはススキをかき分けないと進めなくなった。それでも長くも歩かず、登山道に合流出来た。登山道はガイドブック通りに尾根上に続いていた模様である。後は登山道を歩くのみ。もう山頂は近く、山頂の電波塔群が間近に見えていた。登山道は山頂そばで車道に合流した。後は車道を200メートルばかり歩いて車道の終点に着いた。その車道の終点が山頂だった。そばの電波塔で作業が行われているようで、終点には車が2台止まっていた。ある意味、風情の無い山頂だったが、以前と変わらず展望は素晴らしかった。360度と言って良く、おまけにこの日は視界も良く澄んでおり、思う存分に展望を楽しめた。氷ノ山に三室山、後山と、どの山もくっきりと見えていた。南の方向は少しうっすらとしているものの、小豆島の姿が認められた。山頂では蝶が飛んでいたが、秋に入っているため、どの蝶も弱々しい飛び方だった。山頂で過ごしたのは50分ほど。この日は山頂で景色を楽しむのが目的だったため、すんなりと下山することにした。下山は登山コースをずっと辿ることにした。車道から登山道に入り、ススキの中を抜けて行くと、やがて周囲は自然林の風景に、そして植林地へと変わった。そして林道に出ることになったが、その登山道が分岐する位置を見ると、標識の棒は立っているものの、標識は消えていた。道理で見過ごしたはずだった。後は林道を歩いて行くと、登山口の方向を示す標識が現れ、そこより登山口への小径に入った。2時間に満たない簡単なハイキングだったが、展望を楽しむ目的は達していたので、十分に満足の思いになっていた。
(2014/10記)(2018/6写真改訂) |