音水湖のそばから始まる三久安林道は、三久安山を登るだけでなく、阿舎利山の北面を登るときにも利用出来る林道である。2014年3月15日は三久安山を三久安林道の登山口から登って残雪の三久安山を楽しんだのだが、そのとき次週も三久安林道を利用して阿舎利山を登ろうとの考えが浮かんだ。雪は三久安山よりも少ないだろうと思っていたところ、3月21日は遅い寒波がきて播州北部は雪となってしまった。それでも積雪量は多く無かろうと、翌3月22日に阿舎利山へと向かった。前週は林道の途中に倒木があり、そここから歩き始めたので、そこまでは車を進められるのではと思っていたところ、その手前の坂でタイヤが雪で空転してしまった。スタッドレスタイヤを履いていても坂は無理なようで、少し戻って路肩の広くなった所に駐車とした。そして前週と同様に林道歩きからハイキングを開始した。前日が雪だったとあって、三久安林道はすっかり雪景色だった。三久安山登山口まで20分。そこから林道は南に曲がって阿舎利山の北面に向かうのだが、林道は登山口のそばから廃道になっているようで、いきなり水害で寸断されていた。そこに架けられていた丸木橋を渡って林道の続きに入った。寸断部はそこだけでなく、その先で更に二カ所あった。また倒木で塞がれている所もあった。そのため対岸に渡って災害部を迂回することもあった。進むほどに雪は増えてきたので途中からスノーシューを履いたが、パートナーは前週と同様に、こちらが付けたトレースをツボ足で付いてきた。林道は途中からは災害地が現れることはなくなり、緩やかなまま続いた。その林道を離れたのは山頂から見て北の位置で、地図ではほぼ林道終点に近い位置だった。その辺りは道幅は5メートルほどあり、小さな尾根の上でもあった。取り付き易そうな所から取り付いたところ、尾根上には点々と地籍調査用のピンク色のテープが付いていた。それを辿って登って行くことにした。尾根もすっかり雪で覆われており、軽いラッセルで登って行くことになった。尾根の木立は空いており、適度な登り易さだった。植林地を抜けたり自然林を抜けたりして登るが、展望としては背後に三久安山の尾根を樹間を通して眺める程度だった。やや急斜面を登る所があり、そこをラッセルで登っていると、けっこうしっかりと登っている感があった。尾根が緩むと阿舎利山の案内標識が現れ、一宮町側からの二つ橋コースと合流することになった。新雪のラッセルを更に続けて、最後のひと登りとばかりに休まず歩くと、林道を離れてから70分余りでの山頂到着となった。相変わらず樹林に囲まれた山頂は、すっかり雪に覆われており、静寂の世界だった。腰を下ろせる所が見当たらないため、立ったまま昼休憩とした。有り難かったのは上空に青空が広がってきたことで、暖かい陽射しを浴びることが出来た。また風が無いとあって、至ってのんびりとした気持ちで休めた。展望は氷ノ山の方向はあり、真っ白な氷ノ山を眺めることが出来た。鉢伏山の山頂も覗いており、どうやら但馬の空も良くなってきているようだった。山頂で過ごしたのは20分。下山は往路をすんなり引き返すことにした。自分の付けたトレースを追いかける上に下り坂とあって、なんとも楽なものだった。3月も20日を過ぎていると言うのに、たっぷりと雪の積もった阿舎利山を楽しめたとの思いを抱きながら下った。すたすたと下ったこともあり、林道まで45分で下りてきた。三久安山登山口から先は舗装路になっているのだが、好天の空になったこともあり、この半日だけでけっこう雪は溶けたようで、路面の見える所が多くなっていた。その路面の現れた所を辿りながら駐車地点へと戻って行った。
(2014/4記)(2020/12改訂) |