段ヶ峰の登山コースとして一番ポピュラーなのは生野町栃原の生野荘跡にある登山口からのコースで、多くのガイドブックでこのコースが紹介されている。その生野高原縦走コースを久々に歩いてみようと出かけたのは、2013年3月中旬の快晴の日だった。登山口に着いたのは9時前の時間。登山口前が駐車場になっており、既に6台ばかりの車が止まっており、残る1台の駐車スペースにかろうじて止めた。ところで2週間前に笠形山に登ったとき、段ヶ峰もフトウガ峰も山頂を真っ白にした姿を見ていたので、スノーハイクになるのではと想定してスノーシューを準備していた。それが登山口周辺には雪のかけらも見られなかった。そのうちに現れるだろうと、スノーシューはザックに付けて歩き始めた。但しパートナーは雪は少ないと見て、スノーシューは車に残しておくとのこと。達磨ヶ峰までは急坂が続くが、登山道は優しげな雰囲気があり、気持ち良く登って行けた。登るほどに展望が開けてくると、けっこう視界が濁っていることに気が付いた。どうも黄砂の影響があるようだった。達磨ヶ峰の山頂に着いて一休みとする。スタート時は10℃ほどだった気温も、ここまで来ると15℃まで上がっていた。もうすっかり春の陽気だった。単純に登山道のままに歩くので、気楽なものだった。程なくフトウガ峰と段ヶ峰が見えてきたが、斜面の一部に雪が見られるものの、稜線には全く見られなかった。これは少々意外だった。相当雪解けのスピードは早かったようである。尾根歩きとなってときに強く風を受けることもあったが、概ね無風に近い中を歩いて行けた。920mピークを越すと暫くはなだらかな尾根歩きだった。途中で植林地に出会い、そこを抜けるとフトウガ峰との鞍部へと下った。そこからフトウガ峰へはやや急坂が続くが、そこは休まず登って行った。途中からコースは巻き道となるが、真っ直ぐにも歩けるので、直進コースを選んだ。ササの中を登って行くが、ササはヒザ丈ほどのものばかりで、クマザサはすっかり消えてしまっていた。おかげで無理なく登って行けた。また雪はかけらも見られなかった。ササ原を歩く雰囲気は悪くなく、また快晴とあって気分も上々だった。そのフトウガ峰では、山頂手前で真新しい三角点を見た。四等三角点(点名・倉谷)だった。そこで一休みした後、フトウガ峰のピークはただ見るだけとして先に進んだ。そこから段ヶ峰との鞍部へと下り、そして登り返して段ヶ峰へと向かった。その辺りで僅かに雪を見るも、それもすぐに終わってしまった。登山道は雪が溶けた直後とあって少しぬかるんでおり、足下に注意しながら歩いた。前方に段ヶ峰の山頂が見えてきて、そこへ次第に近づく感じは悪くなかった。段ヶ峰の山頂に着いたのは12時前。歩き始めてから2時間だった。山頂に着くと、急に強い北西の風を受けることになった。しかも冷たさがあった。先着者が数名いたが、その風に耐えながら休んでいる風だった。そこで山頂から少し離れた三角点の位置で休憩することにした。そちらの方が風は少し弱く、座っていると気にならない程度になった。三角点そばで昼休憩をとった後に展望を楽しむことにしたが、黄砂の視界は十分に楽しめるとは言えず、一通り周囲を眺めた後は、寝ころんで昼寝とした。陽射しが暖かく、漸く昼寝を楽しめる季節になったようである。山頂で一時間ほど過ごすと、下山へと向かった。当初の考えでは往路を引き返すつもりだったが、登山に変化をつけたく、フトウガ峰の手前から杉谷コースに入ることにした。その杉谷コースを歩くのは21年ぶりだったが、すっかり様子が変わっていた。前回はクマザサのヤブコギに苦労したものだが、そのクマザサがすっかり消えていた。おかげで易しいハイキングコースの雰囲気になっていた。途中で谷コースと林間コースに分かれたとき、まだ知らない林間コースに入った。こちらはマイナーなコースで、登山道のはっきりしない所もあり、目印がないとコースを外してしまいそうだった。また植林地の中を下るので、展望も無かった。谷コースと合流すると、林道までは僅かな距離だった。そこは倉谷橋の架かる位置で、沢にはふと谷川の名が付いていた。後はひたすら林道を歩いて戻るのみ。この林道歩きはこれまでの経験でけっこう退屈なのだが、今回も同じ思いになった。別荘地に入っても、そこから駐車地点まではけっこう距離があり、十分に退屈して駐車地点に戻ってきた。杉谷コースの登山口からは1時間以上かかっていた。次回は視界の良い日に訪れたいものだと思いながら他の車が見られなくなった駐車場を後にした。
(2013/4記)(2020/9改訂) |