千町峠を起点としてフトウガ峰から段ヶ峰へと周回で歩こうと向かったのは、2020年5月後半の好天の日だった。基幹林道千町段ヶ峰線を走って千町峠に着くと、車は峠の位置から平石山の方向へと延びる支林道を少し入って、路肩が広くなっている所に駐車とした。まずは倉谷林道を東へと歩いて杉谷コース登山口を目指した。林道は緩やかな下り坂で、始めは舗装林道だったが程なく未舗装路に変わった。その林道の周囲は自然林になっており、その木々が今が見頃と思える見事な新緑だった。ただ林道歩きは長く、一部はけっこう荒れていた。杉谷コースの登山口に着いたときは、千町峠から70分が経っていた。登山口に入って沢筋に沿って登って行くと、途中で沢登りコースと林間コースとに分かれた。そこは易しい林間コースを選ぶと、ほぼ植林地の中を登って尾根に近づいた。尾根筋に出ると緩やかな上り坂となり、周囲の木々も自然林に変わって再び新緑を楽しめることになった。緩やかな登りが続いて標高も1000mを越すと、樹林帯は終わって笹原の風景の中に入った。フトウガ峰の山上に出たようだった。メインコースに合流すると右手となるフトウガ峰の山頂に向かった。山頂に着いて昼休憩としたが、フトウガ峰の真っただ中のいる雰囲気は悪くなかった。その頃より上空の雲は徐々に増えて空の半分ほどを占めるまでになっていたが、まだまだ晴れの天気だった。高原風景の中で目に付いたのは、こんもりとしたアセビの木が点々とあることで、そのアセビが赤い若葉の姿になっており笹地のアクセントになっていた。昼食後は更に東へと歩いて三角点ピーク(四等三角点・倉谷)にも立ち寄った。そこからは引き返す形で段ヶ峰へと向かった。風は爽やかで高原散策の雰囲気を十分に味わえた。再びフトウガ峰の山頂に立ち、更に西へと向かうと歩く方向は北となり、鞍部へと下った。その鞍部の辺りは樹林帯になっており、伸びやかな風景とは分かれることになった。その頃には上空はほぼ薄雲で覆われており、そのため陽射しが現れても柔らかい陽射しだった。緩やかに登り返すと歩く方向は西となり、周囲は再び笹地となった。風景に広がりが出てきて、再び高原を散策する風になった。左手にはフトウガ峰がすっきりと見えていた。そして前方は段ヶ峰だった。山頂手前の二等三角点(点名・段ヶ峰)を確認した後に山頂に立った。山頂に立ったときこそはっきりとした陽射しを受けたが、すぐに薄雲が太陽を隠してしまった。後は薄晴れの下での休憩だった。以前と変わらず好展望の山頂を楽しむと、後は千町峠へと下山に移った。その千町峠への道は易しく、20分少々で千町峠に下り着いた。
(2007/7記) |