TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨編
 
三久安山 1123.2m
  No.4
点名・蓮花  れんげ 972.5m
  No.2
 
1/2.5万地図 : 音水湖 宍粟市
 
【2007年11月】 2007-93(TAJI&HM)
 
    《三久安山》  点名・蓮花より  2007 / 11 《点名・蓮花》  三久安山の尾根より  2007 / 11

 紅葉期は宍粟市の山にどうしても関心が向くもので、07年もこの季節を待って宍粟の奥へと出かけることにした。目指すは三久安山だった。この三久安山も「新・はりまハイキング」でも紹介されるようになり、一般の知名度は上がって来たようだった。ただその紹介コースを見ると林道を利用するもので、ごく簡単なコース設定になっていた。一度そのコースで登ってもよいとは思ったが、どうも三久安山の大きさを味わうには不適ではと思われた。そこでこの日計画したのは、三久安山の南にある目立たない三角点ピーク(点名・蓮花)とを組み合わせて、周回で回るルートだった。少し長く歩きたい希望から考えたルートで、下山で「新・はりまハイキング」の紹介コースを歩くことにした。
 気持ちの良い澄んだ空を見ながら、揖保川の上流、公文川沿いを走って宍粟市の最奥を目指した。その川沿いで何台もの車が止まっているのが見えた。「千年水」の場所だった。そこを過ぎ、宍粟市の最奥の集落の一つ、溝谷集落に程なく着いた。前回の登山以来6年ぶりだった。この日は集落を抜けて蓮花岩山林道を進んで行く。始めは普通のダート道だったが、次第に落石の目立つ荒れた道となって来た。何度か車の底を擦ることがあり、ごく低速で車を進めた。この日のスタート地点として選んだのは蓮花岩山トンネルの位置。そのトンネルの手前に駐車スペースがあったので、そこに車を止めた。この日まず目指したのは点名・蓮花の973mピーク。そのルートとしては蓮花滝のある沢に入って沢を詰めて行き、小さな尾根で登って行く考えだった。林道を少し引き返すと蓮花滝の案内板があり、そのそばから沢へと入った。沢沿いには適度な小径が付いており、緩やかな道とあって無理なく歩いて行けた。15分ほど歩くと沢音が大きくなり、木立を通して激しい流れが見えて来た。落差は10mほどあり、どうやらそれが蓮花滝かと思えたが、強く惹きつける印象は無かった。そこより少し進んだ所に小さな小屋が建っていた。案内板で書かれていた大師堂と思えた。その小屋から蓮花滝が良く見えるかと回り込んでみると、蓮花滝は見えず、別の滝が南の急斜面に現れた。ソーメン滝と呼べそうな細い滝だったが、落差は30m以上あって、けっこう見栄えのする滝だった。地形図ではその滝の位置も越えて破線路が林道近くまで書かれていたが、小屋の先で進めなくなった。倒木と斜面の崩壊のためで、どうやら04年の台風被害の爪痕かと思われた。そこで谷筋を歩くのはそこまでとして、973mピーク側となる南の斜面に取り付くことにした。ソーメン滝のそばの斜面が伐採の跡地のようで雑草に覆われており、何とか登って行けそうに思えた。そこで沢を越えて取り付いてみると、これがけっこう手厳しかった。雑草は朝露に濡れており、またイバラ混じりだった。それと思った以上に急斜面で、まさに草の根を掴みながら登る所もあった。その急斜面を100mほど登って漸く小さな尾根を辿れるようになった。そこは伐採地で作業用の小径も付いており、一安心だった。足下には深い谷があり、そして北向かいは林道の走る三久安山の中腹だった。そちらの木立も色付きが少し進んでいるようだった。尾根は若木の植林地で防鹿ネットが続いていた。右手の斜面は伐採地だった。ネットに沿って尾根なりに登って行く。尾根は緩やかだったが、植林は下枝がはびこって、少し煩わしさを感じながらの登りだった。その尾根を登っているうちに植林地を抜けて、全面伐採地となった。一気に展望が広がりもう山頂も間近に見えていた。北東側から山頂に近づくことになった。すっかり見渡せるその様子に、10年前と比べて更に伐採が進んだようだった。ただ三角点の辺りは少し自然林が残っており、色付いていた。三角点を確認した後は、一番展望の良さそうな辺りまで歩いて一休みとした。西から北、そして東と、全く遮るものも無く見渡せた。視界も澄んでおり、申し分無しだった。ただ伐採地だけに見方によっては荒々しい風景とも言えたが。思いっきりのんびりした後は、三久安山へと尾根歩きを開始した。まずは西へと歩いて行く。小さなアップダウンがあり、主尾根に近づくと周囲は植林が占めるようになった。阿舎利山からの主尾根に合流すると、北へ向かって下り坂となった。そして鞍部に着いて登り返す。尾根筋はちょっと灌木のヤブになっており、イバラも混じって歩き易いとは言えなかった。ただ東側は伐採地とあって展望は良かった。登るほどに先ほどまで過ごしていた点名・蓮花の尾根が次第に遠くなり、その背後の一山が頭を覗かせて来た。灌木ヤブも傾斜がきつくなって来ると、色付いた自然林へと変わり一気に雰囲気が良くなった。大岩の点在する位置を過ぎ地図の1019m標高点を過ぎるると、もう尾根は緩やかになり、のんびりと歩けるようになった。ブナの混じる疎らな木立の中を歩いてるのは、何とも心楽しいことだった。一級の歩き味ではと思えた。ただここを歩くのは初めてでは無いのになぜこんなに印象が良いのかと疑問に思っていると、答えは簡単に出た。以前あったクマザサがすっかり消えていたのだった。ひたすらクマザサを漕いでいたのが信じられない思いで尾根歩きを続けた。その尾根の紅葉はほぼ終わっていたが、残った紅葉の中にもはっとする美しいものがあり、何度も足を止めながら山頂へと近づいて行った。その気分の良いまま山頂に着いた。山頂はクマザサが消えてさっぱりとした感じになっており、そこに午後の柔らかい陽射しが射していた。その光の中で一休みとした。展望は相変わらず悪かったが、大木のブナも散見出来て、その風情を眺めながらひとときを過ごした。下山は予定通り「新・はりまハイキング」の紹介コースを辿って林道に出ることにした。途中までは登って来たコースを引き返す。逍遙気分ながらも支尾根の分かれる小ピークを通り過ぎないように注意して下って行くと、その分岐点には案内プレートが付いているのに気が付いた。ちゃんと目印があった訳で、安心してその支尾根へと入った。この尾根は意外と展望が良く、南向かいの点名・蓮華の尾根やその後ろに一山が眺められた。展望の良い分だけ木立の美しさが少ないとも言えた。さほどきつい坂も無く尾根を下って行くと、最後にハシゴ段があって蓮花岩山林道へと下り着いた。そこから駐車地点までは2kmほど。少し時間がかかったが、無事に二つの山を登り終えたことに安堵の気持ちで林道を戻って行った。
(2007/11記)(2012/6改訂)(2020/8改訂2)
<登山日> 2007年11月3日 9:17蓮花岩山トンネルからスタート/9:32蓮花滝の沢に入る/9:50〜10:00大師堂/10:22急斜面を越える/11:10〜40点名・蓮花/12:07阿舎利山からの尾根に合流/14:04〜24三久安山/14:48林道に向かう尾根に入る/15:12林道着/15:47エンド。
(天気) 快晴。朝の沢の気温は8℃ほど。山上は風も無く穏やか。気温は少し低めで12℃ほど。三久安山への尾根歩きに入ると、少し東風が出て来て肌寒さを感じた。午後は雲が増えて来たが、晴れには変わり無し。視界は良く澄んでいた。
<< Photo Album 2007/11/03 >>
この蓮花岩山トンネルのそばに車を止めて歩き
始めた
林道を引き返す形で歩いて行くと、点名・蓮花
の尾根が紅葉しているのが望まれた
蓮花滝への小径に入る 程なく木立を通して蓮
花滝が見えて来た
大師堂の前に出る 大師堂の裏に回ると、別の滝が見えた 大岩のそばを通る   
沢沿いは崩壊していたため、南の斜面を登って
行く  そこでも崩壊が見られた
左の写真の中ほどにソーメン滝が見えている 
けっこう急斜面だが何とか登って行けた
登るほどに展望が広がってきた 北向かいの三
久安山は山肌が色付いていた
急斜面を登りきると伐採地に出た 三久安山の
中腹を横切る蓮花岩山林道が見えていた
西には三室山の山頂が見えていた 尾根には害獣避けネットが続いていた そのネ
ットに沿って登って行った
登る途中でパートナーが休憩をしてしまった 793mピークへと近づいて行く

 973mピークが間
 近になったとき展望
 地が現れた そこに
 立って北に広がる展
 望を楽しんだ

 上の写真の右手、藤
 無山から東へと広が
 る山並みを見る
須留ヶ峰を大きく見る 973mピークが目前になった 973mピークに着いて、三角点(点名・蓮花)を見る
973mピークに立って改めて三久安山を眺めた 南には木立を通して一山を見る
阿舎利山の姿も木立を通して見えていた 紅葉は一部で残っていた まだ落葉していない赤い葉が鮮やかだった
 一休みしたところ
 で、主尾根を目指
 して伐採地の尾根
 を歩き出した

  西へと尾根を歩き
  出すと、鳥取との
  県境尾根が良く見
  えた
  
波佐利山を大きく見る 赤谷山を大きく見る 上の風景の右手には氷ノ山の山頂が覗いていた
主尾根(旧町境尾根)に入る 木漏れ日にモミジの紅葉が鮮やかだった 前方に三久安山を見上げる

 鞍部の辺りに来ると
 須留ヶ峰から笠杉山
 までの尾根がすっき
 りと眺められた
笠杉山を大きく見る 尾根の途中で黄葉のブナを見る 三久安山へと登って行く
 

 登るほどに先ほど
 まで居た973m
 ピークの尾根が現
 れて来た

   尾根は少し雑然とし
   た雰囲気だった
  
尾根の樹林帯を通して、西に三室山を見る 大きな岩が現れた 次第に尾根は優しげな自然林の風景となってきた

 藤無山を見る


    生野高原から峰山
    高原までを眺めら
    れることがあった
ブナの横に美しく紅葉したカエデを見る 黄葉のブナの大木を見上げる クマザサが消えて、すっかり易しい尾根歩きだった
紅葉の木立を見上げながら歩いた 山頂が近づくほどに更に良い雰囲気となった パートナーが後ろに続く
ブナ林を見る 三久安山の三角点は、山頂の一番高い所にあった 山頂は木立に囲まれて展望は良くなかった
展望は悪くとも心落ち着く雰囲気が漂っていた 山頂の紅葉を楽しむ 山頂の紅葉を楽しむ
展望も探せば見つかるもので北東に藤無山を見る 氷ノ山の山頂も眺められた 山頂から南に一山を見る
三久安山の山頂を離れて下山を始めたとき、手頃な木に登ってみた こんな素晴らしい展望が広がるとは思ってもいなかった
下るうちに一山が形良く眺められた 林道へと向かう尾根から点名・蓮花の尾根を見る 林道に下りる直前にハシゴ段があった