三久安山を久々に一宮町側から登ろうと向かったのは、2020年8月の第一土曜日のことだった。ナビを一宮町溝谷にセットして向かうと、その溝谷集落まではスムーズに走ったのだが、蓮花岩山林道に入ると長くも走らず鎖に行く手を遮られた。その先は一般車は通行止めだった。前々回の2007年ではトンネルそばに駐車していたので、少々誤算だった。それでも梯子コースの登山口まで林道歩きの予定だったので、林道歩きが多少長くなっただけだと思い直すことにした。幸い鎖の手前に広い駐車スペースがあったので、車はそこに止めて歩き出した。林道は少々荒れており、四駆車なら問題はなさそうだったが、普通車には少し厳しいと思えたので、鎖の位置から歩き出したのは良かったように思えた。緩やかな林道は自然林の美しさを楽しめたが、梯子の位置まではやはり長く、途中で休憩を何度かとったこともあって蓮花岩山トンネルまで30分、更に一時間かかって梯子コースの登山口に着いた。梯子を登って支尾根に入ると、旧町境尾根まで200mほどを登ることになった。アセビが増えて多少歩き難さはあったが、ヤブと言えるような所は無かった。ただ樹林が切れて陽射しを受けることがあり、少しずつバテてきた。旧町境尾根に出る手前には急坂があったため、そこで更にバテて旧町境尾根に出た位置で休憩とした。そこは気温は20℃と低めの上に快いばかりの風が吹いており、休むには最適の所だった。ちょうど昼どきになっていたこでもあり、その合流点で昼食とした。元気が戻ったところで旧町境尾根を山頂へと北に向かって歩き出した。その尾根の自然林はブナ林が主体となっており、以前と変わらず雰囲気は良かった。尾根の緩やかさと相まってまさに森林浴コースだった。緩やかに下って緩やかに登って着いたピークが山頂手前の1110mピークで、そこで波賀町からのコースが合流した。その1110mピークより更に300mほど歩いて三久安山の山頂に到着となった。山頂はけっこう開けてはいたが、展望に関しては良いとは言えなかった。まずは木陰を求めて、そこで休憩とした。山頂も涼しい風が渡っており、その風に吹かれながらの休憩だったので、疲れた体には何とも優しかった。一息つけたところで、少し北へとそちらの尾根を歩いてみた。展望を求めてのことだったが、少し下ると木々が疎らになった所が現れて、藤無山がはっきりと眺められた。山頂に戻ると下山に移った。下山は東へと延びる尾根を下って行くことにした。以前にその尾根で溝谷集落まで下ったことがあったが、この日はトンネルのそばまでとして、後は林道に下りる予定だった。その東尾根もブナ林が広がっており、良い雰囲気の中で歩けた。展望もときおり現れて、藤無山だけでなく、北に氷ノ山を見ることがあった。また南にも展望が現れて、遠くは暁晴山が望まれた。下るうちに自然林は少々ヤブっぽくなってきた。また植林も現れてきた。尾根筋をずっと東へと辿るのではなく、トンネルを目指すために途中で尾根が分岐したとき南東方向への尾根に入った。この尾根には途中に951mピークがあり、そのピークが近づいて上り坂になったとき、西斜面側が伐採地となった。そこは好展望が広がっており、三久安山がすっきりと眺められただけでなく、阿舎利山、一山まで望めた。951mピークに着くと、その一帯も伐採地になっており、生野高原までも眺められた。この日一番の展望と言えた。その951mピークの先で尾根筋を離れてトンネル方向に向かった。林道の位置までずっと急斜面を下るのだが、そこは登山コースになっており、点々と目印テープが付いていた。登山コースと言っても踏み跡程度だったので、ひたすら目印テープを追って下った。林道が間近になった頃に目印テープを見失ったが、もう林道が足下に見えていたので、後は適当に下って林道に下り着いた。少しトンネルからは離れた位置だったが、スムーズに林道に出たので問題なかった。その頃には手持ちの水を切らしていたので、近くの沢で喉を潤すと、後はただ林道を戻って行くだけだった。この日の三久安山登山は林道歩きが長かったが、十分に三久安山を楽しめたのは間違いなかった。
(2020/8記) |