2015年の梅雨入りは6月に入ってすぐだったが、その週末は晴れの予想となった。そこで久々に藤無山を一宮町側から登ろうと出かけた。播州南部の空は晴れており、安心して北へと向かった。宍粟市山崎に入っても雲は少し増えた程度だった。ところが一宮町に入ると雲が空に広がってきて、北の山並みにはガスがかかっていた。それでもそのうちに晴れて来るのではと、楽観的に考えていた。県道6号線を三方で離れて、公文への細い車道に入った。千年水の前を過ぎて北へ北へと走ると車道は二手に分かれた。左手の車道は道谷地区に向かう道だったので、そこは直進した。車道は林道になっており、志倉山荘の先で現れた空き地に駐車とした。林道はまだ先に進めたが、ダート道の上に悪路となっていたので、その位置から林道を歩くことにしたものである。空は雲が広がっているものの青空も見られたので、次第に晴れ間が広がってくるのではと思えた。林道を歩き出すと悪路に見えた所はすぐに終わり、ごく普通の林道となってきた。今少し車を進めても良かったかも知れない。それでも長くも歩かず 通行禁止のロープが現れたので、先ほどの駐車地点に車を止めて正解だったと思い直した。歩き始めて30分近く経ったとき、コースは二手に分かれた。標識があり右手は尾根コースに通じる林道で、直進が谷コースに通じるようだった。右回りで歩こうと直進する。空は相変わらず雲が広がっており、もう青空は見られなかった。そのうちに霧雨が降ってきた。傘を差すほどでもなかったのでそのまま歩いていたところ、小雨程度まで強く振るようになった。雨具を着込み、大きな木の下で暫し雨宿りとした。そして小雨が霧雨になると歩き出した。林道の終点に着くと、そこに登山口標識を見た。後はおおむね谷筋を歩くことになった。霧雨が小雨になると足を止めて雨宿り、霧雨になると進んでと、これを何度か繰り返していると、霧雨も止んできた。代わりに周囲にガスがかかり出した。やがて沢は不確かになり、斜面の傾斜が増してきた。道がはっきりしない所があり赤テープを頼りに登ることになったが、その赤テープが途切れることがあり、そうなると方向を定めて歩き易いところを登った。そのうちにロープが現れて、道がはっきりしてきた。その頃には笹が辺りに広がり出した。枯れかけたものが多かったが、青々とした笹も見られた。周囲はすっかりガスで、どう見ても晴れる気配は無かった。その頃にはこの日の目的は山頂に立つことだけと気持ちが切り替わっていた。雨が無いことを幸いと考えた。適当に草地の斜面を登って行く。辺りにはイッポンコゴミが多く生えており、食べ頃のものを摘みながら歩いた。草地が終わると周囲は自然林の風景となった。濃いガスが漂っていた。斜面の傾斜が緩むと、辺りに笹が増えてきた。枯れかけたものが多いものの、青々としたものも見られた。周囲はガスながらも道ははっきりしており、ロープも張られていた。その中を進んで山頂に着いた。山頂も当然ガスに包まれていた。そのガスの漂う中で昼どきを過ごした。昼食を済ませると長居をする理由もないので、下山とした。下山は尾根コースに向かった。始めに山頂から南東の方向へ急斜面を下る。そのうちに東方向へと尾根を辿るようになった。その尾根を急坂となる位置まで進むと、尾根を離れて南東へと草地の斜面を下って行く。その草地は雨や霧でけっこう濡れており、たちまちズボンがぐっしょり濡れてきた。またガスのために前方が確認出来ないだけでなく、目印がほとんど無かったため、方向を定めて下った。そのガス帯も草地が終わる頃には抜け出して、遠方が見えるようになった。尾根を伝うようになるとアセビが増えてきたが、歩く邪魔になるほどでは無かった。そのアセビの尾根も暫く歩くと離れることになり、左手の谷筋方向へと下ると、林道に下り着いた。後は林道をひたすら歩くのだが、往路の林道と比べてこちらは途中で崩壊地が現れた。大雨のためか林道がほとんど無くなっていた。何とか残った所を歩いて通り過ぎたが、けっこう危険だった。ただ通り過ぎて分かったことは、迂回路が作られており、そちらを通れば良かったようだった。そこを過ぎるとまた普通に歩けるようになり、谷コースに通じる林道と合流した。そこから駐車地点までは往路で歩いた道だった。上空は曇り空のままで、晴れる気配は無かった。どうやら天気予報は完全に外れたようだった。
(2015/6記)(2020/3改訂) |