藤無山を北面側にある大屋スキー場から登ろうと向かったのは、2018年3月の最終日だった。大屋スキー場から登るのは8年ぶりだった。スキー場は3月始めに営業を終えていたが、駐車場には10台ほどの車が止まっていた。どうやらメンテナンス関係の車のようだった。スキー場のゲレンデには雪はほとんど無く、雪を気にせず登山が出来そうだった。まずはゲレンデを登って行く。けっこう急斜面とあって良い運動だった。登るほどに後方に展望が広がって、但馬の妙見山の姿が眺められるようになった。ゲレンデ野最上部まで来ると、白い氷ノ山の頂がちらりと見えるようになった。リフト頂上駅まで来ると、そこより林道歩きだった。斜面に無理やり作った感のある林道は崩壊が目立った。もう車の通行は無理なようだった。尾根と接する位置まで来ると登山口標識が現れて、そこからは植林地の斜面に取り付いて尾根歩きに移った。尾根を歩くようになって強い西風を受けるようになったが、風の冷たさは冬の名残があった。周囲は植林地だったり雑木だったりで、雑木はどの木も葉を落とした姿で、その木々の空いた所からときおり赤谷山や尾根続きの三久安山が望まれた。尾根は小さなアップダウンはあるものの急傾斜は無く歩くのは楽だったが、風は衰えることは無くその冷たさが身に凍みた。山頂が近くなると左手に展望が現れて、氷ノ山から妙見山までがすっきりと眺められることがあった。山頂に着いたのは駐車場から一時間半後、登山口に入ってから54分後で、特に厳しい所も無いまま着くことになった。山頂は三角点を中心に開けていたが、やはり風が冷たかった。そこで風を避けられる東斜面に入って、そちらで昼休憩とした。山頂ではその東斜面側にだけ展望があって、須留ヶ峰から生野高原までの尾根が前方に広がっていた。その風景を眺めながら昼休憩とした。藤無山を久し振りに登っての印象としては、山の木々は冬姿であり風もまだまだ冷たかったとあって、登山を楽しむには季節外れに登ってしまったとの思いだった。山頂で30分ばかりの休憩をとった後は、すんなりと往路を戻っての下山とした。下山時は昼の時間となっていたので、風の冷たさは幾分和らいでいた。緩やかな尾根は下山ではいっそうの易しさで、ごく気楽な下りだった。一時間も下ればスキー場のリフト頂上駅まで戻ってきた。後は雪の無いゲレンデをきままに下って行くだけだった。
(2018/4記)(2020/3改訂) |