初めて千町ヶ峰を登ったのは1992年のことで、その日は段ヶ峰登山が目的だったが、段ヶ峰の山頂から見えていた千町ヶ峰の姿に惹かれて、序での形で千町ヶ峰林道から登って千町ヶ峰の山頂に立っていた。その後も何度か千町ヶ峰を登っていたが、千町ヶ峰林道を歩いたのは最初の登山のみだった。そこでもう一度千町ヶ峰林道で千町ヶ峰に立とうと思い立ったのは、その最初の登山から28年後の、2020年4月下旬のことだった。往路として千町ヶ峰林道を歩くものの、ピストン登山はしたくなく、下山はこぶしの村コースを下って千町ヶ峰を周回で歩くことにした。
千町ヶ峰林道までのアクセスは、千町集落から千町林道に入るのがオーソドックスなのだが、この日は遠回りとなる福知渓谷から森林基幹道・千町段ヶ峰線に出て、東側から千町林道に入って千町ヶ峰林道の分岐点に来た。そして分岐点のそばにあった空き地に車を止めて林道歩きを開始した。千町ヶ峰林道は千町林道と同じく舗装林道で、歩く分には何の支障もなく登って行けた。周囲は概ね植林地とあって、ただひたすら歩くのみ。その林道の様子が変わったのは標高千メートルまで登って舗装路が土道に変わるとともに歩く方向が西となったときで、急に荒れてきてアセビが繁茂するようになった。もう車の通行は無理となった。ただ歩くことについては問題なかった。その辺りまで来ると少し展望が現れて、北の方向が望めた。途中からはすっかり山道となり、さらに細々とした小径となって山上に出た。前方に見覚えのある小屋が現れると、その手前で東からの尾根コースに合流した。もうごく緩やかな尾根歩きとなって西へと進むと途中アセビを茂る所を通り、合流点から8分で山頂到着となった。山頂もアセビが茂っており、その佇まいは以前とあまり変わっていなかった。南の展望の良さも以前のままで、東から南、南西へと広く眺められた。また山頂の木々はまだ裸木の姿だったため、北の方向も木々の茂る季節よりも展望が良いように思われた。そちらはまだ雪を纏う氷ノ山を見た。その山頂で25分ばかり休むと、下山は尾根筋を更に西へと歩いた。そして弘法の池のそばに出ると、そこより北斜面に入ってこぶしの村に通じる登山道を下った。植林地の急斜面を暫く下った後に林道の終点位置に出た。その林道を下って行くと、途中で「こぶしの村」の標識が現れて、そちらへの小径に入った。こぶしの村の建物が現れると、その間を抜けて草木川のそばに出た。鉄の橋を渡って車道に出ると、そこは下千町集落の外れだったため、上千町集落まで20分少々歩くことになった。上千町集落まで来ると漸く千町林道の起点が現れて林道へと入った。その入口から駐車地点までは10分少々の距離だった。
(2020/5記) |