秋空の下で高原散策を楽しもうと、ちくさ高原に向かったのは2014年10月中旬の土曜日だった。千種町の空には雲一つ無く、しかも青空は澄んでおり、期待通りの秋空だった。ところでちくさ高原の駐車場に着いてみると、スキーシーズンでも無いのに駐車場はほぼ満車状態だった。その日はちくさ高原ゲレンデマラソンがあり、着いたときはスタートの5分前だった。そのマラソンスタートを見送ってから、ハイキング開始とした。駐車場から尾根の方向を見ると、ゲレンデの最上部にポールが立っているのを見たので、それを目標に登って行った。始めはゲレンデ管理用の舗装路を登り、それが終わるとゲレンデの中を適当に登った。その辺りでトレイルランナーと交差するようになった。まだマラソンは四分の一程度なのに、先頭と後方とでは何分もの差が付いており、最後尾のランナーはただ歩いているだけだった。ポールの位置まで来ると、そこはもう県境尾根の位置で、近くにスキーリフトの頂上駅が見えていた。ゲレンデの最上部とあって展望は素晴らしく、北から東、南東と千種町を囲む山並みが、澄んだ空の下にくっきりと眺められた。氷ノ山の山頂も僅かに見えていた。そこからはダルガ峰へ通じるコースに入った。コースの入口辺りは自然林が多くあり、紅葉が始まろうとしていた。それを眺めながら歩いていたところ、自然林はすぐに植林に替わってしまった。コースはごく緩い下り坂の後、同じ程度の緩い登り坂となった。適度に標識があり、ダルガ峰が近くなったとき、中国自然歩道に合流した。その合流点の近くに展望地が現れたので、そちらに立ち寄ってみた。ちょっと荒れ地になっていたが、高い木は少なく、西から北西にかけて広く眺められた。西の空は三国山まで見えていたのに、大山は雲に隠されていた。コースに戻ってダルガ峰に向かう。そのダルガ峰までは100mの距離で、その頃には辺りは自然林になっていた。ダルガ峰は宍粟50名山の山名標識があってこそ山頂と分かるものの、周囲を樹林に囲まれてり、展望は全く無かった。昼食は展望地でしたく、ダルガ峰の手前で駒の尾山への迂回コースが分かれていたので、そちらへと入った。ササに囲まれた登山道を少し下ると、前方が開けてきた。那岐山を中心にすっきりと眺められるようになり、その風景を見ながら休憩とした。爽やかな空気感の中にいると、秋たけなわであることを実感した。昼食後は再度ダルガ峰のピークに立つと、登山道を今少し西へと歩いた。するとそちらにも少し展望が現れて、後山から駒の尾山までが眺められた。この展望が得られたことでダルガ峰は終わりとして、歩いてきた道を引き返した。どうもダルガ峰コースは植林地を歩くことが多く、これが自然林だったらと惜しまれた。ゲレンデまで戻って来ると、そこからは長義山を目指すことにした。まずゲレンデ最上部の切り開きを歩くが、いかにもちくさ高原を散策している感じがあって、雰囲気は悪くなかった。少し歩くとゲレンデを離れて登山コースに入った。始めは植林帯の中の下り坂だった。コースは尾根上にあるのだが、尾根の形が複雑で分かり難かった。ただ標識や目印テープのおかげでコースを外れることは無かった。周囲は植林地が主で、展望は無かった。緩やかな登りとなって長義山に近づいて行くと、山頂手前で急坂になった。急坂のまま100mほどを一気に登って長義山に立ったものの、そこは植林にすっかり囲まれており、風情のない山頂だった。ここまで来たことで良しとして、すぐに下山に向かった。下山は北へと下って行くと、すぐに植林地を抜け出した。右手の斜面はすっかりススキで覆われており、見事なくらいだった。登山コースは尾根筋を離れると、そのススキの中を歩くようになった。ときにススキを払うようにして歩いたが、道ははっきりしていた。最後は県道72号線のそばに下り着くと、そこには長義山登山口の標識が立っていた。後は県道72号線を南へと下るのみ。車道の周囲もススキの群落になっており、陽射しを受けて光っていた。気温は20℃を越えていたものの、爽やかさは残っており、その空気感の中を駐車場へと戻って行った。
(2014/11記)(2020/12改訂) |