植松山を3年ぶりに登ることにしたとき、山頂に立つだけでなく稜線を北へとヒルガタワまで歩くことにした。そして好天の下で展望を楽しみたいと思った。それを思いたつと、早速向かったのは2018年5月の最終金曜日のことだった。
朝から快晴の空に雲は見られなかった。国道429号線を走って鳥ヶ乢トンネルを越え、小河集落で植松山に通じる枝道に入った。枝道はそのまま林道となったが、入口のゲートは解放されていた。その理由はすぐに分かった。林道を200mも走ると林道そばで工事が行われており、重機も使われていた。そのそばを抜けて林道をずっと走り、林道終点まで来た。そこは小さな広場になっており、植松山の標識が立っていた。そこからのハイキングの様子は下の写真帳をご覧いただきたい。登山道は沢に沿って北へと続いており、17分ほど歩くと谷コースと尾根コースとに分かれたので、そこは直進となる谷コースを進んだ。登山道はコース名の通り沢沿いを続いており、ときに沢から離れることもあったが、また沢に戻ってきた。その沢を何度か渡ることがあり、左岸側を歩くこともあれば右岸側を歩くこともあった。登山道は水害によるものか荒れている所もあり、易しいコースとは言えなかった。それでも渓流美を楽しめることもあって、それは良かった。コースは徐々に高度を上げて標高900mほどになったとき「小河内の滝」の標識を見たので、ちょっと滝に寄り道することにした。滝へのコースはまた沢沿いを歩くことになり、すぐに小河内の滝の前に出た。滝は水量があり優美な姿を見せていた。滝見物を終えると登山コースに戻り、今少し沢沿いを歩いた後、右手の斜面の登りにかかった。沢筋は自然林が多かったのだが、斜面を登り出すといつしか植林の中を登るようになった。つづら道では無く直線的に登るので、けっこう登り堪えがあったが、涼しい中を登るとあって休まず登って行けた。そして沢を離れてから36分で主稜線に出た。その辺りはすっかり植林地だった。植松山へはそこより南へと向かうのだが、この日はヒルガタワを訪れたく北の方向へと歩いた。すぐに自然林の中を歩くようになると、そこはすっかり新緑の世界だった。足下に小笹が広がっていたものの、ヤブコギの感じにはならずに進めた。笹が煩わしいときは尾根筋を外して少し西寄りを歩くと、笹は無くなり歩き易かった。1190mピークに着くと、そこはまずまず展望が良く東の方向がすっきりと眺められた。その1190mピークを越すと、尾根筋にケモノ道程度の小径を見るようになった。その小径は尾根筋では無く少し西寄りに付いていたようだった。小径のままに緩やかに下って行くと、北へは向かわず自然とヒルガタワに向かうようになった。ヒルガタワの手前には1160mピークがあるが。そこは南面側が広く草地になっており、以前と変わらず抜群の展望が広がっていた。パートナーはそこでのんびり過ごしたいと言うので、一人でヒルガタワに向かうことにした。向かうと言っても数分も歩けば1171mのピークに着いた。そこは北の方向に展望があって、氷ノ山を中心に三室山から須留ヶ峰までが一望となった。ヒルガタワでは山頂部の東端まで歩いてから引き返した。1160mピークに戻ってパートナーと合流すると、そこで昼休憩とした。南面こそ草地となっているが、稜線上は自然林があって適度な木陰を作っていた。渡る風は涼しいばかりで、この日に登ってきて本当に良かったと思えた。その涼しさに誘われて、食後は暫し昼寝を楽しんだ。十分な休憩をとった後は、植松山を目指して歩いて来た道を引き返した。左手前方には植松山と1190mピークの並ぶ姿が見えていた。小径のままに歩くと1190mピークに近づいて樹林帯へと入り、尾根筋とは少し離れて歩くようになった。そして植林地へと入った。その植林地の中で植松山の標識を見るようになり、緩やかに登って植林地を抜け出すと、そこが植松山の山頂だった。1160mピークを離れてから30分が経っていた。その山頂は以前と変わらずアセビが茂っていたが、何かすっきりとしている印象を受けた。どうやら少し木が伐られたようで、展望が良くなっていたためのようだった。展望写真のパネルが置かれており、それには幾つか山名が付いていた。先ほど休んでいた1160mピークは奥植松山となっていたが、どうもとって付けた感じは否めなかった。植松山でも山頂展望を楽しむと下山に移った。山頂間近に谷コースと尾根コースの分岐点があり、それに従って尾根コースに入った。暫くは植林地の中の下りだった。途中で樹林が切れて南西方向が眺められると、そちらに見えていたのは日名倉山だった。その麓では田植え準備が進む水田風景が広がっていた。その尾根コースは前回は往路として登ったので問題無かったが、下るとなると尾根筋のはっきりしない所もあって目印テープに注意しながら下った。沢筋まで500mの標高差があるとあって、この下りはなかなか長く感じられた。尾根コースは自然林も少なく、谷コースと比べると風情は少ないと思えた。ようようの思いで沢そばに着くと谷コースと合流した。後は朝に歩いた道だった。そこまでで足は十分に疲れていたが、後は緩い下り坂を歩くとあって休まず歩いて登山口に戻ってきた。この日の植松山の感想としては、植松山の山頂に立つだけでなくヒルガタワまで足を延ばして、伸びやかな山稜の雰囲気を是非味わうべきだと思った。
(2018/6記) |