波佐利山は宍粟50名山に選ばれており、ガイドブックの紹介コースは音水林道の終点から南東尾根に出て山頂を目指すコースだった。波佐利山には過去4回登っていたが、そのコースは歩いていなかった。そこで一度は歩いてみようと出かけたのは2019年5月の第三週のことだった。
ナビを林道終点にセットして走ると、音水湖の手前で国道29号線を離れてすんなりと音水林道を進めた。林道は始めこそ舗装路だったが、途中からダート道となった。そのダート道には落石が多くあったためそれを避けながら慎重に走った。かなり進んで林道が二手に分かれると、そこはナビに従って直進した。その辺りより林道ははっきりと荒れてきた。そのため林道終点前1.5kmとなった地点で車を進めるのは諦めた。それは正解だったようで、林道歩きを開始すると四駆車でないと通れないような所が現れたり、落石が道を塞いで車の通行は不可の所も現れた。また道自体も小さな石が多くあって歩き易いとは言えなかった。そのことは別として林道の周囲は新緑の盛りとなっており、快晴の空の下で何とも瑞々しい眺めだった。おかげで林道歩きも悪くないと思いながら歩いた。音水林道はあくまでも緩やかに続いて、35分ほどで林道終点に到着となった。そこには登山口標識が立っており、登山道が始まっていた。始めははっきりとした小径でそれを辿るだけだったが、植林地の斜面を登るようになると小径は不確かになってきた。注意すれば踏み跡が分かる程度だった。ただ上を目指して尾根に出ればよいだけなので、歩き易そうな所を登って尾根に出た。その道筋で正しかったようで、尾根に出た所に標識が立っていた。後は北西方向へと尾根を辿って行くだけだった。尾根は自然林とあってここでも新緑を楽しみながら歩くことになった。そこに宍粟杉と呼ばれる杉の大木が混じっていた。自然なままに育った杉はなかなか壮観だった。尾根は終始緩やかで、幾つか小さなピークを越して行くことになった。1100mピークの先で左手から赤西コースが合流した。1122mピークには珍しく標高点が書かれた標識が立っていた。またときおり波佐利山の標識も見た。左手は植林地になることもあったが、概ね自然林の尾根歩きで山頂に近づいた。尾根の傾斜が増してきてそこを休まず登ると、右手に氷ノ山が見えてきた。その先はごく緩やかとなりすぐに山頂だった。山頂は以前と変わらず樹林に囲まれており、展望はほぼ無かった。ぽつんとある三等三角点(点名・波左利)を見るのみだった。ただこの日の山頂は爽やかな空気に包まれており、休むには良い感じだった。その中で昼どきを過ごした。昼食をとった後は少し尾根を歩いてみると、北に氷ノ山、北東に赤谷山、南西に三室山を見ることが出来た。また山頂一帯で白い花が目に付いたが、それはオオカメノキだった。山頂で休んでいたのは50分ほど。下山はすんなりと歩いてきた道を引き返した。登山口から山頂までの時間は往路で1時間、復路で50分弱だったので、登山としてはごく簡単なコースと言えそうだった。むしろ林道を慎重に走る方に神経を使うコースのようだった。
(2019/6記) |