久しぶりに赤谷山の戸倉峠コースを登ろうと向かったのは、2024年6月の第一土曜日のことだった。旧波賀町の空は雲は多いものの晴れとは呼べる空だった。新戸倉トンネルが見えてくると、廃道となった旧国道に入った。その車道を終点まで走ると、そこは駐車可能な広いスペースがあった。そこに車を止めて林道歩きを開始した。林道の入口には車止めのチェーンが張られており、一般車は通行止めだった。林道は砂利道で、一部はコンクリート舗装になっていた。6月に入ったばかりとあって朝の気温は17℃と低めで、快い空気感の中を歩いた。周囲は自然林が多くあり、若葉色は消えていたが緑の美しさを眺めながら歩いた。そして歩き始めてから20分で登山口に到着した。登山口には宍粟50名山の標柱が立っていたが、標柱は少し古びてきたようだった。始めに県境尾根へと斜面を登るが、一部は急坂になっておりロープが張られていた。県境尾根に出ると後は概ね緩やかな上り坂だった。植林帯だったり自然林だったりだが、足下は顕わになった根が多くあり、少々歩き難さを感じた。1010mピークを過ぎ、1143mピークを過ぎて行く。尾根の屈曲点には標識が立っており、また植林地の斜面で道がはっきりしない所は目印テープを追って登るが、適当に登っても問題無かった。登るうちにブナの木を見るようになり、その堂々とした枝振りはいつ見ても良いものだった。登っていて気になったのが倒木の多いことだった。始めは間伐された木が放置されているのかと思ったが、どの木もへし折られたような切断面だったので、どうやら台風の被害のようだった。その尾根歩きの間に上空は薄黒い雲が広がってきた。山頂に着いたときは空の八割方まで雲が広がっていた。山頂到着は登山口から1時間10分だった。無人の山頂は以前のままの姿だったが、山名標柱は登山口の標柱以上に文字が薄れてきていた。二人きりの山頂で休んでいると、少なかった青空が広がってきて、雲は多いながらも晴れとなってきた。周囲の山並みも陽射しを受けて明るくなることがあった。その山頂は気温こそ20℃を越えていたが、風の涼しさは快いばかりだった。この季節は山頂のナナカマドが白い花を咲かせており、目を楽しませてくれた。そのナナカマドも太い枝が折れていた。それも台風被害と思えた。山頂でのんびりと50分ほど過ごすと、下山は往路を引き返した。往路のときとは違って、陽射しを受けることの多い尾根歩きだった。多少の登り返しはあるもののほぼ下る一方とあって、足の負担は少なかった。そして山頂から1時間で登山口に戻ってきた。後は林道をのんびり歩いて駐車地点へと戻って行った。
(2024/7記) |