◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <北但馬編> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
青ヶ丸 あおがまる | 1239.5m | 香美町 若桜町(鳥取県) |
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1/2.5万地図 : 扇ノ山 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2008年4月】 No.2 | 2008-38(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
陣鉢山の尾根より 2008 / 3 |
青ヶ丸の印象は雪の季節と雪の無い季節とでは全く違ってくる。無雪期の青ヶ丸は氷ノ山の山頂から見える姿が印象強く、仏ノ尾とほば同じ高さで並んでいる姿は愛らしくこそ見えるが、さほど雄大さは感じない。それが雪山となると断然の輝きを持って思い出される。それは1994年のことで、香美町側から見たその姿は兵庫にこれほど白い山があるのかと、驚きと感動の思いで眺めたものである。そのときの印象の強さと登山としても十分に満足出来た思いとで、二度目を登る気持ちはなかなか起きて来なかった。その青ヶ丸も兵庫側から登ってこそ時間がかかるものの、鳥取側からならさほど時間もかからず登れることが分かった。また違うコースで登ることも悪くないと思えて再び興味が湧いてきた。但しあくまでも雪山としてだったが。その鳥取側からとなると広留野高原まで車で入られることが条件となるため、除雪の終わる4月に入ってからとなる。それを実行に移したのは2008年4月最初の土曜日だった。国道29号線を富枝地区で離れて「八東ふる里の森」への道に入った。車道の除雪は終わっており、どんどん奥へと進んで広留野高原への道へと入る。高原に出るまではつづら坂が急坂で続くが、そこも除雪は終わっており、気楽な気持ちで登っていたところ、とつぜん車がスリップした。そしてタイヤは空転するだけでハンドルはきかず、ずるずると後退し出した。何とか車を止めて外に出ると、急坂の車道はすっかり凍ってツルツルになっており、立っているのがやっとの状態だった。急坂はまだ先まで続いているので、これでは諦めざるを得なかった。そこで引き返していると除雪用の重機とすれ違った。その後に工事関係の車が来たので聞いてみると、高原の除雪は終わっておらず、終日除雪作業が行われるとのことだった。これで諦める気持ちにも踏ん切りがついて、この日は急きょ目的を扇ノ山へと向けることになった。その扇ノ山はまだたっぷりと雪が残っており、残雪の山として十分に楽しむことが出来た。そして次の週でも青ヶ丸なら残雪期登山を楽しめるだろうと確信した。そこで気持ちを新たにして、翌週の土曜日(12日)に再び青ヶ丸を目指した。 12日の天気は朝こそ曇りながら午後に晴れるとの予報だったが、朝の播州の空はその通りに雲が多かった。但し青空が広がろうとしていた。その空に少しは安心して北へと車を進めて行くと、雲は次第に厚くなって来た。宍粟市の北部を走る頃には高い山の頂にガスが見られるようになり、若桜町に入ったときは千メートル以上の山は総て雲に隠されていた。そして陽射しのかけらも見られなかった。ちょっと嫌な予感がしたが、ガスでも登ろうと決めて車を「八東ふる里の森」へ進めた。そして広留野と通じる車道に入り、急坂を登った。その坂が凍りついていないかが最大の心配だったが、この日は何の問題も無くスムーズに登って行け、広留野高原に出た。車道はちょうど車1台分だけ除雪が出来ており、開拓地の再奥へと車を進めた。その最奥に車が1台止まっており、3人の登山者が出発準備をしていた。てっきり青ヶ丸を目指すグループかと思っていたが、聞くとスキーで扇ノ山に向かうとのことだった。こちらも近くの路肩に駐車とする。そこから林道入口までは5分ほどの距離。右手に青ヶ丸が見えるはずだったが、すっぽりとガスに包まれてすそ野が見えるだけだった。林道は起点から雪に覆われていたため、そこでスノーシューを履くことにした。雪はよく締まっておりツボ足でも無理なく歩けそうだったが、スノーシューの方が同じリズム歩けるので、足の疲れを抑える意味でもスノーシューで進んで行く。林道は渓流に沿ってほぼ平坦に続いていた。前方に3名のスキー登山者が見えている。そちらもスキーを履いて林道を進んでいた。林道に近い所を小さな川が流れていたが、その水の流れが雪の中をときおりくねくねとなることがあり、その様になぜか北海道の風景を思い出してしまった。1時間近く歩いて東因幡林道はまだかと思い始めたとき、先を歩くスキー登山者に追いついた。扇ノ山をどこから目指すか思案しているように見えた。こちらは先へと進んで行く。そして今少し進んだとき、なぜか林道を離れてしまっていた。雪が多いために林道と思える所を適当に歩いていたのだが、緩い斜面となって間違いに気が付いた。そこで引き返しても良かったが、そのまま歩いても東因幡林道に出るはずなので、そのまま沢沿いを進むことにした。するとその先で沢を渡ることになってしまった。幸いに近くに浅瀬があって無事対岸に渡ることが出来たが、やはり引き返すのが正解のようだった。その位置より今少し進んで予想通りに東因幡林道に合流した。林道歩きを再開するとすぐに細い林道が合流したが、それが先ほどまで歩いていた広留野からの林道のようだった。ここで地図を確認すると、林道が小さく曲がる所を真っ直ぐ歩いてしまったことが分かった。これで現在地がはっりとつかめ、安心して林道歩きを続ける。林道は相変わらず平坦なままで、周囲の風景も丘ほどの起伏で険しさは無かった。心配していた空模様はいくぶん明るくなったようだったが、周囲に高い山が見えないためガスの状況はつかめなかった。ようやく一つのポイントとして考えていた畑ヶ平林道の分岐点に着くと、そこには案内標識が立っていた。こちらはそのまま東因幡林道を南進する。道幅は少し広くなったようで、真っ白な雪面にシカやイノシシの足跡が点々と付いていた。沢橋を渡る頃には天気の回復しているのがはっきりと分かった。そして林道の向きが東へと変わったとき、前方にガスの消えようとしている山頂が見えた。青ヶ丸だった。これで天気の心配はもう無さそうだった。目指す尾根は山頂の西にある1144mピークから南西に延びている尾根で、地図には尾根が林道と交わる所に橋の記号が書かれている。その橋に着いたのは10時半過ぎで、歩き始めてから2時間が経っていた。まずまず順調に来られたようだった。その取り付き点に立つと、南に陣鉢山の山頂が覗いていた。適当に尾根に取り付くと、その一帯は植林地でなだらかな地形になっていた。雪の量は少なく、方向を北東と定めて歩き易い所を選んで登って行く。登るほどに雪の量は増えて歩き易くなった。また尾根の形もはっきりして来た。1144mピークを過ぎて少し下り、そして登り返すが、そこから尾根の傾斜が増して来た。ザラメ雪にスノーシューが滑り易くなったが、スノーシューをキックステップで使って登って行く。後ろを振り返ると木立の間から扇ノ山が覗いていた。そちらもすっかり姿を見せていた。植林主体の木立が雑木林へと変わって来ると雪面が広くなったが、早くもネマガリダケの現れている所があった。もう一週間もすれば雪は更に減ることになり、一気に登りにくくなるのだろう。尾根を登り易いのはこの日が最後ではと思えた。山頂が近くなると木立の丈は低くなり山頂が見えて来た。そして南に向かって展望も現れた。近くに陣鉢山が見えており遠くには東山も望まれた。ただ南の空はモヤがかっており、薄ぼんやりとした見え方だった。山頂が間近になると木立が減って来たが、替わってネマガリダケの顔を出している所が増えて来た。そのネマガリダケを避けながら雪の部分を登って行くと、真っ白な雪面が前方に広がった。そこが山頂だった。林道を離れてから75分経っていたが、あまり急がず登って来たことを考えれば、けっこう短い時間で山頂に着いた思いだった。14年ぶりの山頂は前回と比べると雪は少なかったが、一面白くなっている様はやはり懐かしかった。南北に長くなっている山頂をまずは南へと歩いて行く。左手に見える仏ノ尾が大きい。そして南端に立つと氷ノ山を正面に眺めることになった。前回の記憶が更によみがえり、本当に感慨深かった。この日も山頂には人影は無く、雪面には足跡一つ無かった。空には青空も見られて、陽射しが射すと白い山頂がまぶしく光った。その様を眺めながらパートナーと二人きりでいることに、素晴らしく贅沢をしている気分だった。その山頂は弱いながらも冷たい風があり、陽射しが消えたときは肌寒さを感じた。そこで山頂を北の位置に戻り、ネマガリダケの多く現れている西面で昼休憩とした。そこは風は来ず、まだ倒れた状態になっているネマガリダケに腰掛けていると、程良い暖かさだった。そこからは北西に扇ノ山が大きく見えていた。青ヶ丸山頂から見る扇ノ山は大ズッコを従えて堂々とした姿をしていた。その扇ノ山を見ながら、白い山頂と素晴らしい展望を持つ青ヶ丸は、兵庫の雪山ではトップクラスの魅力ある山だとの思いを改めて強くした。その山頂で昼を過ごしている間に早くも天気は下り坂になってきた。東山が雲に隠されたと思う間に、黒い雲が扇ノ山に迫って来た。そしてすぐに尾根の一部にかかり出した。その様子にしおどきと思って腰を上げた。下山はすんなりと登って来たコースで戻る。自分で付けた足跡をただ辿るだけだった。この下山ではスノーシューを脱いでツボ足で下って行った。どうもスノーシューは下り坂では使い勝手が悪いようである。急坂が続くため一気に下って行け、休む必要も無くごく短い時間で林道に着けたと思って時計を見ると、50分とかかっていなかった。これでは低山登山と変わらない気楽さだった。後は再び林道歩きを続ける。その林道にこちらの足跡とは別にツボ足の足跡が新たに付いていた。その足跡は何度か沢に下りていたので、釣り人のもののようだった。下山の林道歩きはいたってスムーズだったが、その間に空はすっかり曇り空に戻ってしまった。そして駐車地点が近づいて青ヶ丸の方向を見ると、朝と同じく青ヶ丸はすっぽりとガスに包まれていた。 この日の登山を終えての感想は、広留野高原まで車で来られるようなら、この広留野側から目指す青ヶ丸は、いたって気楽な雪山だと言うことだった。この日は林道を忠実に辿ったが、地図には破線の道があり、それを辿ればアプローチの時間は更に短くなりそうだった。ただその分だけ青ヶ丸が小粒な山に見えてしまったことは否めないが。 (2008/4記)(2006/6改訂)(2018/5改訂2) |
<登山日> | 2008年4月12日 | 8:38スタート/9:53〜58東因幡林道分岐点/10:36〜41取り付き点で小休止/11:29[1144m]ピーク/11:56〜13:05山頂/13:24[1144m]ピーク/13:52〜58林道に下り着く/14:15沢川橋/14:34東因幡林道分岐点/14:48広留への林道分岐点/15:38エンド。 | |
(天気) | 朝の空は曇り空で、青ヶ丸もすっぽりと雪に包まれていた。朝の気温は13℃。林道を歩くうちに雲は薄れて、青ヶ丸のすそに取り付く頃にはガスはほぼ消えていた。山頂では雲は多いながらも青空も見られるようになっていた。山頂の気温は9℃。少し冷たい風あり。視界は近くの山はまずまず見えていたが、遠くの山はうすぼんやりとしていた。下山を始める頃よりまた雲が増えて来て、広留野に戻って来たときは、青ヶ丸は再びガスに包まれていた。雪はまだまだ多く残っていた。 | ||
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