2017年3月は毎週末に雪山登山を楽しんだが、3月末になっても番州北部はたっぷりと雪が残っていた。そこで最終土曜日も雪山を楽しもうと向かったのが天児屋山だった、雪が多いとあってちくさ高原スキー場はまだ営業中だったが、駐車場は土日であっても無料になっており、呼び止められることも無く県道72号線を進んで行けた。スキー場のエリアを過ぎても除雪は出来ており、このまま峰越峠かと思っていると、ちょうど除雪作業が行われている現場に出会わせた。道路上に駐車出来そうな所が無かったので、結局スキー場近くまで引き返して、「ラドンの泉」の前に駐車とした。始めは除雪の終わった車道歩きだった。除雪現場から先は1.5メートルほど雪が積もっており、その上に出ると雪面にはっきりとしたトレースがあるのを見た。どうやら最近のもので良く踏まれており、グループで歩いたと思われた。これならスノーシュー無しでも無理なく歩いて行けそうだったが、雪上を安定して歩きたく最初からスノーシューを履くことにした。パートナーと言えば駐車場周囲の雪の状況を見て車にスノーシューを残しており、ずっとツボ足で歩く予定だった。雪上歩きと言っても始めは車道上を歩くので、ごく緩やかな上り坂だった、県境標識が見えてくると展望が現れて、これから向かう天児屋山が眺められた。この日の空は薄雲が広がっており、天児屋山の上空も雲が広がっていた。そのすっかり白い姿を見ると、ずっと雪上を歩いて行けそうだった。県境標識を間近に見る位置まで来ると、トレースは車道コースを離れて峰越峠に向かい出した。そして峰越峠に着くと尾根コースに入った。始めは傾斜がきつかったが、少し登ると緩やかになった。良く締まったトレースの上には、この日歩いたと思われる登山者の靴跡がうっすら付いていた。ほぼ北へと県境尾根歩いて行く。周囲は裸木となった自然林で、ブナも見かけた。そのまま北に歩けば若杉峠へ向かうのだが、トレースは途中で北東方向へと江浪峠へと向かい出した。小さなアップダウンはあるもののごく緩やかな地形とあって、ずっとスノーハイクの気分だった。やがて左手に木々の隙間から東山の姿が見えていた。また東の方向にごく低いピークが見えている。その風景から今立つ位置が三国平ではと思えた。そこで辺りを眺めると、雪面に三国平の山名標識が僅かに覗いていた。次の1170mピークへも緩やかな登りで、易しく登って行けた。1170mmピークを越すと、その先に見えてきたのは山頂手前の1226mピークだった。南の方向がすっきりと開けて、後山の尾根が雄大に眺められるようになった。その頃には薄雲は減って、はっきりとした青空が増えてきていた。雲も形のはっきりした雲だった。どうやら天気は良い方向に向かっているようだった。1226mピークへの登りも緩やかで、振り返ると沖ノ山、東山の両雄が並んで眺められた。本当に天児屋山は雪山となると易しい山で、北に氷ノ山を眺めたり雪原の風景を眺めたりと、けっこう余裕の気持ちで登った。1226mピークを越してようやく天児屋山の山頂が現れた。その先に更に高い山がちらりと見えたが、三室山だった。本当に雪は多いようで、尾根筋には雪庇を多く見るようになった。山頂までも緩やかで、ずっと易しいスノーハイクのまま山頂に近づいた。山頂に着いたのは12時過ぎ。歩き始めてから2時間10分、峰越峠からだと1時間40分かかっていた。山頂には先着者が一名いたが、こちらが昼休憩の支度をしている間に下山したので、以後はパートナーと二人きりの山頂となった。山頂は一段と展望が良く、展望に関しては兵庫の雪山ではトップ3に入るのではと思えた。但し、この日の視界はフラット気味で鮮やかさが無かったのは少し残念だった。また冷たい北風があって、のんびり休める感じは無かった。山頂で30分ほど過ごすと下山に移った。下山は往路を戻るのみ。やはり昼を回って気温が上がってきたこともあって雪は緩んできたようで、ツボ足で歩くパートナーはときおり潜るようになった。それでもトレースを外さなければ無理なく歩ける状態に変わりなかった。この下山中に少し空模様は変わってきて、次第に雲が増えてきた。そのため少し沈んだ色合いの風景を眺めながら歩くことになった。尾根を離れて除雪現場を過ぎ、駐車地点に戻ってきたときは14時半が近い時間になっていた。下山時間としては1時間50分だったので、やはりスノーハイキングとして手頃な山だったと言えそうだった。
(2017/4記)(2020/4改訂) |