雪の季節になって易しくスノーハイキングを楽しめる山として、天児屋山は最適な山の一つと言えそうだった。ちくさ高原スキー場を起点とすると歩く距離は少々長くなるが、峰越峠に入ると終始なだらかな尾根歩きとなり、山頂が近づくほどに展望が広がってくる。その風景を眺めながら広々とした雪面を歩くのは何とも気分が良いもので、その先には真っ白な山頂が待っている。2021年もその楽しさを味わいたく向かったのは2月5日で、朝から澄んだ青空が広がっていた。この日は平日だった。平日で良かったのは、ちくさ高原スキー場の駐車料金が無料になることだった。但しこちらはスキー場の駐車場ではなく、スキー場を抜けた先にある「ラドンの泉」に止めることにした。その予定でスキー場を抜けると、抜けた先は除雪されておらず、「ラドンの泉」の手前の車道上に車を止めることになった。そこからはスキー場のゲレンデが見えていたが、スキー客は平日のためか少ないようだった。雪は少ないと思っていたのだが、ゲレンデは真っ白で、これから歩く県道72号線も白かった。但し積雪量は30センチまでと思われた。この天児屋山のスキーハイキングとしての魅力は良く知られてきたようで、雪面には多くの足跡が付いていた。ただスノーシューの跡はなく、つぼ足の跡だった。こちらは歩き易さを考えて最初からスノーシューを履くことにした。そのハイキングの様子は下の写真帳をご覧いただきたい。始めに県道を県境まで歩いて行くが、路上の雪は増えることもなく消えることもなくで、スノーシュー歩きで問題なかった。峰越峠に着いて県境尾根に取り付くと、始めは雪の少ない所もあったが、程なく尾根の雪は増えてスノーシューでスムーズに歩けるようになった。トレースはずっと続いており、県境尾根を離れる位置も地図を見る必要もなくトレースを追うだけで、ごくスムーズに江浪峠を通り三国平に着いた。その先はトレースは減ったものの消えるようなことは無かった。そこまで来れば尾根を山頂に向かって歩くだけなので、トレースを気にせず歩き易い所を選んで登った。1170mピークを越すとこの天児屋山のスキーハイキングとしてハイライトと言えそうな所となり、広々とした雪面登って行くことになった。背後には沖ノ山と東山の並ぶ姿が眺められるようになった。右手は後山の雄大な尾根だった。山頂までには1226mピークを越すことになりるのだが、傾斜のきつい所は無いとあって、気ままなスノーハイキングだった。しかも雪面は前夜に降ったと思われる新雪に覆われており、その踏み心地は良かった。左に見えてきたのはくらますで、その背後に氷ノ山がちらりと見えていた。雪の量は50センチ以上にはなっており、たっぷり積もっている所を歩く感じとなってきた。そして最後は真っ白な雪面となった緩やかな尾根を登って山頂に立った。冬に登る天児屋山は何度登っても達成感があって良いものである。山頂ではやや強く風を受けることになったので、裸木の並ぶ北面側に入って、木立の中で昼休憩とした。そして再び山頂に立つと、改めて展望を楽しんだ。この日の視界は澄んでおり、どの山もくっきりと見えていた。山頂から見る氷ノ山はひときわ白かった。山頂で休んでいたのは30分弱のこと。下山は歩いてきたコースを引き返すのみ。山頂こそ風があったが、山頂を離れるとあまり風を受けることもなく、気楽な下山だった。この下山では峰越峠への下り坂に入ったとき、一度スノーシューを脱いだが、車道歩きに入るとやはり歩き難さがあったので、再びスノーシューを履くことになった。県道歩きを含めても往路は2時間、復路も2時間弱だったので、手頃なスノーハイキングを楽しめたようだった。
(2021/2記) |