兵庫の雪山として雪がたっぷりあり、コースに危険な所は無く、そして展望も秀でている点で、天児屋山は最上位に挙げられる山ではと思っている。2025年も2月に入って快晴の日を狙っていたが、タイミングが合わず3月に入ってしまった。
その3月も中旬となって兵庫全域で快晴となったのが14日だった。この冬は雪が良く降っていたので、雪は全く心配していなかった。ちくさ高原スキー場の先から雪上歩きになると予想して向かった。その通りで、スキー場の先にあるラドンの泉より除雪はされていなかった。この日は平日とあってスキー場の駐車場は無料になっていたので、無理にラドンの泉まで車を進めず駐車場に車を止めた。スキー場は3月中旬でも全面滑走可能となっていたため、平日にもかかわらず大勢のスキーヤーが来ており、駐車場はほぼ満車状態だった。スノーシューを携えてスタートすると、ラドンの泉の前でスノーシューを履いた。県道の雪は50センチほどか。朝の雪は締まっており、ほぼ潜ることもなく歩けた。ごく緩やかな上り坂が続いて、32分で峰越峠の登山口に到着となった。そこからは兵庫岡山県境の尾根歩きだった。最初に植林地の急坂があり、そこを登りきると地表の現れている所があった。それもすぐに終わって、後はスムーズに雪上を歩けた。周囲は自然林に替わっており、木々の隙間から天児屋山が望めた。尾根歩きを30分ほど続けると進む方向は東へと変わり、今度は兵庫鳥取県境の尾根歩きだった。最初は緩く下ることになり、緩やかに登り返して平らな所に出ると、そこに三国平の山名標識を見た。その先で上り坂が始まって1170mピークを越した。ピーク一帯は杉林になっていた。雪の量は増えており、雪のこぶを越して進んだ。南には後山の尾根が見えていた。次は1226mピークだったが、その西斜面の登りは天児屋山スノーハイクのハイライトと言ってよく、緩やかに広がる雪面を登るのは気持ちの良いものだった。登るほどに背景に風景が広がり、沖ノ山と東山の並ぶ姿が眺められた。周囲にはカラマツをぽつぽつと見たが、それにちなんでか「カラマツの丘」の標識を見た。1226mピークに立つと漸く前方に山頂が望めることになった。その山頂が近づくと山頂を見ながらの登りとなり、その雰囲気も良かった。そして峰越峠から1時間40分、三国平から50分で山頂に到着した。スタートが遅かったこともあって既に13時を過ぎていたので、山頂休憩は20分ほどで済ませることにした。手早く昼食を終えると、後はゆっくりと周囲の風景を眺めて過ごした。真っ白な氷ノ山はいつ見ても良いものだった。下山は往路を戻るのみ。自分が付けたトレースを辿るだけだった。この日の気温は高めで、快晴の陽射しを受けていると十分な暖かさだった。そのためか午後の雪は緩んでいた。三国平辺りまではその緩みは気にならなかったが、兵庫岡山県境を歩いていると、スノーシューでも少し潜るようになった。峰越峠に着いて県道歩きに移ると、それは顕著になってきた。一歩一歩が大きく潜るようになり、けっこう難儀することになった。ようようの思いでラドンの泉に戻って来たが、終わればやっぱり楽しかったと思えた雪の天児屋山だった。
(2025/4記) |