TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨編
 
後山     うしろやま 1344.4m 宍粟市
美作市(岡山県)
  宍粟市
美作市(岡山県)
船木山   ふなきやま 1334m
  西粟倉村・美作市
(岡山県)
駒の尾山   こまのおやま 1280.5m
 
1/2.5万地図 : 西河内
 
【2003年2月】 2003-14(TAJI&HM)
     天児屋山より  2002 / 3

 後山から駒の尾山へと続く尾根は兵庫、岡山の県境尾根だが、雪の季節になると尾根は真っ白になるのが例年の風景で、播州南部からもはっきりと眺めることが出来る。この尾根を歩きたく機会をうかがっていたが、2003年に入って2月中旬に漸く実現させた。ただスノーハイクとして尾根に出ることを考えたとき、雪の状態が分からないため、一番簡単と思える東粟倉村(現・美作市)からの船木山登山道を登ることにした。
 この日は快晴。岡山県に入り、大原町(現・美作市)から東粟倉村へと向かって登山口を目指す。その登山口が間近になったとき、それまで僅かに見えていた林道の雪が増えてきた。しかも固く凍っている所もあって、登山口が目前となってそれ以上進むのはちょっと危なくなって来た。そこで登山口まで歩いても数分の距離でもあったので、近くの支林道に入って邪魔にならない位置に駐車とした。登山口を登り出すと登山道には少し雪が残っていたが、雪は凍っており潜ることは無かった。沢沿いの緩やかな登りで、徐々に雪が増えて道が隠されて来た。登山道が見えなくなることは無かったが、点々と赤テープが付いており道を追うのは楽だった。沢を一度右岸に渡り、そしてまた左岸に戻った頃より雪の量が増えて来た。道の傾斜も増して来た。登山道にはトレースが付いていたが、軟雪のときに歩いたようで、けっこう潜った跡が見られた。そのトレースのままに登っておればと気楽に進んでいると、中腹の植林帯に入った辺りより新雪が見られるようになった。前日にでも降ったようで、その新雪にトレースが隠される所も現れた。コースを外れると新雪の上は歩きにくいので足探りでトレースを追っていたが、途中一度トレースが全く分からなくなりコースを外れてしまった。そこで適当に急斜面の植林地を登ると、再びコースに合流出来た。標高にして1100mを過ぎて尾根は北へと向きを変えると、やや緩やかな登りになった。両側を植林地に囲まれて、その中を真っ直ぐにコースが続いている。その辺りになると雪は1メートルほどになっていた。トレースは登山靴の跡からワカンの跡に変わっていたが、雪は固く締まってきたためトレースを追う必要も無く気軽に登って行けた。緩やかな登りは長々と続き、なかなか山頂が近づかない。やがて植林は雑木へと変わった。その辺りはクマザサのヤブが周囲に広がっているはずだが、すっかり雪の下でササの先端がちらほら見えるだけだった。空は快晴で青いばかりである。その青空が広がり出して、山頂に近づいたことが分かった。もうコースなど関係無く、登り易そうな雪面を適当に歩くだけだった。よく締まった雪はどこを歩いても数センチも潜らないので、何とも気楽だった。そして船木山山頂へ。登山口から1時間半ほどかかっていたが、夏道と変わらぬ時間で登れたのではと思えた。クマザサに覆われた山頂はただ雪面が広がっているだけで、雪の無い季節とはすっかり様変わりしていた。尾根の雑木が視界を少し遮っているものの、展望も広がっている。何とも素晴らしい銀世界に、すっかりうれしくなった。後山に向かい出すと尾根の木々には雪が付いており、いわゆる霧氷になっていた。始めは大したことは無かったが、後山に近づくにつれ見事になって、直前の尾根は全ての木が白い衣をまとっていた。中でもやはりブナが美しかった。青い空に樹氷、風は無く陽射しが快いばかりだった。写真を撮ったり景色を眺めたりと尾根の歩きを楽しんで、スタートしてから2時間で後山山頂に着いた。先着者が一名。千種町側から登ってきたとのこと。その先着者も程なく下山して、山頂はパートナーと二人っきりになった。後山の山頂に冬季に立つのは初めてとあって、無雪期とは違う展望に新鮮さが感じられた。ササはほとんど隠されていおり、今までに無い素晴らしい展望が広がっていた。純白の氷ノ山に三室山から植松山の尾根。後山は決して展望の悪い山では無いと見直す思いだった。その展望を楽しみながら昼食どきを過ごした。そしてこの後山を起点に駒の尾山までの縦走を楽しもうと、後山山頂を離れたのは12時半。船木山までは登って来たルートを引き返すことになる。尾根には朝に見られた樹氷がまだまだ残っており、それを愛でながらゆっくりと尾根を辿った。ほぼ自分で付けたトレースを歩いて船木山に着き、そこから先はまたトレースの無い雪面を自在に歩いて行った。緩やかな下り坂は雪面の状態と相まって何とも気楽で、冬山を歩く中でも最も楽しいのではと思えた。ただ展望は良いとは言えなかった。ササこそ雪の下だったが、尾根に立つ雑木が展望を遮っていた。その雑木もまばらな所があり、ときおりは展望が開けた。北は沖ノ山から東山、氷ノ山、三室山と、雄峰が並んでいる。南は日名倉山から郷鴫山が近くに見えていた。南の空はモヤが強く、薄ぼんやりとした風景になっていたのはいささか残念だった。そして駒の尾山との中間点となる鍋ヶ谷山が近づくと、辺りは広々とした雪原になっており、そこにカラマツが多く見られた。東から鍋ヶ谷山を登ると何気ないと言った感じでその小さなピークを乗り越すが、下りは少し傾斜がきつくなることもあって、振り返ったときに見る鍋ヶ谷山は白い頭をもたげた姿を見せていた。もう立派な一つの山として見えていた。この後は駒の尾山へと歩を進めたが、この日の後山から駒の尾山への縦走の中でも、この鍋ヶ谷山を中心としたなだらかな尾根歩きは本当に気楽なもので、尾根の雰囲気の良さと相まって氷ノ山のスキーハイキングより楽しいかもしれないと思ってしまった。結局、後山から駒の尾山までは1時間半で歩けてしまい、夏道とほとんど変わらない時間だったのではと思われた。駒の尾山の山頂は一段と白い雪面が広がっており、そして無雪期を更に上回る素晴らしい展望が広がっていた。この後は駒の尾山荘へ下る予定であったが、ここまでの尾根歩きが楽しく、もう一度尾根歩きを楽しむために改めて船木山へ戻って行った。
(2003/2記)(2009/2改訂)(2020/6改訂2)
<登山日> 2003年2月15日 9:43登山口手前からスタート/9:46船木山登山口/11:10船木山/11:43〜12:30後山/13:00船木山/鍋ヶ谷山経由で駒の尾山へ/14:05〜20駒の尾山/14:42鍋ヶ谷山/15:15 船木山遊歩道への分岐点/16:07船木山登山口/16:15エンド。
(天気) 快晴の空が広がる。風はほとんど無く気温も高めで絶好の登山日和だった。但し午後に入ると西の空から徐々に薄雲が広がって来た。風も少し出てくる。視界は南の空こそモヤが強 ったが北から東の空はまずまず澄んでいた。
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尾根を上り詰めると船木山の山頂は純白の世界だった 船木山山頂を後にして後山を目指した
後山に近づくと木立は霧氷になっていた 霧氷はやはりブナが美しかった 後山山頂に立って船木山を見る

 後山山頂に立って
 北東から東へと続
 く尾根を眺める


  南東に黒尾山を見
  る
上の写真の三室山を大きく見る 阿舎利山の方向を大きく見る

 山頂から船木山の
 方向を眺める


   那岐山の方向を少し
   大きく見る

 後山から船木山へと
 戻って来るときに北
 西方向を眺める

 上の写真の沖ノ山
 を大きく見る


   同じく東山を大き
   く見る
船木山へ戻る途中より後山を振り返る 後ろからパートナーが付いてくる

 尾根から天児屋山
 の方向を眺める


   後山から戻ってくる
   ときも尾根の霧氷を
   楽しんだ
 
南西方向を見る そちらの空はモヤがやや強かった 船木山山頂を離れて駒の尾山を目指す

 鍋ヶ谷山が近づ
 いてきた


   尾根から北を見
   ると氷ノ山まで
   が一望だった

 鍋ヶ谷山の山頂に
 立つとササはすっ
 かり埋もれてカラ
 マツ林が目だった


   南に郷鴫山を見る

 尾根にトレースは
 無く、好きな所を
 歩けた

 鍋ヶ谷山を過ぎる
 と駒の尾山はもう
 近かった

 北の鳥取県との県
 境尾根が更に一望
 になった

 鍋ヶ谷山を過ぎ
 ると駒ノ山の山
 頂に立つ案内板
 が見えてきた

 駒の尾山に一歩
 一歩近づいた
 
駒の尾山の山頂はすっかり雪に覆われていた 北の山並みを見る
西の方向、岡山県側の山を望む うっすらと見えていた扇ノ山を大きく見る
歩いてきた方向を望む
三室山を大きく見る 東山を大きく見る 船木山へと戻って行った