◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <西播磨編> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
後山 うしろやま | 1344.4m | 宍粟市 美作市(岡山県) |
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船木山 ふなきやま | 1334m | 宍粟市 美作市(岡山県) |
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駒の尾山 こまのおやま | 1280.5m | 西粟倉村・美作市 (岡山県) |
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1/2.5万地図 : 西河内 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2009年2月】 | 2009-20(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
太子町の城山より遠望する 2009 / 1 |
駒の尾山から後山へと続く尾根はたおやかさがあって人気の尾根だが、冬になるとすっかり白くなって冬山としても楽しい尾根である。ただ冬季のアプローチとなると尾根までの距離が短くまた周回が出来ることもあって、岡山側から登られることがほとんどではと思われる。兵庫側からとなるとずっと少ないようである。後山だけなら夏道コースを時間をかければ登れるが、駒の尾山までの縦走となると、ちょっと時間的に厳しいように思われる。その縦走を兵庫側から考えたとき、尾根に出る容易さでちくさ高原の駒ノ尾登山口が一番適していると思えるが、それでも下山を考えるとピストン登山となり一日たっぷりかかるので、岡山側と比べるとちょっとハードルは高いと言える。それでも駒ノ尾登山口からのコースで一度は登ってみたいと、2008−2009年の冬シーズンはこのコースを一つの目標に考えていた。2009年の1月に入って天気の安定を見ていたが、一日中好天の予想される休日がなかなか現れず、2月に入って最初の土曜日に漸く機会が巡ってきた。 姫路の自宅を離れたのは7時半。千種町に入るには波賀町側から鳥ヶ乢の峠を越えるのだが、その道は山岳道路の性格があり、冬の季節は積雪が多いと道幅がぐんと狭くなって、けっこうすれ違いの厳しい道である。その鳥ヶ乢にトンネルがが完成していた。鳥ヶ乢トンネルだった。その効果は絶大で、1分少々であっけなく千種町に入った。その千種町の景色は雪は見られるものの例年よりは少ないようで、道そばに少し見るだけだった。それもちくさ高原に近づくと一気に増えてきて、そして前後に車が続くようになった。いずれもスキー客の車だったが、こちらは駒ノ尾登山口が現れると、その先の駐車スペースに車を止めた。もうすっかり雪深い景色だった。雪は固く締まっていたので、スノーシューをザックにくくり付けてスタートする。登山コースは入口から雪に覆われていたが、そこにはうっすらとトレースが付いていた。そのトレースと目印の赤テープもあって、さほどの苦労も無く登山コースを辿って行けた。気温は1℃と冷え込んでおり、靴はほとんど潜らなかった。そしてコースは暫くは緩やかに続くので、夏道よりも歩き易いと言えた。その登山コースが傾斜がきつくなり出すと、雪の量が増えて靴が潜り出した。それと共にトレースは消えてしまい、おまけに赤テープも見えなくなった。そこでスノーシューを付けて適当に登って行くことにした。大量の雪は便利なもので、じゃまなササ類は雪の下とあって好きな所を登って行けた。登るほどに木立は疎らになり、背後には展望が広がってきた。始めに天児屋山の尾根が覗き、次に北に間近く大海里山のピークが現れた。そして後山、船木山が見えてくる。その急斜面を登り切って県境尾根に出ると、そこにちょうど標識があって、駒の尾山まで800mと書かれていた。県境尾根は始めに少し傾斜のきつい所があったが、そこを越すともう後はなだらかなままだった。木立にはブナも混じって、その枝が雪面に美しい影を落としていた。やがて右前方に木立を通して駒の尾山が見えてきた。その駒の尾山に近づいて行くと、周囲の林が切れて、一気に前方に雪面が広がった。その先に見えたのは駒の尾山の避難小屋だった。尾根に出て30分ほどになっていた。それまではごく普通に雪の尾根を歩く感じだったが、一気に風景に広がりが出た。もうすっかりスノーシューハイクの世界だった。どこが登山道なのか全く分からず、好きな所を歩いて行くことにした。避難小屋に着くと山頂まで100mとなっていた。緩い坂でもあり、ほんのひと登りと言った感じで、3分とかからず駒の尾山山頂に着いた。そこは木立の無い平らな山頂とあって、ただ雪面が広がるのみだった。見えているのは山名の標柱と案内板だけで、後は雪の下だった。雪の無い季節でも展望は良いのだが、積雪期は格別だった。何と言っても後山へと続く尾根の伸びやかさが良かった。その展望を一通り楽しんだが、少し心配なのは西の空が曇っていることで、そちらの雲が徐々に近づいてた。山頂には長く居らず小屋へと向かった。少し早かったがそこで昼食を採ることにした。清潔な小屋で雰囲気は悪くなかった。お腹が満たされると、いよいよ後山へと尾根歩きを開始した。その後山はまだまだ遠い。雪面には今朝付けられたと思われるトレースが一つあった。駒の尾山山頂から続いており、ツボ足で歩いていた。少し潜っていたがツボ足でも歩ける雪の状態だと言えそうだった。この尾根歩きは終始楽なのだが、駒の尾山から鍋ヶ谷山までは横の広がりもあるので、一番伸びやかさのある所だった。青い空に映えるブナの木立を眺めながら歩を進めた。鍋ヶ谷山の手前に来て少し坂がきつくなったが、そこは一面真っ白でパートナーと別れて好きな所を登って行った。鍋ヶ谷山はカラマツがアクセントになっており、ブナと共に優しい風景を作っていた。鍋ヶ谷山を越すと、船木山へだらだらと登りが続く。ときおり人とすれ違ったが、いずれも単独者だった。そののんびりとした尾根歩きだったが、西の曇り空は確実に近づいていた。鍋ヶ谷山ではまだ上空には青空が広がっていたが、船木山の山頂に着く頃には上空を越えて東の空まで広がろうとしていた。船木山を越すとトレースが増えていた。やはり船木山登山口から後山を目指す人が多いようである。但し前後に人影は無かった。後山が徐々に近づき、上り詰めてそこが山頂かと思うとその少し先が一段高く、そちらにブルーシートに包まれた山頂の祠が見えていた。その後山山頂に着いたときは駒の尾避難小屋から1時間と40分が経っていた。やはり漸くの思いだった。そこに人はおらず、冷え冷えとした風が吹いていた。上空はすっかり曇り空だった。風景も沈んだものだったので、10分と止まらず山頂を離れた。再び駒の尾山へと長い尾根歩きとなるが、また楽しくスノーハイクを続けようと、ひたすらスノーシューを進めた。空は一方的に悪くなると思っていたが、むしろ後山にいたときが一番暗かったようで、徐々に持ち直していた。船木山を越すと薄曇り程度となり、空の一部には青空も覗くようになった。それだけでも気分は良いもので、行きとは違った所を歩いたりして、白い雪面歩きを楽しんだ。その雪面は動物の通り道でもあるようで、キツネにタヌキに野ウサギと様々な足跡が付いていた。再び駒の尾山の山頂に立ったときは15時が近い時間になっていた。後山との往復は3時間半だったようである。その駒の尾山からの視界は朝と比べるとなぜか良くなっており、朝には判然としていなかった西の空に、うっすらと那岐山が望まれた。また後山も順光となってくっきりと見えていた。ピストン登山となっても行きと帰りとでは風景が違ってくるのは面白いことだった。その駒の尾山からの下山は速かった。急斜面となったところからはスノーシューを脱いで、ツボ足で一気に下った。瞬く間に朝にトレースを追っていた位置まで下り着いてしまった。雪山はこれが出来るから下山は本当に楽だった。その先もツボ足で戻って行く。もうゴールまで朝に付けた足跡を追って歩くだけだった。この日に山上で出会ったのは、結局3名の単独者のみで、出会っていなかった人を入れても10人も登っていなかったのではと思われた。好条件の雪山は夏山よりずっと歩き易いのに、何とももったいないことだと思いながら登山口へと戻って行った。 (2009/2記)(2020/6改訂) |
<登山日> | 2009年2月7日 | 9:30駒ノ尾登山口スタート/10:34〜38県境尾根に着く/11:07〜10避難小屋/11:13〜20駒の尾山/11:23〜35避難小屋/12:05鍋ヶ谷山/12:44〜48船木山/13:13〜22後山/13:45〜48船木山/14:57〜15:03駒の尾山/15:30県境尾根を離れる/16:13エンド。 | |
(天気) | 朝の空は快晴。気温は1℃で、風は無く穏やかだった。県境尾根に出ると冷たさのある西風を受けた。気温も0℃まで下がる。駒の尾山の山頂に立つと、西から薄雲が広がって来るのが見えた。その雲が昼には上空まで広がり、後山ではすっかり曇り空だった。ただ気温は3℃まで上がってくる。天気はその後は少し持ち直し、薄曇りから薄晴れ、ときにうっすら青空も覗いて、小さな変化を繰り返した。風も弱く吹く程度になっていた。視界はまずまず良かった。 | ||
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