TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨編
後山     うしろやま 1344.4m 宍粟市
美作市(岡山県)
船木山   ふなきやま 1334m
鍋ヶ谷山   なべがたにやま 1253m
 
1/2.5万地図 : 西河内
 
【2010年3月】 2010-30(TAJI)
    県境尾根を鍋ヶ谷山へと近づくとき  2010 / 3

 宍粟市の山を紹介したガイド本に「宍粟50名山」があるが、それを見たとき、山の紹介よりもまだ歩いていない登山コースに興味を持った。その一つが船木山の項で紹介されていた鍋ヶ谷林道からの北面コースだった。そこでガイド本通りに歩いて北面コースを知ろうと思った。但し船木山に登るのなら後山は目の前なので、後山まで足を延ばすことにした。向かったのは2010年3月の22日、春分の日を挟んだ3連休の3日目だった。3連休の初日は扇ノ山に登って、まだまだ残っている雪を楽しんだが、どうも後山はほとんど雪は無さそうに思えて、靴こそ冬靴を履くことにしたが、後はロングスパッツだけの準備で向かうことにした。それをパートナーに話すと、他にやりたいことがあるとのことだったので、単独で向かった。
 この日の宍粟市の空は薄雲が多くあって、薄晴れと言えそうな空だった。駐車はちくさ高原の手前で見える駒の尾山登山口標識のそばとした。小さな公園がある所である。雪は予想した通り、道脇にちらほらあるだけで、山肌にはほとんど残っておらず、雪対策は何ら必要無さそうだった。大きな駒の尾山の標識に隠れるようにして船木山登山口の標識が立っていた。そこから始まる登山道で大海里谷を目指すことになる。植林地の中に続く登山道を登り始めると、雪で白くなった所が多く現れた。それは残雪では無く、前日に降ったと思われる雪が残っているもので、1センチと積もっていなかった。植林地は薄暗く、意外と冷えており、気温は2℃だった。場所によってはすっかり白くなった所もあったが、それも前日の雪で、表面を隠すだけだった。登山道は概ね沢沿いに続いていたが、沢を離れて周囲にクマザサが見え出すと、程なく峠(大海里谷)に着いた。もうそこから後山までは遊歩道と呼べそうな歩き易い道が続く。尾根に出ると陽当たりが良いのか、大海里谷までの道よりも前日の雪は少なく、残雪は全く見られなかった。例年に比べると、半月は季節が進んでいるように思われた。但し山上の気温も2℃と低かった。もうのんびりと歩いて行くだけだったが、駒の尾山が近づくと急斜面があり、そこは足を使うことになった。登りきると程なく避難小屋が現れた。そこから西に向かえば駒の尾山はすぐだが、この日は船木山、後山に目を向けていたので、駒の尾山には立たないことにした。小屋にも入らず東へと向かった。そこまでは雪の上に足跡を見なかったのだが、メインコースだけに雪面にはこの日に歩かれた足跡が付いていた。鍋ヶ谷山を越して船木山に近づくまでがコースとして一番緩やかな所なので、早春の雰囲気を楽しみながら歩いた。ときおり前方に船木山、後山がどっしりと眺められ、振り返ると駒の尾山が優美な姿を見せていた。また北にも展望が現れることがあり、まだ白さのある東山、扇ノ山、氷ノ山がうっすらとした見え方で望めた。ただ歩いている間の多くはネマガリダケに囲まれてだった。そのネマガリダケを見ながら淡々と歩いていたが、どうもネマガリダケに若さが感じられなかった。雪解け直後で弱々しいのは分かるが、押し返すような勢いが無く、黒ずんだように見えるのは気になった。ごく小さな丘を越える雰囲気で鍋ヶ谷山を過ぎて船木山に近づくと、周囲の木立にぽつぽつとブナが見られるようになった。少し傾斜がきつくなって船木山が近づくと、漸く残雪を見たが、ごく僅かだった。美作市側からのコースが合流して山頂としては狭い船木山を越すと、そこに北面コースが合流していた。「鍋ヶ谷林道登山口」への方向を示す標識が立っていた。その辺りから北の風景がまずまず眺められるようになり、三室山が大きかった。ただその頃には上空に青空が見えなくなっており、薄曇りとなっていた。見え方も少し淡い見え方だった。後山へ一歩一歩近づくのはいつものことながら、漸く山頂に立てる思いとなって、良いものである。傾斜が少しきつくなり、そこを登りきれば山頂かと思っていると、その先が一段高くなっており、そこに青いビニールシートが見えていた。山頂の祠を包んでいると思われる。少し狭いと感じる山頂に着いたのは、歩き始めてから2時間半ほどなので、ちょうど手頃な感じだった。山頂には親子のハイカーが一組いるだけで、ごく静かだった。ここに着いての楽しみは東の展望が現れることで、薄曇りの空の下に黒尾山から植松山、一山など、宍粟市の高峰群を目に収めながら昼どきとした。この後山でも残雪は全く無く、前日の雪のみだった。山頂では昼食をとったり北や西の風景も眺めたりで30分ほど過ごした後、下山に向かった。まずは船木山の手前まで引き返す。空は薄曇りよりも曇りと言えそうな色になっていた。標識に従って北コースに入ると、登山道と言うよりも切り開きの道と言う感じで、やや傾斜がきつかった。北面だけに残雪があり、滑らないように注意した。ただ残雪と言っても10センチほどだったが。下るうちに小さな尾根を歩くようになり、周囲にクマザサが増えてきた。主稜線のネマガリダケも勢いは無かったが、ここのクマザサは緑の部分が少なく、いっそう勢いが無かった。よく見ると葉はかじられており、シカの食害が進んでいるようだった。下るうちにその食害の様がよく分かった。葉の部分がどんどん見えなくなり、茎だけが残るだけになってきた。そのころには周囲は植林地になっており、尾根なりに下れば林道に下り着くものと思っていると、その尾根が不確かになって、目印を追わなければコースが分かり難い状態になってきた。少し不自然さを感じるコースで、やはり板馬見渓谷のコースと比べると、風情は落ちるようだった。目印のままに下るので、地図上のどこを下っているのかはっきりしなかったが、最後は予定通りに林道に下り着いた。林道はダート道ながらも十分な道幅があった。その林道を後は西へと下って行くだけだが、東に向かえば鍋ヶ森神社の奥の院に通じるようだった。林道の周囲は植林が多く、やはり退屈さがあったが、ときおりは植林の切れ目から北の尾根が眺められて、天児屋山が大きく望めた。林道歩きを40分ほど続けると鍋ヶ谷の沢が現れて、そこより数分で県道72号線に合流した。そこからは緩い登り坂になるが、駐車地点までは400mほどの距離だった。
(2010/4記)(2020/5改訂)
<登山日> 2010年3月22日 9:35駒の尾山登山口スタート/10:21大海里谷/10:52駒の尾山分岐点/11:17鍋ヶ谷山/11:48船木山/12:08〜40後山/12:58北面コース分岐点/13:37登山口/14:20林道起点/14:26エンド。
(天気) スタート時の空は少し薄雲があったが、まずまずの晴れだった。ただ空の青さは薄かった。登るほどに薄雲が増えてきた。船木山に着く頃には薄晴れ程度となり、後山での休憩中に薄曇りまで変わってきた。更に空の色は濃くなって、下山を終えたときは、すっかり曇り空だった。朝の気温は、山かげを登っていたときは2℃ほど。尾根に出ると8℃まで上がってきた。午後に入ると雲が増えたこともあり、6℃まで下がってきた。山上は風はほとんど無く、穏やかだった。視界は薄い色ながらも、まずまず遠くまで見えていた。
<< Photo Album 2010/03/22 >>
駒の尾登山口標識のそばに船木山のものがあっ
うっすらと雪を見るが、これは前日のものだっ
すっかり白い所もあったが、雪の量は僅かだっ
陽当たりの良い所は、もう雪は消えていた 南東を見ると、これから向かう二峰が望めた 沢筋を離れて尾根へと向かう 目印テープを追う
県境尾根に出る そこは大海里谷だった 尾根に出て西の山並みを見る 左の写真の那岐山を大きく見る
南へと県境尾根歩きを開始する 急坂は丸太の階段道で続く 急坂を登り切ると穏やかな道に変わった
前方に避難小屋が見えてきた 駒の尾山には向かわず、県境尾根を東に向かった 振り返ると駒の尾山が明るかった
前方の丸い山は鍋ヶ谷山だった 鍋ヶ谷山へと近づく ネマガリダケが占める鍋ヶ谷山の山頂を通過する
ネマガリダケは枯れている所も見られた 前方に後山と船木山を見る 船木山まで500mだった
尾根も白い所があったが、これも前日のものだ
った
ときおり北に展望が開けた 左の写真の東山を大きく見る
船木山へと近づく 船木山山頂の手前で美作側のコースが合流する 船木山山頂を見る 狭い山頂だった
船木山を越すとすぐに北面コースが合流した 木立を通して前方に後山を見る 後山がすっきりと見えるようになった

 後山への道も優
 しい道だった


    南に日名倉山
    が見下ろせた
 
後山山頂へと最後のひと登りだった 後山山頂を見る ここも残雪は無かった

 後山山頂より北東
 方向を見る 氷ノ
 山がうっすらと眺
 められた

    氷ノ山の雪はかなり
    減っていた
上の写真の右手となる東の方向を眺める 左の写真の藤無山を大きく見る

 南東に黒尾山の尾
 根を見る


     左の写真の明神山
     を大きく見る
後山山頂のブナを見上げる 北を見ると、木立の間から扇ノ山が覗いていた 左の写真の中央、扇ノ山を大きく見る

 後山の山頂にいる
 間に空は曇り空に
 変わった 西を望
 む

    間近に見える日名
    倉山の山頂を大き
    く見る
後山山頂を後にして船木山へと戻って行く 船木山の山頂が近くなった 鍋ヶ谷林道に至る北面コースに入る

 下りだして北に展
 望が開けた


   左の写真の「くら
   ます」を大きく見
   る
始めは切り開きのような道だった 北面を下るとあって少しだが残雪を見た 北へと植林地の尾根を下るようになった
登山道の周囲のクマザサは食害が進んでいた 少し下るとクマザサは疎らにしか生えていなか
った
更に下るとクマザサはほぼ消えようとしていた

 尾根の展望は少なかっ
 たが植林地が若木にな
 ったとき、北西に二つ
 の山を見た

     途中で尾根を離れると
     何となく目印を追って
     下るだけの雰囲気とな
     った
県境尾根を離れて40分ほどで鍋ヶ谷林道が見
えてきた
登山道の起点には後山登山口と船木山登山口の
二つの標柱が立っていた
林道を北西へと下り始めると、北の尾根を眺め
られることがあった
北に長義山を見る 林道歩きが長々と続く 少し退屈だった 鍋ヶ谷国有林の説明板が三つもあった
鍋ヶ谷の沢を見る    県道72号線が見えてきた    県道との合流点には「奥の院」の標識が立って
いた