◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <北但馬編> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
扇ノ山 おうぎのせん | 1310.0m | 若桜町・八頭町・鳥取市 (鳥取県) |
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1/2.5万地図 : 扇ノ山 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2010年3月】 No.7 | 2010-28(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
氷ノ山二ノ丸より 2010 / 3 |
兵庫の山で残雪を最後までとどめるのは氷ノ山と扇ノ仙。このところ残雪期の扇ノ山が気に入っており、2008年、2009年と訪れていた。その扇ノ山も兵庫側からでは無く、鳥取側の「八東ふる里の森」からのコースばかりで訪れている。比較的短時間で登れ、尾根の伸びやかな雰囲気が気に入ってのことだった。2010年は3月14日に快晴の氷ノ山を楽しんで、これで兵庫の雪山は締めくくろうと思ったのだが、翌週の3連休も比較的天気に恵まれそうだった。そこでもう一つと考えたとき、すんなりと扇ノ山が思い浮かんだ。3年連続である。3連休の初日に向かうと決めたが、その20日の天気予報は午前こそ晴れるものの、午後は天気が悪化するとなっていた。しかも春一番が吹くとなっていた。 20日当日は朝早い6時過ぎに自宅を離れた。午前中は晴れが期待出来そうなので、その午前中に山頂に立ってしまおうとの考えだった。やはり南東尾根を歩きたく、鳥取県八頭町の「八東ふる里の森」を目指して行く。空は快晴では無かったものの、薄晴れから晴れと言った感じで、少し白っぽい空だった。前週の氷ノ山登山では、はやネマガリダケが多く現れており、例年より2週間は早い雪解けかと思われた。そこで「八東ふる里の森」まではすんなりと車を進められると考えていたが、その通りで道脇に少し雪を見るだけで、ごくスムーズに「八東ふる里の森」の駐車場に着くことが出来た。一台の車が先に着いていたが、登山者では無く釣り人だった。話を聞くと前日も来ていたそうで、親子グマを見たとのことだった。こちらは沢とは関係無いので、特に気にしないことにした。その駐車場から先は林道となるが、そこは一気に雪の世界だった。50センチ以上は積もっていそうで、多い所は1メートルは有りそうだった。最初からスノーシューを履いて歩くことにした。その林道の雪もずっと多いと言うことは無く、水の流れている所では地表が現れていた。例年と比べると、少し少ないかと思える程度だった。山の方を見ると、やはり雪は少なく、多くは地肌が現れていた。この日の心配として午後の荒天のことだけで無く、春一番が吹くとの予想も気になっていたのだが、沢沿いの林道を歩く分には風は少し強いと感じる程度だった。雪面にはスノーシューのトレースが付いていたが、それは少し前のもので、ただ歩いたことが分かる程度だった。雪はすっかりザラメ状で、スノーシューは少し潜る程度で特に問題もなく歩いて行けた。暫く歩くと前方に扇ノ山の尾根が見えてきた。もうササの緑が多く現れており、はっきり雪は少ないことが分かる。その尾根こそくっきり見えているものの、後方に見える東山はごく淡く見えており、この日の視界はうっすらしているようだった。登山口までほぼ一時間。例年のごとく登山道はすっかり雪の下なので、コースのままに登って行く訳にはいかず、トレースを追うか自分で考えて登るかのいずれかになる。ここで問題が起こった。この山域の地形図は「扇ノ山」なのだが、その地図をザックに入れるのを忘れて、車に残してきたことに気付いた。尾根に出た後は問題無いので、尾根に出るまではトレースだけが頼りとなる。トレースは沢沿いを歩いており、それに習って歩き出すが、足下の雪の下は沢の流れである。雪解けが早そうなので雪を踏み抜かないようにと、注意が必要だった。ときに雪の下から沢音が聞こえた。そのトレースのままに歩いてるつもりが、雪の表面が溶け加減であったこともあり、トレースが分かり難いと思っていると、いつの間にか見えなくなっていた。そうなるとどこを登るかは自分で考えるしかない。一帯にはっきりした尾根は見えず、どこを登っても変わらなさそうな地形なので、北東方向を目指せば何とかなるの気持ちで登りを続けることにした。沢を離れて小さな尾根を登って行く。尾根は植林地で、次第に傾斜がきつくなってきた。その傾斜のことよりも雪の少ない所の多いことが気になった。できるだけスノーシューで登り易いように、雪の多い所を選んで登って行く。傾斜のきつい所は木に掴まりながら登るが、次第にパートナーが遅れ気味になった。そこでこちらも休み休みで追いつくのを待った。やがて尾根は緩やかになり、左手の方向、植林の切れ目より扇ノ山の山頂が望めるようになった。そこより少し進んだ位置で南東尾根に合流した。そこは展望のある1170m地点の少し南の位置で、夏道コースよりも北の位置だった。方向を定めて急尾根を登っただけに、山頂に近い位置に出たようだった。植林地を抜け出したこともあり、この尾根に出て一気に強い風を受けるようになった。これが春一番なのだろう。ときに台風並みの強風を受けてよろけそうになった。その風のことを除くと、上空は薄いながらも青空があり、雪に覆われた尾根が緩やかに続く風景は悪くなかった。うっすら陽射しを受けながら雪面を登って1170m地点に着いた。ここはいつもながらに好展望で迎えてくれる。仏ノ尾に青ヶ丸、氷ノ山、そして陣鉢山と並んでいる。南方遠くには三室山から東山までも望めて、まさに氷ノ山後山那岐山国定公園が一望だった。少し残念なのはこの日の視界で、くっきりとの表現は使えず、遠方まで見えているものの淡い見え方だった。空の色もうっすらとしていた。飜って北西方向を見ると、扇ノ山山頂がさほど離れず見えている。もうそちらに向かって登るだけだった。やはり雪は少ないようで、雪面に現れているササは多かったが、それでもいつもながらのスノーハイキングの雰囲気だった。トレースはほとんど見えず、好きな所を登って行く。雪面には点々と黒いものが落ちていたが、それは小枝で、強い風に吹き飛ばされてのものだろう。その先はいっそう緩やかな尾根で、馬ノ背のような所を通り、1194mピークに着いた。そこはごく緩やかな丘の雰囲気で、もう避難小屋はごく近くに見えていた。そして最後のブナ林の中へと入った。途中からは傾斜がきつくなるが、雪の森を登る雰囲気はこのコースならではの大らかさがあった。少し息が切れかけたころ、ひょいと言った感じで山頂に着いた。山頂にはまだまだ雪が残っており、陽射しの下に明るく小屋が見えていた。山頂の雪面にはトレースが多く残っていたが、前日以前のもののようで、山頂には人影は無かった。前年は視界が良かったこともあってパートナーだけが小屋に入ったのだが、この日の薄い視界と強風では小屋の方が良さそうに思えて、小屋の中に入った。相変わらず小ぎれいな小屋で、掃除も行き届いている。この日は気温としては低くなかったので、風の来ない小屋の中はずっと快適だった。陽射しも届いている。ほっとする思いで早めの昼食とした。風もなく穏やかな山頂であれば小屋での休憩の後に少しは一帯を散策するのだが、強風ではその気は起きなかった。また午後は荒天の予想となっていたので、山頂での休憩は30分ほどにして、下山することにした。地図を持たないので、すんなりと同じルートを引き返すだけだった。天気は徐々に悪くなっているようで、青空はほんの僅かになっていた。強風を受けながらだったが、下山をするだけなので気分は楽だった。この南東尾根の伸びやかさを味わいながらゆっくりと下った。そして自分のトレースを追って尾根を離れた。その先は急斜面になるので、一度スノーシューを脱ぐことにした。急斜面の下りはツボ足の方がずっと楽である。この日は結局パートナーと二人きりの扇ノ山かと思ったとき、登ってくる人とすれ違った。スキーをかついでツボ足で登っていた。同好の人を見て何となく安心した。傾斜が緩やかになって再びスノーシューを履く。また沢の上を歩くようになって足下には注意したが、下山はやはり速く、尾根を離れて30分で登山口に下り着いた。林道に出ると、後はだらだらと雪道を歩くだけだった。もう風を強く受けることは無く、沢音を聞きながらのんびりと下っていると、次第に陽射しを受けるようになった。上空を見上げると再び青空が広がっていた。天気の悪化は今少し後のようだった。気温は16℃まで上がっており、じっとり汗ばむほどだった。その帰路では少し楽しみがあった。朝は気が付かなかったのだが、道脇にフキノトウがぽつぽつと顔をを出していた。それをぼちぼち摘みながらだったので、さほど退屈することもなく駐車地点へと戻って行けた。 (2010/3記)(2021/1改訂) |
<登山日> | 2010年3月20日 | 8:20スタート/9:23登山口/10:03尾根に出る/10:13[1170m]地点/10:43〜11:15山頂/11:39〜44[1170m]地点/11:50スノーシューを脱いで尾根を離れる/12:20登山口/13:30エンド。 | |
(天気) | 薄晴れから晴れ。薄曇りの所もあり、はっきりとしない空だった。尾根に出ると強風を受けた。まさに春一番が吹き荒れていた。林道上の気温は10℃ほどだったが、尾根に出ると少し上がって12℃ほどになる。空は薄い雲が広がったり、青空が広がったりを繰り返す感じだった。南の方向は薄曇りだった。視界はうっすらとしていた。下山の尾根では空全体が薄曇りまでになったが、林道を歩く頃には少し持ち直して、青空が多くなっていた。 | ||
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