網走市のオホーツク海側には能取湖があり、最東端は能取岬となるが、一帯は丘と呼べる地形で山と言えるようなピークは地図上には見られなかった。その丘にも幾つか三角点があって、能取岬に近いごく緩やかな190mピークにあるのは一等三角点で、点名は能取山だった。
2018年9月に東北海道の山行に出かけたのは阿寒の山が目的だった。ところが天気は思うようにはならず、8日に釧路空港に着くとその日こそ東北海道の空は高曇りだったが、翌9日は朝から小雨だった。そこで雨の心配の無いオホーツク海沿岸に出て、小さな山を二つ楽しんだ。そして迎えた10日も曇り空で、午後は雨の予想だった。そこでこの日も阿寒の山は諦めて、午前の時間に軽いハイキングを楽しむことにした。そして選んだのが網走市郊外のこの190mピーク能取山だった。前日は紋別市内に宿泊しており、国道238号線を走ってオホーツク海沿岸をゆっくりと南下した。湧別町、常呂町と通り網走の町が近づいて能取岬へと通じる県道76号線(網走公園線)に入った。能取岬に通じる車道が分岐する位置に着いたときは10時半になっていた。上空はすっかり曇り空だった。そこから能取山に立つのは簡単で、ピークの間近を能取林道が走っており、その林道を歩くだけだった。その能取林道はごく近くに見えていた。始めの予定では林道を起点から歩くことにしていたのだが、起点の辺りに駐車スペースを見なかったため、起点から300mほど進んで道幅が少し広くなっている所に車を止めた。その辺りで標高は90mだったので、能取山との標高差は100mしかなかった。ごく緩やかな林道を南へと歩いて行く。ダート道の林道だったが、特に荒れた所は見られず、車でもスムーズに進めそうだった。周囲は自然林で、道そばにはキオンやヨツバヒヨドリの花がちらほら咲いていた。道が二手に分かれると左手の道に入った。地図は持っていないもののガーミンは持っており、そこに地形図と三角点が表示されているので、安心して歩いた。10分ほど歩くと少し林道の傾斜が増して程なく小さなピークに着いた。そこが能取山だった。一帯は笹原になっていたが、三角点の標識が立っており、あっさりと一等三角点を見た。前日に登った二つの小山でも一等三角点に出会ったので、北海道はどうも一等三角点が多く置かれているようだった。そこは展望が全く無いとあって、三角点を見たことで満足して、すぐに駐車地点へと引き返した。ざっと34分しか時間を使っておらず、全く散歩のような形で訪れた能取山だった。その後は能取岬へと車で向かい、岬から改めて能取山を眺めた。
(2018/10記) |