紋別市はオホーツク海沿岸の町としては網走市に次ぐ大きな町で、街並みの背後に紋別山があり、その東斜面には大山スキー場が作られて市民の憩いの場になっている。その紋別山の山上にはスカイタワーが建っており、車で山上に出ることも出きるのだが、麓の市民の森からは遊歩道が山上まで通じており、ハイキングとしても楽しめる山のようだった。2018年9月に東北海道の山行に出かけたとき、その紋別山を登ることにしたのは急な思い付きからだった。この東北海道山行は阿寒の山が主目的だったが、初日となる9月9日の阿寒の空は、朝から小雨だった。但しこの日の北海道は中部以北は曇りで、北に向かうほど晴れになる予想だった。朝から雨になるとまでは考えていなかったが、この天気は前日にほぼ分かっていたので、阿寒を離れてオホーツク沿岸の山を登ろうと、前夜にネットで調べていた。その結果、サロマ湖畔の幌岩山と紋別市の紋別山を決めた次第だった。天気予報通り北へと向かうと雨のエリアを抜け出し、サロマ湖畔に着いたときは薄晴れの空にまでなっていた。その空の下で午前は幌岩山のハイキングを楽しんだ。そして12時過ぎに下山を終えると、すぐに紋別市へと向かった。オホーツク海沿岸を走る国道238号線をひたすら北上すると、紋別市に入って北の空に紋別山が見えてきた。山上が平らになった姿は午前に登った幌岩山と似ていたが、こちらの山上には電波塔が幾つか建っていた。またどっしりとした建物はスカイタワーだった。山裾へと近づくと、大山スキー場の前に出た。そこからも登山道があるようだったが、森の中を通る登山コースを歩きたく、少し戻って先ほど通り過ぎた森林公園内の「水道発祥の地」に通じる車道に入った。すぐに駐車場が現れたので、そこに車を止めた。始めは舗装路歩きで、「水道発祥の地」のモニュメントの前に出るとその横から紋別山の山上へと通じる遊歩道が始まった。遊歩道は自然林の中を緩やかに続いており、良い感じの森林浴コースだった。その優しげな森の様を見ながら気楽に歩けるのは良かったが、なぜか藪蚊が多くおり、けっこう攻撃的だった。そこで手袋まで付けて蚊を防いだ。遊歩道は一度スキーのゲレンデと接したが、すぐに離れて南へと向かった。どうやら山頂に向かうと言うよりも、大回りをする形で長く樹林の中を歩いて山頂に近づくコースのようだった。遊歩道の雰囲気は終始良く、いかにも北海道の低山を歩いている感じだった。但しゲレンデに接したときに紋別市街が眺められた以外は展望は全く無かった。その遊歩道歩きを一時間続けて山上に出た。そこは山頂より東寄りの海側に近い所で、一帯は大山山頂園として芝生の広場が広がっていた。レストハウスやコテージが建っており、広場には幾つもオブジェが置かれていた。その山頂園の東端にどんと建つのがスカイタワーで、高さは31mほどあるとか。また最上階は展望台になっているようだった。但し有料施設(入館料200円)だった。時間的なこともあって入館せず、展望はそばのスキーリフト頂上駅から眼下に広がる街並みを眺めた。残念だったのは空模様が悪くなっていたことで、すっかり曇り空となっていた。そのため紋別の町は沈んだ色合いになっていた。いっとき展望を楽しむと、山頂に向かうことにした。山頂と言ってもスキーリフトの地点とは20mも変わらず、西に目を向けると山頂となる電波塔が建つ辺りが僅かに高くなっているだけだった。そちらへも車道が通じていたが、一般車は進入禁止だった。こちらは徒歩なので車道を歩いて電波塔のそばに出た。その電波塔の周囲ですんなりと三角点を見るものと思っていたのだが、その辺りはすっかり笹ヤブになっていた。そこでガーミンを頼りに三角点探しを始めたのだが、笹をかき分けてとあってなかなか見つからなかった。それでも粘り強く探すと、電波塔に着いてから15分ほどかかって漸く三角点を目にすることが出来た。それは一等三角点(点名・紋別山)だった。これで紋別山ですることは無くなったので下山に向かった。もう薄暗さが出てきたこともあって、早く麓に出ようとスキー場のコースを歩くことにした。スキーリフト頂上駅に戻ると、ゲレンデに作られた幅広の登山道を下って行った。コースは展望コースと言ってよく、紋別市街を眼下にして下った。そして中腹を過ぎた辺りで往路で歩いた遊歩道に接すると、駐車地点に向かうべく遊歩道に入った。その遊歩道歩きで予想外に時間を使うことになった。遊歩道を下山道として歩いてみると、意外と枝道が多かった。そのため麓が近づいたとき、道を誤って枝道に入ってしまった。結果として駐車地点とは離れて、スキー場側に近づいてしまった。そこで仕方なく一度国道238号線に出て、車道に沿った歩道を歩いて駐車地点へと戻った。そのため10分ほど余分な時間を使って駐車場に戻ってきた。それでも紋別山を楽しく登ったとの思いに変わりはなく、その夜の宿とした紋別市内のホテルへと車を進めた。
(2018/10記) |