2020年9月の最終週に実施した北海道山行は道南の山、大千軒岳が目標だった。その大千軒岳に向かったのは28日のことで、国道228号線を走っていると、前方に小ぶりながら三角錐の形をしたきれいな山が見えた。当別地区に入ると間近に見るようになり、ちょっと気になった。その日の大千軒岳登山を終えての帰路でも改めて眺めて、登ってみたくなった。ホテルに戻った後にネットで調べてみると、丸山と言う名で登山コースも整備されていることが分かった。また麓にはトラピスト修道院があり、当別地区の名所でもあるようだった。翌29日は午前を函館山登山の予定にしていたが、午後の行動は決めていなかった。そこで午後に丸山を登ってみることにした。なお丸山の名を持つ山は北海道に多くあるので、地名にちなんで当別丸山と呼ぶのが一般的のようだった。
29日は朝から快晴、澄んだ空だった。その気持ちの良い天気の下で午前は予定通り函館山登山を楽しんだ。その函館山山頂からも当別丸山は良く見えていた。そして下山を終えると、すぐに移動開始とした。ナビをトラピスト修道院にセットすると、車を西へと走らせた。国道228号線は空いており、スイスイ走って当別地区に入り、トラピスト修道院の前に着いた。広い駐車場があり、売店もあって観光地に来た雰囲気があった。また周囲にはプロムナードのような石畳の道があり、牧草地もあり、修道院と合わせて風景画を見ているようで、これから登山をすることを一瞬忘れるほどだった。駐車場には丸山の標識は無かったが、「ルルドの洞窟」の標識があり、それに従って歩いた。修道院の敷地の外周路を歩くことになり、車道は墓地の前で終点となった。その先も遊歩道がありの歩道も易しい道だった。山中へと入り、歩道は途中で近道となる階段道が右手に分かれたが、舗装路をそのまま歩いてルルドの洞窟の前に出た。洞窟には柵があって入れなくなっており、外から眺めるだけだった。その洞窟の右手の岩壁はツタに覆われており、そこに大きなマリア像が置かれていた。その近くに展望台があって、足下に函館湾と函館山を見た。そのルルドの洞窟の横から当別丸山への登山道が始まっていた。ごく普通の山道で、始めはトラバースするように南へと歩いて東尾根側に回り込むと、上り坂に入った。周囲は自然林が広がっており、雰囲気は悪くなかった。途中で右手に展望台への小径が分かれるも、そこは直進した。登るうちに周囲にブナを多く見るようになった。標高270mまで登ってくると、そこでも展望台への道が分かれたが、先に山頂に立とうとメインコースを辿った。その辺りから登る方向は西となり、登山道の傾斜は増してきた。それと共にブナの木も増えて、ブナの美林風景の中を歩くようになった。標高400mを越えると、「一休み」の名が付く所が現れて少し展望を得た。その先もブナ林の登りが続き、漸く傾斜が緩んでも山頂まで今少し距離があった。山頂に着いたときは登山口から33分だったが、決して軽い感じで登れる山ではないと思った。山頂は樹林に囲まれてはいたが、三角点周りは開けており、少しだが北東方向に展望があって、そこに駒ヶ岳が見えていた。山頂の三角点は一等三角点(点名・当別丸山)で、その近くには天測点も置かれていた。山頂で小休止を済ませると展望地に立つべく登ってきた道を引き返した。そして分岐点から展望台コースに入った。その展望台までは分岐点から5分の距離だった。そこにはベンチが置かれており、良い休憩場所だった。展望はまずまず良く、足下に修道院が望めた。その先は函館湾並びに津軽海峡で、そこに函館山が見えていた。その左手は函館市街だったが、木々がその展望を塞いでいた。ただ木々の生長前はすっきりと眺められたのではと思えた。展望地からはもう一つの小径を下ってメインコースに合流した。そして登山口に戻ってくると、もう一度ルルドの洞窟を覗いた。そのルルドの洞窟からは近道コースに入った。近道コースは階段道だった。駐車地点に戻ってきたのは14時20分過ぎのこと。まだまだ快晴だった。駐車場そばの売店で名物のソフトクリームを買い求めると、駐車場の一角に置かれたベンチに座ってひとときを過ごした。
(2021/10記) |