北海道百名山に選ばれている恵山は火山で、その険しい姿から登山もそれなりの厳しさがあるように思えたが、調べてみるとファミリー登山の対象となる山だった。中腹の駐車場まで車を進めることが出来て、そこから登山道は無理なく登れる上に山頂までのコースタイムも1時間ほどと短いためのようだった。そこで恵山登山は新千歳空港から函館への移動後に登ることにした。
恵山に向かったのは2020年9月最終週に実行した北海道山行の初日のことだった。前日の26日は夕方のフライトだったため、その日は千歳市内で宿泊とした。翌27日の山行初日は、まず千歳空港でレンタカーを借りることから始めて、レンタカー屋をスタートしたのは9時前だった。ひたすら道央道を走って行くが、空は天気予報通りに曇り空だった。函館市内に入ったのは12時過ぎ、そこから恵山までまだ40km以上あり、中腹の火口原駐車場に着いたときは13時半を過ぎていた。広い駐車場には10台ほどが止まっていた。目の前には恵山の全景が迫力ある姿で眺められた。登山としては遅い時間だったが、短時間で山頂に立てる山なので、他にも登山準備をしているハイカーの姿を見かけた。そこからのハイキングの様子は下の写真帳をご覧いただきたい。遊歩道のような易しい道を歩いて権現堂(恵山山頂)コースの登山口に着くと、山頂まで1979mの標識を見た。登山道に入ると周囲は赤茶けた岩肌で、いかにも火山を登っている雰囲気があった。但し足下の土は滑る感じは無く、しっかり地に足を付けた感じで登って行けた。樹林帯は全く無いため展望は良く、西向かいの海向山、北には噴火湾を挟んで北向かいの青い尾根だった。どんよりとした曇り空ながら視界は悪くなかった。所々に立つ標識には山頂までの距離が書かれており、登る目安になった。登るうちに硫黄の匂いを嗅ぐこともあり、その辺りの地表は黄色くなっている所があった。前後にちらほらハイカーを見ながらの登りで、駐車場から56分で山頂に立った。その山頂に立って分かったのは、まだ南へと登山道が続いており、その先に鳥居が見えていた。その鳥居まで歩くとそばに権現堂が建っていた。また前方は広々と海の風景で、下北半島も眺められた。ただ西から黒い雲が迫っており、それは雨雲のようだった。程なく霧雨が降ってきた。そうなると急いで下山に移った。視界も少しずつ悪くなってきた。そのとき分かったことは、広々とした山頂には目印が少なく、登山道が意外と分かり難いことだった。これでガスでも漂えばコースを外れる恐れがあるように思われた。ただ最高点に戻って下り坂に入ると、道ははっきりしてコースを外れる心配は無くなった。霧雨がはっきりとした雨にならないうちに戻ろうと休まず下って行くと、空は少しずつ明るくなってきたので歩度を緩めた。霧雨はそのうちに止んで、登山口に着いたときは下の曇り空に戻っていた。恵山の火山としての雰囲気は悪くなくまずまず楽しめたのだが、やはり晴れの中で登りたかったと思いながら駐車場へと戻った。その駐車場に着く頃より、再び霧雨が降ってきた。
(2021/8記) |