名寄町で有名な所としてジャンプ大会が行われるピヤシリシャンツェとピヤシリスキー場があるが、ピヤシリスキー場があるのはピヤシリ山ではなく九度山の南斜面だった。2019年9月末に北海道山行に出かけたとき、四日目の山として向かったのがピヤシリ山だった。そのピヤシリ山には山頂まで林道が作られており、ハイキングとしては山頂手前2km地点にあるゲートから山頂までの林道歩きををするだけだった。そのため11時半と遅い時間に登り始めても13時には終わってしまった。そこで急な思い付きで、夕方までの残り時間で九度山を登ることにした。ピヤシリ山に向かうとき、スキー場の入口に九度山の登山口があるのを見ていたので、登山道を辿れば何とかなるだろうと思ってのことだった。
ピヤシリ林道を戻ってゲレンデそばの「なよろ温泉サンピラー」まで来ると、そこの駐車場に車を止めた。登山口は道路を挟んですぐ目の前だった。登山口に立つとそこにはコース地図があり、コースタイムとして上り80分、下り60分と記されていた。現在時間は13時半になっていなかったので、何とか明るいうちに下山出来そうだった。ただ道誤りをして遅くなるようであれば、16時半には薄暗くなりだすことを考慮して、15時になっても山頂に着けないようであれば引き返すことにした。急に決めたことなので地図を持っていないのは無謀と言えたが、ガーミンを持っていたので現在地を表示させると、そこには登山道も表示されており一安心となった。登山口に入ると始めはゲレンデの縁をなぞるように登り、荒れ地を歩く感じだった。小さなコブを巻いた先でゲレンデを離れて西の方向へと歩いた。その辺りもスキーコースとあって車が通れるほどの道幅があった。その道が山頂方向となる北へと向きを変えると、道幅は細くなって山道らしくなってきた。ただあまり歩かれていないようで少々草ヤブっぽい登山道だった。やや急坂だったが早く山頂に着きたい気持ちがあり少し足早気味で登ったので、すぐに大汗となってきた。登るうちに前方が見えるようになると山頂が望めたが、まだ距離があった。中腹辺りまで登ると一度平坦となったが、その辺りが5合目のようだった。近くに第3リフトの乗り場が見えていたが、登山道はそちらには向かっておらず反対方向に歩くことになった。そしてすぐに北へと上り坂になった。少し道幅が広くなっており、右手に現れたのはスキー場の施設で「ログパノラマ」の名が付いていた。そのログパノラマを過ぎた先ではっきりとした登山道が左手方向に分かれた。その登山道で第3リフトに近づく、後は第3リフト沿いを登って山頂に近づいた。周囲は笹やススキが茂っており、振り返るとを展望が広がっていて名寄市街も見えていた。ただ残念だったのはピヤシリ山を登っていたときは晴れていた空がすっかり曇り空に変わっていたことだった。登山道のままに登って行くと登山道はリフト頂上駅で終点となっていた。まだ山頂は少し先だったが登山コースはそこまでのようだった。そのリフト頂上駅は素晴らしい展望地で名寄市街の方向だけでなく、遠くは大雪山系も望まれた。曇り空の下ながらその展望を楽しむと、せっかく九度山に登ったので山頂に立つことにした。時間はまだ14時半になっていなかったので余裕はあった。但しリフトの先はチシマザサのヤブだった。パートナーはヤブコギはしたくないとのことで、頂上駅にパートナー残して笹ヤブに突っ込んだ。踏み跡程度の小径が見えており目印テープも付いていたので、迷わず山頂に向かって行けた。当然ガーミンに表示される三角点記号を見ながらでもあった。少し登って尾根に出ると、そこより東へと尾根筋を歩くと程なく山頂に着いた。そこに三等三角点(点名・九度山)を見るも、すっかりチシマザサに囲まれて展望の欠片も無かった。すぐに引き返してパートナーと合流すると、今少しリフト頂上駅からの展望を楽しんだ。後は登山道からの展望も楽しみながらのんびりと戻った。その下山中に南から西にかけて広がっていた雲がどんどん薄れてきた。ゲレンデが近づく頃にはすっかり明るい空になり、ゲレンデでは少し赤みを帯びた光にすっぽり包まれて登山口へと近づいた。
ところで下山後に山頂の三角点を調べると、点の記では点名の九度山は「くとさん」と記されていた。
(2019/11記) |