北海道百名山で利尻島、礼文島を除いて一番北に位置するのがピヤシリ山だった。そのピヤシリ山は標高こそ1000m近くあるものの、なだらかな山容のため山頂まで林道が付けられているので、どうも登山対象にはならない山のように思われた。そのピヤシリ山に関して情報を調べてみると、山頂まで車で行けるのでは無く、山頂手前2kmの地点にゲートがあり、その先は一般車は入れないとのこと。そうなると林道を2kmほど歩いて山頂に立つことになるので、少しは登山として楽しめるようだった。その2kmの林道歩きをしようと向かったのは2019年9月最後の日曜日、北海道山行四日目のことだった。前日は北海道最高峰の旭岳を登っており、その夜は旭岳温泉のホテルに宿泊していた。そのためこの日は旭岳温泉から100km以上移動することになった。まずはナビをピヤシリスキー場にセットすると、8時過ぎにホテルを離れた。ナビは旭川市街に入らぬコース設定をしており、スムーズに走って旭川北ICより道央道に入った。その道央道を終点の士別剣淵ICまで走り、後はひたすら国道40号線を北上した。名寄市街が近づいて北東方向に見えたのは九度山とピヤシリ山の並ぶ姿で、その上空は雲が広がっていた。ピヤシリスキー場はピヤシリ山には無く九度山の斜面に作られており、そのゲレンデまで来ると、その先からピヤシリ山へと向かう林道が始まっていた。その林道に入って少し進んだ位置で「ピヤシリ山まで10km」の標識が現れた。後はずっと緩やかな林道走行だった。標識はほぼ1km毎に現れて、あと2km地点を過ぎた先で開けた所に出ると、右手にピヤシリ山山頂まで続く林道が分かれた。登山口に着いたようだった。時間は11時20分になっており、3時間以上かかっての移動だった。なお林道の直進方向は雄武町に繋がるようだった。ピヤシリ山への林道入口には一本の角パイプで作られたゲートが車の進入を防いでおり、角パイプには鍵が掛かって開けられないようになっていた。車をそのゲートの近く、十数台は駐車可能と思える広い路側帯に止めると、林道歩きを開始した。登山としては山頂までほぼ真っ直ぐな林道歩きなので、その様子は下の写真帳をご覧いただきたい。林道の周囲はチシマザサとダケカンバなどの自然林で、良い雰囲気の中を歩けた。自然林は紅葉が進んでおり、見頃になった木も多くあった。林道は途中であと1kmの標識が立っており、山頂が近づくと大きくカーブして避難小屋の前で終点となった。その避難小屋の前より山頂まではササとハイマツに囲まれた登山道を歩くことになり、4分ほどで山頂に出た。山頂は広く開けており、その中央で目立っていたのは一等三角点(点名・飛鏃岳)だった。林道を歩いていたときは頭上に青空を多く見ていたのだが、山頂に着く頃より急に雲が広がり出していた。山頂に着いたときはまだ陽射しがあったものの、程なく陽射しは消えて後は少し薄暗い山頂となった。また山頂に着いて強風を受けるようになり、けっこう寒々としてきた。その山頂は展望に関しては素晴らしく、ほぼ360度の範囲で楽しめることになった。道北に高い山は無いためなだらかな尾根を見るのみだったが、北の方向でピヤシリ山よりも少し高く見えるのは函岳のようだった。他にも少し離れてはいたが、西に三頭山やピッシリ山、南東にウェンシリ岳も望めた。体が冷えてきたこともあって、山頂には10分少々立っていただけで下山開始とした。林道終点に戻ってきたときに避難小屋を覗いてみると、小ぎれいにされている上にストーブがあり、トイレも設置されていた。またマットレスも三つほど置かれていたので快適に過ごせそうだった。下山の林道歩きは陽射しの無い中を歩いたのだが、ゲートが近づく頃にはまた陽射しを受けるようになり、明るい中で駐車地点に到着となった。
(2019/11記) |