TAJIHM の 兵庫の山めぐり <北海道の山> 
 
雄阿寒岳    おあかんだけ 1370.4m 釧路市(北海道)
1/2.5万地図 : 雄阿寒岳
 
【2018年9月】 No.2 2018-129(TAJI&HM)
 
   雌阿寒岳より  2018 / 9

 2018年9月に阿寒の山を登る計画を立てた。阿寒の山を代表するのは雄阿寒岳と雌阿寒岳だが、雄阿寒岳には1999年に登っていたので、今回は雌阿寒岳を主目的とすることにした。釧路空港に着いたのは9月8日の12時前のこと。台風21号や二日前の北海道地震の影響があって飛行機が飛ぶのさえ心配だったのだが、それだけでなく地震の影響でレンタカーが翌日分からしか借りられなかった。そこでこの日はバスで阿寒湖に向かう予定にしていたのだが、ダメもとでレンタカー会社に電話を入れると、車は何とか準備出来るとのことですぐに借りることにした。そのレンタカー会社から聞いたのは、地震の影響は広範囲に及んでおり、食料品は買い占められた上、ガソリンも同様でガソリンスタンドは閉まっている所が多いとの情報だった。ガソリンの給油にはくれぐれも注意するようにと言われて空港そばのレンタカー会社を離れた。この日の天気は雨の予想だったが、釧路の空は薄曇り程度だった。北へと向かって進むうちに北の空に阿寒の山並みが姿を現してきた。そこで阿寒の町に入る前に双岳台まで車を走らせて、そこから雄阿寒岳、雌阿寒岳を眺めた。雄阿寒岳は間近であり、それを見て雄阿寒岳の山裾を一時間程度散策することを思い付いた。雄阿寒岳の登山口に着いたのは、まだ15時半を過ぎた時間だった。そして登山口から次郎湖辺りまでをのんびりと散策した。このことにより当初予定していなかった雄阿寒岳登山を強く望むようになった。
 雄阿寒岳登山を実行したのは、山行三日目の11日だった。前日は午前こそ能取湖そばの低山を登ったが、午後より本降りの雨となった。その雨の中、摩周湖や屈斜路湖の風景を眺めたりして過ごして、夜は弟子屈町内で宿泊とした。弟子屈町で泊まったのは、当初の予定では11日はカムイヌプリ登山を計画していたためだが、それは止めて11日は雄阿寒岳を登ろうと決めていた。その11日は前日とは一変して快晴で朝を迎えた。雨に洗われて澄んだ青空が広がっていた。弟子屈町から雄阿寒岳までは30kmほどしか離れていない上に、その夜は阿寒湖温泉に泊まる予定にしていたため、移動時間は少ないとあって弟子屈町の宿は8時過ぎに離れた。快晴の下、国道241号線を走っているとき新たな心配が胸に沸いてきた。それは雨上がりとあって雄阿寒岳はガスに包まれていないかとの心配だった。阿寒湖へは永山峠を越えるが、その辺りにあるのが双岳台で雄阿寒岳、雌阿寒岳を望めるビューポイントだった。その双岳台に着いたとき心配は当たってしまった。雄阿寒岳の山頂はすっかりガスに包まれていた。そうなると後はそのガスが登るうちに薄れるのを期待するしかなかった。雄阿寒岳の登山口は3日前に下見していたので、問題なく登山口に着いて登山開始とした。上空は快晴とあって本来なら晴れ晴れしく歩いて行くのだが、山頂のガスは前回と同様に終日残ってしまうのではとの心配を抱えながら歩を進めた。太郎湖のそばを通り次郎湖のそばを通ると、漸く登る感じになってきた。周囲は自然林で良い雰囲気の中を登って行けた。登山口から20分少々歩いて、漸く一合目の標識が現れた。そしてその先で距離の標識も現れて、山頂までまだ5kmもあった。それ以後は二合目、三合目と標識が現れて、それと一緒に残り距離は4km、3kmと変わった。暫く登るも間近にある阿寒湖がなかなか眺められなかったが、三合目を過ぎた辺りから木々の切れ目が現れて漸く望めるようになった。快晴とあって湖面は明るかった。周囲の木々もトドマツやエゾマツが多くなって、いかにも北の山を登っている雰囲気が味わえた。五合目を過ぎると急坂が続いたが、気温は低めの上にからっとした空気感とあって気持ち良く登れた。はや下山する人とすれ違うようになった。その頃には周囲が見えることがあり、やはり山頂方向はまだガスが残っていることが分かった。ただ阿寒湖はガスの下とあってはっきりと眺められた。その背後に見えるはずの雌阿寒岳の辺りはガス雲が広がっていた。次第にガスが薄れることを期待しながら登って行くが、上空はガス雲が広がったり青空が広がったりで、回復しているのかよく分からなかった。それも六合目まで来ると、前方にガスを見るようになった。八合目まで来ると周囲にガスが漂っていた。ただガスは濃密でもなく時に薄れて山頂方向がちらりと望めた。山頂へと一度下り坂に入ると、東の方向のガスが薄れて、遠くまで青々とした森の続く風景が眺められた。山頂方向も一度ガスが薄れて山頂がはっきり現れることがあった。鞍部の位置が九合目で、そこからは岩場の多い登りとなり、ガスが薄れたり広がったりの中を登って山頂到着となった。山頂には先着者は2名いるだけで、まずは静かな山頂だった。その山頂でガスが薄れて来るのを期待したのだが、ガスに包まれている時間がほとんどで、ときおりガスが薄れて周囲が眺められる程度だった。その薄れる中でも二度ほど消えるまでになるときがあり、そのときは東の方向がはっきりと眺められた。また北の方向にはペンケトーとパンケトーの並ぶ姿も見た。山頂で過ごしたのは50分ほどか。ガスに包まれる時間が長くなり、ガスが消えるのは期待出来ないと思えて山頂を離れることにした。少し下るとガスがはっきりと薄れ出した。これは期待出来ると思って途中の岩場で休んだが、またガスが広がり出したので下山を続けた。そして八合目まで戻るとそこはガス帯を抜け出ており、南西にはっきりと雌阿寒岳が望めた。もやもやとした気分で下山を続けようとしたとき、雄阿寒岳はと振り返ると何と雄阿寒岳のガスはすっかり消えており、くっきりと姿を現していた。その上空はもう全くガスの心配の無い青空が広がっていた。そうなるともう一度山頂に立つことにした。山頂に戻ってきたのは、一度山頂を離れてから30分後だった。先ほどまでガスが漂っていたことが考えられない澄んだ視界で、360度の山頂展望を楽しめることになった。山頂から雌阿寒岳が望めるだけでなく、北には藻琴山を、更にその右手には斜里岳の姿も望めた。十分過ぎるほど山頂展望を楽しむと、思い残すこともなく山頂を後にした。八合目まで戻って来ると、そこからは明るい阿寒湖を眺めながら下った。その風景を見て、百名山の阿寒岳は一般的には雌阿寒岳を指しているようだったが、雄阿寒岳とセットで登るべきではと思った。周囲に広がる樹林の佇まいも美しく、阿寒湖が見えなくなると樹林の美しさを楽しみながら下った。そして麓が近づくと次郎湖のそばまで下りて次郎の風景も眺めた。登山口に戻ってきたのは16時過ぎのこと。8時間近く雄阿寒岳で過ごしたようだった。それにしてもこの日は7時台に登り出しておれば快晴の山頂を楽しめなかったことになり、早い時間に登山を始めるのも善し悪しだと思った。
(2021/9記)
<登山日> 2018年9月11日 8:32登山口スタート/9:08一合目/10:52五合目/11:25八合目/11:42〜12:29山頂/12:49〜53八合目/13:02〜15再び山頂へ/13:57五合目/15:38一合目/15:50次郎湖/16:17エンド。
(天気) 登山口の気温は11℃だった。始めは晴れの下を登っていたが、六合目を過ぎてガス帯に入った。その少し前より強い風を受けるようになった。山頂はガスと強風の世界だった。山頂の気温は10℃。ガスはときおり薄れて青空の広がることもあったが、すぐにガスが周囲を閉ざした。その山頂のガスが13時が近づいたとき一気に薄れて快晴の空に変わった。そしてくっきりとした視界で周囲が眺められた。風も弱まってきた。下山中の気温は14℃で、麓に着く頃には18℃まで上がっていた。爽やかな空気感だった。
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阿寒の町に入る前
に双岳台に立って
みると、雄阿寒岳
も雌阿寒岳も姿を
現していた

雌阿寒岳を大きく
見る
雄阿寒岳の登山口に着くと、山裾を散策することにした 駐車場を離れて登山コースに入った 雄阿寒岳の山頂が見えていた
太郎湖が近づくと、沢は早い流れになっていた 太郎湖のそばに立った 次郎湖まで来て上り坂となったとき、引き返した

阿寒湖の東端の位
置まで戻ってきた

夕暮れが近づいた
阿寒湖を眺めた
<< Photo Album 2018/09/11 >>
弟子屈町から移動して来たとき、双岳台から見る雄阿寒岳は山頂をすっかり雲に隠されていた 滝口の登山口駐車場に着くと、既に数台の車が止まっていた 登山口へと向かうと「滝口」の大きな標識が立っていた
雄阿寒岳は相変わらずガス雲に包まれていた 登山届を書いてポストに入れると、登山口を通過した 始めは平坦な道だった
薄暗い阿寒湖を眺めながら歩いた 水道設備を通過した 水の流れが速い所を右に見ながら歩いた
タマゴタケを見かけた 太郎湖のそばを通った 陽射しを受けて明るかった 太郎湖から離れ出した
少し低い位置に次郎湖を見る 次郎湖への分岐点が現れた はっきりと上り坂に入った 急坂を登って行く
登山者数をカウントする装置の前を通った 倒木を越して行く 登山道には目印テープが点々と付いていた
登山口から30分以上歩いて、漸く一合目が現れた 合目標識より少し進んだ位置で、距離の標識が現れた 上空に青空が広がってきた
優しげな道を歩いて行く 山頂まで4500mの標識を見た 大きな倒木を乗り越えた
二合目標識が現れた 周囲はトドマツ林だった 山頂まで4000mの標識を見た
自然林の優しげな風景が続く 三合目標識が現れた 登山口から1時間20分だった クマザサ帯を通った
木の根が這う所を通った 木々の隙間から阿寒湖が覗くと、少し離れて望めた 傾斜がきつくなって、しっかり登る感があった
山頂まで3000mの標識を見た 四合目標識が現れた 笹の中を進んで行く 傾斜がきつくなってきた
雌阿寒岳の方向が望めると、ガスに包まれていた 山頂まで2500mの標識を見た 阿寒湖が望めると、その背後は雲が広がっていた
しっかり登る感が続いた 前方も青空が広がっており、ガスは消えたと思えたが 陽射しが淡くなり、青空が見えなくなった
五合目標識が現れた 登山口から2時間14分だった 辺りにハイマツを見た 周囲が眺められたとき、山頂方向ははっきりガスに包まれていることが分かった 登山道の傾斜が緩んできた ガスの薄れるときがあり明るいダケカンバ林を見た

また阿寒湖が望め
ると、そちらはガ
ス帯の下とあって
はっきりと眺めら
れた

六合目標識が現れ

緩やかな道が続く 前方にもガスを見るようになった 七合目標識を見た 登山口から2時間43分だった
道なりに進むしかなかった そのとき、さっとガスが消えて青空が現れた それも一瞬で、再びガスに包まれた ハイマツ帯を歩く
八合目標識が現れた 周囲はガスだった ガスが薄れると、少し離れて山頂が望まれた 再びガスに包まれると、大きな石のそばを通った

濃いガスの中、山
頂との鞍部へと下
った

その下っていると
き、またガスが薄
れた 山頂がけっ
こう近くに眺めら
れた
ガスは薄れたままとなった 鞍部を越して山頂に向かう 九合目標識が現れた 山頂が目前になった

青空の山頂に着い


登山口から3時間
8分だった

二等三角点(点名
・雄阿寒岳)を見

上空は青空だったが、周囲はガスで近くの尾根も見えなかった そのまま晴れるかと思っていたのだが、ガスに包まれたりガスが消えたりを繰り返した その山頂で咲いていたのはヤマハハコだった
ガスが消えたときに何度か現れたのは北東麓側のパンケトー、ペンケトーの風景だった 北西方向には阿寒湖の北端部も見えていた
ガスが薄れたときに、南西向かいとなる八合目の辺りが現れることがあった 左の写真の左手となる南東方向もガスの消えることがあった
休むうちにガスは濃くなり、青空は現れなくなった 山頂での40分ほどの休憩を切り上げて下山に移った 山頂を隠すガスを抜け出して、尾根が見えてきた
足下で咲いていたのはキキョウだった 東の方向のガスが消えた 左隅に移っているのはペンケトーで、右隅の小さな池はヒョウタン沼だった

(←)
まだガスが流れて
来ることがあった

 (→)
  鞍部を越して登り
  返しているときに
  振り返ると、山頂
  のガスは薄れてい
  た
かまわず八合目方向へと下山を続けた また振り返ると、山頂はガスに包まれていた 八合目まで戻ってきて、小休止とした

(←)
雌阿寒岳を見ると
ガスは消えており
快晴になっていた

 (→)
  その八合目で山頂
  まで500mの標
  識を見た

八合目での休憩を
終えて下山に移ろ
うとしたときのこ
とだった 瞬時の
ごとくガスが消え
てきた

雄阿寒岳を見ると
ガスの欠片も無か
った こうなると
再度山頂に立ちた
く引き返すことに
した
ガッシガッシと言った感じで山頂に戻った 九合目を通過して、山頂へと迫った 山頂が目前となった

再度、山頂に立っ


もうガスは全く無
かった

パンケトーの背後
の尾根が眺められ


上の写真の藻琴山
を大きく見る

斜里岳が頂を雲の
上に覗かせていた
カムイヌプリの辺りを大きく見る 南西方向に雌阿寒岳が望めた
雌阿寒岳を大きく見る 快晴の中、二度目の下山を開始した 鞍部まで下りてきた その先のピークは八合目だった

ハイマツ帯を抜け
て行く

八合目を過ぎると
阿寒湖に向かって
下るようになった

西方遠くに高峰群
が見えていた
高峰群で姿を見せていたのはニペソツ山だった 七合目を過ぎて、ダケカンバ林のそばを通った また阿寒湖がすっきりと眺められた
緩やかな下りが続くとあって、けっこう気楽だった 五合目まで下りてきた 阿寒湖が見えると、湖面が光っていた
急坂を下って四合目まで下りてきた 優しい樹林の風景を愛でながら下った 緑の壁紙を見る
ゴゼンタチバナの赤い実を見た 三合目を過ぎて、まだ険しい所があった 赤テープが点々と続くのを見る
トドマツの林を抜けて行く 二合目を過ぎると、阿寒湖が近くに見えていた エゾトリカブトの花を見た
一合目まで下りてきた 池の方向へと真っ直ぐ下る この下山では次郎湖に立ち寄ることにした
次郎湖のそばに立って次郎湖を眺めた 主コースに戻ると左手に太郎湖を見た 朝と違って明るい太郎湖だった
水道設備の位置まで戻って来た 水道設備のデッキに立って、阿寒湖を眺めた 登山口が近づいてきた
登山口に戻ってきた 朝と同じ位置から雄阿寒岳を眺めた 下山後に改めて阿寒湖温泉側から雄阿寒岳を眺めた