TAJIHM の 兵庫の山めぐり <山形県の山・宮城県の山 
 
蔵王山 (熊野岳) 1841m 上山市(山形県)
 ざおうざん     くまのだけ
1/2.5万地図 : 蔵王山
 
【2008年10月】 No.1 2008-97(TAJI&HM)
 
   仙台空港より蔵王連邦を望む 2008 / 10

 2008年の秋に紅葉の山を楽しもうと東北地方の山旅を計画したとき、二つの山に重きを置いた。それは八幡平と月山で、その二つは300kmほど離れていた。まず行き帰りに利用する空港をアクセスの良い仙台空港と決めたが、そうなるとどちらの山を先に登るにしても移動に半日をつぶすことになる。そこで半日とかからずごく気楽に登れる山を移動日に登ろうと考えた。そして決めたのが蔵王山だった。蔵王山は蔵王連峰中心部の漠然とした呼び方のようで、最高点は標高1841mの熊野岳だった。ただこのピークは抜き出たピークでも無く、近くの観光客も登る刈田岳でも1758mの高さがあり、少し離れた屏風岳も1817mある。やはり一帯を総称して蔵王連峰と呼ぶのが分かり易いようだった。その蔵王連峰の最高点となる熊野岳のピークに立つ考えだった。ただ地図を見ると、最高点に立つと言ってもごく簡単そうだった。車道の終点が刈田岳のそばで、標高1740mほどの位置にあり、最高点とは100mほどの標高差でしかない。また終点には立派なレストハウスが建っており、観光客が気軽に訪れるようになっている。登山時間を見ると45分とあり、まさに観光ハイキングと言えそうだった。
 向かったのは10月11日のこと。前日に八幡平を登っており、この日は秋田県の仙北市から月山南麓の志津温泉までの長距離移動だった。その途中に蔵王山に立ち寄る考えだった。朝の秋田の空は雨だったが、東北道を南下するうちに徐々に回復して、仙台まで来ると上空にうっすら青空も見られるようになった。そして山形道に入る頃には雲が多いものの青空が広くなって、晴れと呼べるまでになっていた。山形道を宮城川崎ICで下りて西へと向かって行くと、前方に蔵王連峰が望めるようになった。ガスに包まれているのではと思っていたのだが、ガスは山頂部にかかっているだけで、ほぼ姿を見せていた。そのまま天気が回復して更に晴れてくれればと願いながら蔵王エコーラインに近づいた。休日の昼の時間帯だったが、車道は空いておりごくスムーズに進んでいたため、このままずっと順調かと思っていたところ、エコーラインに入って程なく観光バスの後に付いてしまった。そのバスが何とも遅かった。時速20〜30kmでしか走らないのである。その間に後続車がぞろぞろ並び出したが、バスは気を利かせて先に行かせてくれるようなことは無く、ただ後を付いて行くしかなかった。そのゆっくり登っている間に周囲の木々が色付きだした。そして紅葉が進んできた。ただどうも茶枯れたような色合いが多く、八幡平の見事な紅葉を見てきただけに、ちょっと見劣りのするものだった。ゆっくりとながら高度は上がり、蔵王高原ホテルまで来ると山頂部が見えるようになった。その山頂はまだしっかりとガスに包まれており、上空もガスに広く覆われていた。それでもエコーラインを走っているときは周囲にほとんどガスが見られず、ガスの薄れることを少しは期待出来た。それが蔵王ハイラインに入る直前となって一気にガス帯に入ることになった。まさに雲に突っ込んだような具合だった。蔵王ハイラインは有料で、料金所で520円を払って急坂を登って行った。すっかり濃いガスに、ヘッドライトを点けないと前方が見えなかった。ただ蔵王ハイラインの距離は短く、5分と走らず終点の駐車場に到着した。全くのガスで、近くの車でもうっすらとしか見えなかった。そして外に出ると強烈な風を受けることになった。それも冷たい風で、一気に冬の寒さに身を置いたような感じだった。この天気を見てどうも回復の見込みは無いと思えたが、雨が降っている訳でも無く、登山としてはこの天気でも無理は無いと考えて、予定通り熊野岳山頂を目指すことにした。観光客で賑わう蔵王山頂レストハウスに入って身支度を確かめた後、強風の中へ再び入った。視界は10〜20mほどだったが、その濃いガスの中を薄着の観光客がうろうろしていた。厳しい高山の気象とその観光客の雰囲気が全くアンバランスで、何か非常に危うい感じがした。その観光客も遊歩道の切れる辺りまで来ると見かけなくなり、もうガスの中をパートナーと二人して歩くだけだった。そのガスで頼りになるのは目印として点々と立っている杭で、それを追いながら歩いて行った。おかげで地図を開く必要も無く、ひたすら緩やかな道を歩いた。ただ風は更に強くなり冷たさも厳しく、暫く歩いていると顔が痛くなってきた。そこで途中からは顔にタオルを巻いて歩くことにした。濃いガスとあってこの山上にどれほどの人がいるのか掴めなかったが、ときおり下山の人とすれ違うので、数十人は登っているようだった。山の様子はまさに火山そのもので、草木はほとんど見えず、赤茶けた地肌が広がるのみだった。そのうちに少し傾斜がきつくなって岩くずの間を登り出すと、程なく避難小屋の前に出た。中を覗くと数人が休んでいた。そこは山頂では無く、地図を見ると西に向かって10分の距離で山頂のようだった。外に出てコンパスで方向を定めて歩き出した。そちらへも目印の杭が続いており、それを頼りに進むと、また緩やかな登りとなって、程なくガスの中に鳥居が見えてきた。そこが山頂で、鳥居の後の建物が熊野神社のようだった。山頂も全くの濃霧で、単にガスの中に立っているだけで山頂を踏んだという感じはしなかった。そして八幡平の山頂でも思ったことだが、こんなに簡単に有名山山頂に立ててしまっても良いのだろうかとの疑問で、ちょっと山を安易にし過ぎていると思えた。その感慨は置くとして、この熊野岳山頂も冷たい風が厳しく、長居は出来なかった。5分程度の休憩で切り上げて引き返した。また目印杭を頼りに歩いて、下山は30分程度でレストハウスに戻り着いた。そしてそこは大勢の観光客であふれていた。暴風と濃霧の厳しい山の世界が窓の外にあり、中は軽装の観光客の笑い声が響いている。そのギャップでまた違和感が湧いてきた。その戸惑いを持ちながら駐車場へと戻って行った。
(2008/10記)(2021/12改訂)
<登山日> 2008年10月11日 13:18レストハウスをスタート/13:52〜57避難小屋/14:04〜10熊野岳山頂/14:42エンド。
(天気) 八合目辺りまでは視界は良かったが、蔵王ハイラインに入ると、一気にガス帯に入ることになった。そして蔵王山頂レストハウスからのスタート時は濃霧と強風の中だった。気温は5℃と低く、風は強いことよりも冷たいことがこたえた。また視界は20mが限度だった。その状態のまま山頂だった。
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レストハウスから出ると、暴風の中を観光客が歩いて
いた
暫く歩くと人影は一気に少なくなった ときおり登山
者とすれ違った
濃霧の中では目印の杭だけが頼りだった ただ道は緩
やかに続いた
濃霧の中に避難小屋が見えてきた 山頂もすっかりガスの中だった 山頂の祠を見る