2003年10月9日は朝から澄み切った空が広がっていた。この日の午前は磐梯山登山で過ごした。その磐梯山登山を終えて八方台登山口に戻ったときは、まだ11時半ばだった。そこで予定通り西吾妻山を訪ねることにした。但し午後だけの登山となるため、登山コースとしては最短コースと思える天元台側からで、それもリフトを利用しての登山をすることにした。西吾妻スカイバレーの車道を走って行くと、登るほどに紅葉が深まってきた。車道からは西大巓の山肌が見えており、自然林の紅葉が美しかった。車道は標高1400mの白布峠を越して山形県側に入った。山形県側となる天元台のロープウェイ湯本駅に着くと、12時40分発のロープウェイにどんぴしゃで乗ることが出来た。後は3台のスキーリフトを乗り継いで、標高1800mを越す北望台まで上がることになった。ところがそのリフトが何とも遅かった。歩くのと変わらないと思えるスピードで、何とものろのろとした昇りだった。12時台には歩き始められると考えていたのに、リフト終点に着くと、13時の半ばが近くなっていた。そのリフトの最終時間は16時だったので、3時間半の猶予しかなかった。ただガイドマップを見ると山頂まで40分とあるので、少しは余裕を持って歩き始めることは出来た。暫くは樹林帯の登りが続く。小岩が多くあって楽には登って行けなかったが、休まず登ると程なく展望地に着いた。「かもしか展望台」と名付けられており、北に向かって広々と展望が得られた。その北は生憎モヤが強く、薄ぼんやりとした風景になっていた。少時足を止めただけで先を急ぐ。もうそこは中大巓の辺りで、頂上部を巻いて下りにかかると南西方向に西吾妻山のなだらかな山容が見えてきた。程なく木道が現れて、気軽なハイキングになってきた。西吾妻山と中大巓との間には池塘の点在する湿原風景が広がっていた。目に優しい風景で、実際歩いていても暖かい陽射しを受けて、実に爽やかな気分だった。その木道も西吾妻山への登りにかかると終わり、少し険しさのある岩場の多い登りとなった。ゆっくり歩いたためか、予定の40分を過ぎても、山頂にはまだ着かなかった。少しピッチを上げて山頂へと登って行くと、その頂上部は岩がごろごろとして無骨な風景だった。そしてその先に一段高いピークが見えていた。西吾妻山が吾妻連峰の最高点なので、どうも今立っている所は西吾妻山では無さそうだった。そこで改めて地図を見直しところ、どうも地図を適当に見ていたようで、山頂手前の凡天岩と名付けられた小ピークに立っているようだった。その先のピークが西吾妻山となるが、もう凡天岩までで1時間近くかかっており西吾妻山までだとまだ30分はかかりそうに思えた。地図のコースタイムもよく見ると、40分はその一部で、どうも1時間半はかかるコースのようだった。このペースでは山頂に着くのは無理と思えたが、せっかくここまできたのだからと思案の末、足を温存させることなく山頂まで駆け足登山をすることにした。凡天岩から少し下ると、再び池塘のある湿原風景となった。そして歩き易い木道がその中を通っていた。その風景を楽しむ余裕もなく、ひたすら駆け抜けた。そして山頂への登りとなるとまた少し歩き難い樹林コースとなったが、そこも休まず一気に登った。そして凡天岩からおよそ20分で西吾妻山山頂に立つことが出来た。山頂は周囲を樹林に囲まれており展望は無かった。とにかく自己満足のために山頂に着いたようなものである。そこまででリフト終点から75分近くかかっており、残り時間は85分だった。すぐに帰路についた。帰りも当然余裕は無いため、駆けたり飛んだりと、休まずに戻って行った。それでも梵天岩の展望地では、そこそこ写真をとったりはしていた。そのときを除くといつものスタンスとは違って、えらく気ぜわしい登山で下って行った。とにかく転ばぬことに集中して下ったおかげで、リフト終点へは1時間ちょっとで戻って来ることが出来た。無事、西吾妻山登山を終えたことに一安心したが、曖昧な登山をしてしまったことを大いに反省した。リフトに乗り込むとガス帯に入ることになり、その寒さにあわてて防寒着を着た。
この大らかさのある西吾妻山にはもっとゆったりと登るべきで、それも1日かけて、中大巓から西吾妻山、西大巓へと湿原風景をゆっくり愛でながら、のんびりとハイキングすべきだったと少し後悔の念を持ってリフトに乗り込んだ。リフトに
(2003/10記)(2023/10写真改訂) |